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BU・SI・N・SYO  作者: イ-401号
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四海聖竜王たる者の理(ことわり)

緑豊かな、パヴロ聖王国の大地にアースウェイグ帝国とヴァルゴ古代兵器興業国、ゼレイヤ黒魔術王国連合国との決戦の最中。


アースウェイグ帝国軍総司令長官たるリスティアード皇太子殿下が戦場から姿を消した、、、


いち早く気が付いたのは、やはり金麗の美女騎士レィリア・アストネージュ武神将である。


「リスティアード様!!」


叫ぶ、金獅子近衛騎士団団長だが、皇太子は忽然(こつぜん)とその意丈夫(いじょうぶ)な姿を消した、、、


俺がレィリアに向かって吠える。


「どうした!!」


レィリアは動揺していたが、外見は平然と見せるように


「リスティアード皇太子殿下が、消えました。」


俺は「何だ、そりゃ!どういうことだ」と大声で再び叫ぶ。


レィリアは目をつぶり、静かに自らの中の精霊達と会話する。

空間精霊、闇の精霊、光の精霊、幻の精霊、、、様々な精霊と心を通じ合い皇太子の行方を探る、、、そして見つけた。


「リスティアード皇太子殿下はどうやら、ゼレイヤ黒魔術王国によって結界に閉じ込められたみたい、、、」


俺は目を赤く染め獰猛(どうもう)に吠える

「そんじゃ、ここの指揮は一時、俺が取る。」


「大将はほっといても帰ってくるから大丈夫だ!」


レィリアが心配そうな顔を向けるが、ランガードは容赦がない深紅の魔鉄大剣を輝かせて吠える!


「心配すんな、ゼレイヤごときでどうにかできる大将じゃねぇよ!」


レィリアもランガードの言葉に励まされ、今は考える事を止めた。心配しても助ける事が出来ないのであれば、現実に立ち向かうべきだ。


利発な金髪の武神将は直ぐ様、頭を切り替えた。

今は、ヴァルゴ国軍を撃破する事に専念するべきだと


迫りくる、ヴァルゴ古代兵器興業国軍機甲兵士団の横列に長機銃を構え、古代動力を最高出力にあげて、背中より火を噴き突進してくる姿が、切れ長の美しい双方の目に写ったのだ。


「全軍、敵の総攻撃に備えろ!後に反撃の準備だ!!」


序列で言うと、一番新米の武神将だが、戦闘になると人が変わったように、猛烈な心の炎を燃やし号令を発する紅蓮の覇者に従わない者はこの戦場にはいなかった。


岩盤みたいな顔で、デカい図体(ずうたい)鬼鎧(おによろい)騎士団ガブス・ガエリオ武神将が叫ぶ。


「敵の猛攻は俺が引き受けるぜ!!」


鬼鎧(おによろい)騎士団、名の通り鬼の様な鎧に馬鹿でかい身体の猛者(もさ)ばかりの騎士団だ。


騎乗する竜騎馬もランガードの愛騎、阿修羅丸ほどではないが、皆ひと回り大きい竜騎馬に騎乗し、前面に鬼の顔をした大盾を(かざ)し、5千騎全て横一列に並び突進してくるヴァルゴ国軍特攻部隊の攻撃に憮然(ぶぜん)と立ち向かう。


ヴァルゴ機甲兵士は、長機銃を連発してくるが、鬼の大盾には何の効果もない、全て(はじ)かれてしまう。


ヴァルゴ国軍機甲兵士は速度を落とすことなく、真正面から突撃してくる。


そして、激突する。


グシャ!!グシャ!!グシャ!!


鬼鎧騎士団の頑丈な鬼の大盾に(はじ)かれ、踏みつぶされるヴァルゴ国軍機甲兵士、、、


全力の高速攻撃を敢行(かんこう)したヴァルゴ国軍はカウンターをまともに食らった感じだ。


機甲兵士は鉄の鎧を装着しているので、鉄がひしゃげ、首がもげ、胴体から真っ二つに力でもぎ取られる。


ヒトなのだが、鉄鎧を着ているせいで、ヒトを殲滅(せんめつ)するというより機械を壊す、っといった感じで鬼の大盾に弾かれる機甲兵士たち、、、


当然であるが、何の躊躇(ちゅうちょ)も容赦もしないアースウェイグ帝国軍である。


鬼鎧帝国騎士団の後背にいつの間にか、牙狼騎士団が連携して鬼鎧騎士団が踏み潰し、玉砕(ぎょくさい)した後ろに控えるヴァルゴ国軍の後衛に向かって、鬼鎧騎士団を飛び越え(・・・・)、突貫攻撃を掛ける。


右目の横にある大きな縦の傷跡が強く印象に残る、歴戦の勇将タカツ・ブルワルク武神将が風の真甦を使って、ヴァルゴ国軍の機甲兵士を風圧でなぎ倒し、そこに牙狼騎士団全騎士が風刃を刃にのせ、全騎士で剣を一気に振り切る。


無数の風刃は、一塊(ひとかたまり)の巨大な風刃の大きな見えない刃となり、ヴァルゴ国軍に襲いかかる、暴風と大いなる(やいば)を伴って、、、


見えない(やいば)によって、無造作に一方的に惨殺(ざんさつ)破壊される、ヴァルゴ国軍機甲兵士主力部隊の後衛部隊。


すかさず、右方より水牛黒角騎士団が怒涛(どとう)の勢いで、ヴァルゴ軍に躍りかかる。

猛牛の角の様に【土の真甦】を黒い長槍に乗せ、前方に鉄をも貫き通す、矢衾(やふすま)ならぬ、槍衾(やりふすま)の如く、槍を前方に向けて並べヴァルゴ国軍の機甲兵士を槍の餌食(えじき)にする。


ヴァルゴ軍機甲兵士は腹を貫かれ、絶命する者が累々と重なり、黒槍は容赦なく敵兵を重ねて貫き通す。



左方からは鷹の目豹騎士団の女性武神将が【風の真甦】に自分の帝国騎士団全員を風に乗せ高速に移動する。

異常なほどの速度と安定性で5千名の騎士団は敵軍に

疾風(しっぷう)の如く(はやて)の様に、騎士団全体を風で包みヴァルゴ国軍に襲いかかる。


風の真甦を乗せた、剣に首を()ねられ、胸を剣で貫かれ、顔に剣が突き刺さる。鷹の目豹騎士団の攻撃は上半身、しかも肩より上に攻撃が集中する。


雲に乗って攻撃を仕掛けているのだから、、、



ヴァルゴ国軍機甲兵士主力部隊の後衛部隊はアースウェイグ帝国軍帝国騎士団の連携と真甦による攻撃で一方的に壊滅した。


残すは、ヴァルゴ国軍主力、、、本陣のみ


その頃、リスティアード皇太子は暗闇の中に閉じ込められていた。


広い空間なのはわかる。


下も上も右も左もない、虚無(きょむ)の空間に浮いて(・・・)いた。


意味不明の大きく響くしわがれた声が、空間全体を揺るがすほどの波響音で鳴り響き、何度もこだまする。


暗黒の空間の中で、リスティアードは宙に浮いた状態のまま、手足はおろか、指先一つ動かす事が出来なかった。


唯一口だけは開けたので問いかけてみる。


「誰だい?」


リスティアードはいつもと変わらぬ、様子と声で語り掛ける。


何処からともなく、空間全体から響くように返答が来る。


()の名を問うとな、四海聖竜王にしてアースウェイグ帝国の王子よ」


陰々としわがれ声を響かせ、何とか会話が成立した。


「君はゼレイヤ黒魔術王国の国王だね、僕が四海聖竜王だってよく知っているね」


「名前を聞いてもいいかい?」


リスティアードはどんな時も変わらずに、汗一つ()かずに飄々(ひょうひょう)と話す。

手足は動かす子が出来ないが、、、


「よかろう教えてやる。余の名は、ゼレイヤ黒魔術王国国王にして最高主席黒魔術師【ルナブ】様である。」


(自分に普通、様はつけないよね~)


などと、思いふける見た目よりかなり豪胆(ごうたん)な精神の所有者のリスティアード皇太子は思う。


暗黒の空間に響きわたる、ルナブ陛下のしわがれ声。

声は聞こえるが、姿が見えない、気配もない。


「随分、大勢でこの結界張っているようだけど、疲れないの?」


豪胆な皇太子はこの状況でも冗談を言う。


ルナブの声が空間中に(ひび)きわたり、何回もこだまして響く。


「余裕よな、アースウェイグ帝国の小僧!」


「この結界は余と黒魔術師100万人で張っておろうぞ」


「破る事など、貴様には絶対出来んことよ!」


ぐわっはははは~暗黒の空間にウルさい音量で響き渡るルナブの声。


「100万人とは、随分頑張ったね」


「ゼレイヤ国の黒魔術師ほとんどすべてだね」


リスティアードは口元に笑みを浮かべて続けて話す。


「何を考えてるか知らぬが、無駄なあがきよこの結界は最強にして強靭(きょうじん)究極の結界世界である。破ることなど神でも不可能!!」


ルナブは陰々と声を響かせながら、くぐもったしわがれ声でよく話すようになった。


「なんで、僕一人にゼレイヤ黒魔術師全員の力を集めたの?」

黄金の皇太子は相変わらず、平坦(へいたん)に物を申す。


相変わらず、くぐもった声で声が響く。

「アースウェイグ帝国軍など、脅威でも何でもありはせん。」


「貴様さえ押さえてしまえば、この(いくさ)も勝てるというものよ。四海聖竜王の小僧」


黄金の貴公子は手足、指先も動かせぬのに笑いながら


「それは、大きな間違いだね」


「アースウェイグ帝国軍【帝国騎士団】はそんな(やわ)じゃない。」


「それに僕も、君達の手には負えないよ」


「なにを、言うても手足も動かせぬこの状態では無駄なあがきよの~」

ルナブ最高主席黒魔術国王はくぐもった声で笑いながら言う。


「ふぅ~ん、それじゃ教えてあげるよ」


リスティアード皇太子は自然に右手で頭の豪奢(ごうしゃ)な金髪をかき揚げて言う。


「!!」


驚いたのはルナブ国王である。


「ば、馬鹿なこの結界の中で、手足を動かせるはずが、、、」


最後までは言えなかった。


リスティアード皇太子の両眼が金色(こんじき)に光り輝き、豪奢(ごうしゃ)な金髪は全て逆立ち、全身が光り(きらめ)く。


暗黒の世界に黄金の太陽の様に、隅々まで明るく照らし出す。


熱は全くないが、無音の世界を(まばゆ)いばかりの光が(おお)い尽くす。


そして、光り輝く黄金の太陽は、、、


何の熱量も発生せずに、、、


弾け飛ぶ!!


全方位に向けて


KAAAAAAAAAAAN!!


暗黒の闇は、一瞬にして消し去り、真っ白な虚無の(きょむ)空間に変貌(へんぼう)していた。


金色に光り輝く、四海聖竜王にしてリスティアード皇太子は真っ白な空間の宙に浮いていた。


隅の方(・・・)に、黒衣を何重にも(まと)い、(ひたい)に王冠らしき物をはめた、偉そうな黒魔術師の親分みたいな【ルナブ】がいた。


「あり得ん!こんなこと絶対あり得ん!!」


「我、黒魔術師100万人が消滅した、、、」


黄金に輝く四海聖竜王はこれまでとは全く違った口調で(おごそ)かに喋りだす。


「四海聖竜王の(ことわり)とは【天の力】。」


(とく)と心得よ、邪推邪悪(じゃすいじゃあく)なる黒魔術の王よ!」


ゼレイヤ黒魔術王国 最高主席黒魔術師ルナブ国王は次の瞬間、生存していた何の痕跡(こんせき)も残さずに消滅していた。


悲鳴を上げる事も出来ずに、、、


金色(こんじき)に輝く、四海聖竜王はリスティアード皇太子に戻り戦場へと帰還する。


何事もなかったかのように、、、

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