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BU・SI・N・SYO  作者: イ-401号
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【帝国騎士】の誇り

岩壁の(くぼ)みに逃げ込んだ、バウス・リッシュ千竜騎士長のルビリア聖王女守護部隊は行き止まりの一番奥にルビリア聖王女を保護し、前衛部隊は盾を重ねて真甦を盾に流し込む。


鉄壁の防御陣だ。


そこに、爆音を鳴らしながら飛来する、ヴァルゴ国軍の飛行鉄馬機甲兵50機。


装備してある【機関銃】が一斉に咆哮する。


破壊と殺戮(さつりく)を目的に製造された古代兵器だが、帝国騎士団には、効果は差ほどない。


バウスは怒りながら叫ぶ。


「あのうるさいハエを叩き落せ!!」


前衛の100名ばかりが、盾を降ろし戦斧に真甦を注ぎ込み力の限り回転させながら投げる。投げる。投げる。


真甦を吸った戦斧は物凄い勢いでヴァルゴ国軍の飛行鉄馬機甲兵を真っ二つに切り裂いた。


切り裂く。切り裂く。


兵士諸共(もろとも)切断し、乗機は爆散四散する。


虎翼騎士団バウス千竜騎士長隊の怒りの一撃で、ヴァルゴ国軍飛行鉄馬機甲兵は一瞬で全滅した。


飛行鉄馬機甲兵が爆散し、部品が地に舞い落ちる頃、ヴァルゴ、ゼレイヤ連合国追撃隊4千名余りが姿を現した。


帝国騎士から声が漏れる

「数が増えてるな、、、」


ヴァルゴゼレイヤ連合国軍は増援部隊と合流していたのだ。


しかも、ゼレイヤ国黒魔術暗殺兵士はいつでも影に潜んでいる。


連合軍の指揮官はゼレイヤ黒魔術王国 上級黒魔術師【カガ】が、不気味で妖しい双方の目を輝かせて、命じる。


「あの亀の甲羅をひっぺがえしなさい。」


ヴァルゴ国軍の機甲兵士が長機銃を連射してくる。


BAN BAN BAN


虎翼騎士団保有の【土の真甦】には全く効果がない。

銃弾は全て盾に吸い込まれ、無力化する。


上級黒魔術師カガはイラつきながら、ゼレイヤ暗殺兵士団に攻撃を命じた。


900名の虎翼騎士団は行き止まりの狭い地理に集結陣をはり防衛に専念している。


足元に沢山の影を残し、、、


ゼレイヤ黒魔術暗殺兵士隊の攻撃は何の前触れもなく襲撃してきた。


天と地から、、、


空中に黒い(もや)がいくつも、沸き上がりその中からゼレイヤ暗殺兵士が降ってくる。


っと、同時に帝国騎士の足元、影の中から同時にゼレイヤ暗殺兵士が浮き上がる。


ゼレイヤの暗殺兵士と言えど、アースウェイグ帝国帝国騎士と正面から1対1で戦えば、最強を誇る帝国騎士に(かな)う訳がない。


今はこの立地条件と奇襲、兵力差が、戦況を大きく変えた。


帝国騎士は対応に遅れ、次々と倒されていく、、、


だが、個人の戦闘能力の高さで、被害を出しながらもゼレイヤ暗殺兵士を迎撃し、反撃する。


乱戦になりながらも、真甦を練り込んだ盾で、短剣を切り込む暗殺兵士の攻撃を防御し、剣ではなく虎翼騎士団の得意とする、戦斧を短く持ち近接戦闘で殲滅(せんめつ)する。


バウス・リッシュ千竜騎士長が怒鳴り命令を出す

「真甦を地上にも張り、ゼレイヤの兵士を通すな(・・・)!!」


しかし、命令を発した時には、虎翼騎士団バウス隊は半数以下に減らされていた。


「くそっ、ルビリア様だけは絶対お守りしなくては、、、」


額から汗を流し、前方を(にら)


「?」


攻め込んでくる、ゼレイヤ国軍に変化があった、、、


一部のゼレイヤ暗殺兵士が次々と吹き飛んで、宙を舞う、、、敵軍の陣形が一部崩れる。


バウスは副官に「援軍が来たのか?」副官は様子を見て「援軍にしては規模が小さすぎます。」


「では、なんだあれは?」


っと、その時ゼレイヤ黒魔術師の陣を抜けて、血(まみ)れで竜騎馬に(またが)り現われる。


黒龍騎士団帝国騎士、、、


階級章は、、、


一兵卒、、、


しかし、バウスは顔を知っていた。


「リュギィ・コネル千竜騎士長とブリッシュ・アンツ千竜騎士長!!」


二人共、手傷は負っていないが、返り血を浴びて全身真っ赤に染まっていた。


それほどの戦いで突き進んできたのだろう。


リュギィがバウスに尋ねる「ルビリア聖王女はご無事ですか?」


バウスは即答する「一番、奥にいらっしゃいます。」


リュギィは幼馴染のブリッシュに向かって


「任せたぞ」


ブリッシュはリュギィの意をすぐにくみ取り大声で叫ぶ


「間も無く、援軍が到着する!!それまで何とか持ちこたえるんだ。」


「【帝国騎士の誇り】にかけ、死守しろ!!」


一兵卒の号令であるが、、、


虎翼騎士団の残存兵力は約400名。

残った、全員が盾を前に押し出し真甦を地面と盾に注ぎ込む。


目をぎらつかせ、腰を落とし、両足を踏ん張る。

【帝国騎士の誇り】にかけ、必ず守ると全員が真甦と闘争心を全開で立ち向かう。


リュギィ竜騎馬を降り、バウス千竜騎士長の案内で、パヴロ聖王国ルビリア聖王女の元まで急いで駆け付けた。


ルビリア聖王女は(ひど)(おび)えた様子だった。


リュギィは右膝を付き騎士の礼を取り、優しく優しく声を掛ける


「大丈夫でございますか聖王女殿下」


ルビリアは血塗(ちまみ)れ姿のリュギィを見て驚いたが、、、話し始めた。


「私の為に沢山の騎士様が倒られていく姿をみました。」


「ここで、私は自害いたします。」


「これ以上、私の為に騎士様が傷つく姿を見るのは耐えられません」


リュギィは更に優しく「それはなりません。」


「殿下はパヴロ聖王国の最後の後継者であります。」


「この戦いが終わったのち、誰がパヴロの民を導くのですか?」


ルビリアは「この戦いの後、、、、」


「終わりがあるのですか?この戦いに」


リュギィは膝を付きながらも胸を張り

「勿論でございます。アースウェイグ帝国軍の大勝利で終結いたします。」


「ですから、もう少し我慢くださいませ」


「帝国騎士とは女性や子供、お年寄りを守るのが【誇り】でございますれば、どうかお気になさらず」


「これも施政者の御役目なれば、ご辛抱ください」


ルビリア聖王女はグッと首をもたげ

「わかりました。貴方様の言葉を信じましょう」


「私も頑張ってみます。」


リュギィはニッコリ笑い、立ち上がるといきなり剣を抜き突き当りの岩壁に突き刺した。


真甦を剣に流し込む、、、


ボコッ!!


岩壁がいきなり、3メートル四方へこむ。


リュギィも黒龍騎士団の一員である【土の真甦】の所有者だ。岩壁を作り直す事など造作もない事である。


リュギィはルビリア聖王女を見て

「血なまぐさいのは王女殿下には似合いませぬ、この中で隠れていて下さい。」


逡巡(しゅんじゅん)する、ルビリア聖王女、、、


リュギィが更に言う

「王女殿下が安全な場所にいられた方が我らは全力を出せまする。」


ルビリア聖王女はその言葉を聞き「わかりました」と語り、即席の洞窟の中に身を隠す。


リュギィはすかさず、真甦を練り込み、即席の洞窟に岩壁の(ふた)をする。


小さな空気口だけ残して、、、


ルビリアは慌てて「騎士様!!これは、、、」


リュギィは外から(・・・)「お許しを、援軍が間も無く到着いたします。それまでご辛抱下さい。」


リュギィ・コネルもブリッシュ・アンツも生きて生還する気など始めから無かったのである。


ルビリア聖王女をお守りする。


ただ、それだけ、、、


それが【帝国騎士の誇り】である。




ヴァルゴ国軍主力と緑の大地で戦闘中の帝国軍最前線にいる、リスティアード皇太子殿下の元にナリナック・スパック武神将が駆け寄ってくる。


黄金の皇太子は戦いながらも優雅に


「ナリナック、どうしたの?」と気軽に声を掛ける。


ナリナック武神将は焦った様子で

「ルビリア聖王女殿下がゼレイヤ黒魔術王国兵士の襲撃を受け、現在退避中との事です。」


リスティアード皇太子殿下の右目の眉がピクリと上がる。


隣にいた、ランガードが咆哮する。


「なんだって、クソったれがまだ懲りねぇのか!!」


静かにアルセイス武神将が皇太子に声を掛ける。

「私が参ります。どうやら私の部下もいる様なので」


リスティアード皇太子の決断は早かった。

「アルセイスに頼むよ、必ず王女は無事に保護してね」


「承知」


と一言残して、雷と共に姿を消す。


黒鉄(くろがね)の剣聖。



その頃、ルビリア聖王女を守るブリッシュとリュギィは虎翼騎士団の生き残りを再編成させ、後方の聖王女守護を嘆願(たんがん)し、自ら二人は最前線に出る。


後方からバウス・リッシュ千竜騎士長が見守る、、、


自分の役目はルビリア聖王女を守護する事。

彼ら二人が倒れた後は、自分達しかいないのである、、、


今、自分達が攻撃に出るわけにはいかないのだ!


時間を稼がなくてはならぬのだから、、、


黙って、見守る事しかできない。


(くや)しさが(あふ)れてくるがどうしようもない!!


リュギィ・コネルとブリッシュ・アンツは【土の真甦】の中でも最強硬度(さいきょうこうど)(ほこ)る【鋼鉄の真甦】所有者である。


鋼鉄の真甦を愛剣に流し込み、ゼレイヤ黒魔術王国軍暗殺兵士部隊を(にら)みつける。


盾は持たず、剣を両手で持ちたった二人で、3千名以上の敵と戦うのである。


帝国騎士の象徴である、武神将でもあれば強力な真甦で殲滅(せんめつ)する事も可能だろうが、、、、


唯一、有利な条件と言えば戦場が狭地である為、敵軍は総力を投入する事が出来ない。


また、乱戦になれば影からの奇襲も難しくなるだろう。


上級黒魔術師カガが命じる

「何をしている、あの邪魔な二人を排除しなさい。」


グワッと無言で押しかけてくる、ゼレイヤ国暗殺兵士部隊。


リュギィは返り血で、血塗れになった顔で獰猛にニヤッと笑い親友のブリッシュに声を掛ける。


「遠慮はいらんぞ、好き放題暴れていいぞ!!」


ブリッシュは一言


「ぬかせ!」


っと、同時にゼレイヤ暗殺兵士に向けて鋼鉄の(やいば)を上段から斜めに一気に切り下げるリュギィ一兵卒。


襲いかかって来た暗殺兵士は5人。


シュパ!!


全員が体を斜めに両断され、無言のうちに生命を止める。

暗殺兵士が抜いた剣をも切り裂く鋼鉄の刃。


ブリッシュは鋼鉄の刃を真横に一閃(いっせん)薙ぎ払う!


シュン!!


飛び掛かって来た8人の暗殺兵士が、胴体を境に二つに切り裂かれ吹き飛ぶ!!


リュギィが「お前の剣技は相変わらずえげつないな」と敵と切り結びながら叫ぶ。


ブリッシュは「お前ほど上品(・・)に戦っていられる状況ではないんでな!!」と叫びながらも敵兵を(ほふ)る。


帝国騎士最強を誇る、黒龍騎士団の()とは言え千竜騎士長の実力は想像をはるかに超えていた。

後方で見守る、虎翼騎士団の騎士達も驚きと賛嘆(さんたん)で二人の激烈(げきれつ)奮戦(ふんせん)を心から応援していた。


しかし、ゼレイヤ国軍の兵士の数が多すぎる。


少しずつ、、、


少しずつ、、、


少しずつ、、、


切傷痕が上腕に太腿(ふともも)脇腹(わきばら)(ひたい)に、増えていく。


返り血で真っ赤だった、2人が今では自ら流す血で赤く染まっていた。


ポタ ポタ ポタ ポタ


(したた)り落ちる、血液を自ら踏みにじり

リュギィが肩で息をしながら僚友に声を掛ける


「はぁ、はぁ、まさかもうくたばっじまったのかよ」


リュギィと変わらず、全身から血を流しブリッシュは血だらけの顔で笑顔を作り


「はぁ、はぁ、お前より先に逝く訳にはいかねぇよ」


二人共、血塗(ちまみ)れの状態で剣を杖代わりにしながらも、敵兵に一部の隙も与えない。


二人の周りには惨殺(ざんさつ)された暗殺兵士の(しかばね)累々(るいるい)と横たわり、まさに血の海と化していた。


上級黒魔術師カガが、顔を引きつらせながら更に怒鳴る。


「たったの二人に何を手古摺(てこず)っているんですか!!」


「一気に全方位から、数で押しつぶしなさい!!」


リュギィが静かに(つぶや)


「ここまでかな、、、」

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