表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
BU・SI・N・SYO  作者: イ-401号
86/173

怒髪天を突く

俺はこれまでにない程の【怒り】を感じていた。


熱い、熱い、焼け焦げそうだ。


怒り 怒り 怒り


身体が爆発寸前だ!


リューイが何か言っているが全く聞こえない。


【怒り】が全身を支配して、暴発しそうだ。


何だこれは、一体どうしたんだ!


身体が破裂する!!


ドコン!!


いきなり、俺の顔を電気が走る。


電撃と(こぶし)で力いっぱい殴られる。


俺は阿修羅丸から吹っ飛び、2転3転して転がり落ちる。


見上げると、アルセイス武神将が俺の前に立っていた。

「自分を制御しろと言っただろう」

珍しく、怒声を発する。剣聖黒龍騎士団団長である。


俺は口から血を流し、顔中まだ(しび)れが取れない状態で頭を振り


(しばら)く、ジッとして息を大きく吐き出す。

ため込んだ怒りと共に、、、


「すまねぇな、、、あの光景見たらよ自分を見失っちまった、、、すまん。」


アルセイスが普段通りに毅然(きぜん)(たたず)み静かに声を掛けてくる。


「俺も気持ちは同じだ」


「やるべき事をやり、打つべき奴を打つぞ」


俺は立ち上がり、アルセイスを少しだけ見下して


「おお」


と、獰猛に両目をぎらつかせ、熱すぎる心の炎を吐き出す。


リューイ准将が直ぐ隣にやってきて

「大丈夫ですか?」と聞く。


「ああ、もうあんなことにはならねぇよ、ウルグスを焼き払ってやる。」俺は口から出る血を右腕で拭き取り、歩き出す。


メイラが駆け寄ってくるが、手をヒラリと振り大丈夫だと合図した。


メイラは心配そうにしていたが、戦時中だ。

グッと自分を奮い立たせてこちらに来るのを我慢した。


パヴロ聖王国 聖王都の民、100万人を虐殺した現場を見て、ランガードは我を見失いそうになったのだ。


リアードが指示を出す。


「このまま、聖王宮迄駆け上がるよ。」


「敵は奇襲が上手い。充分に備えてね」


言ってる(そば)から、リスティアード皇太子の真後ろに黒い穴がいくつも空き、その宙に空いた黒色の穴の中から全身黒装束でフードを深く被った兵士がドバっと襲いかかってきた。


刹那!!


皇太子は一瞬だけ(まばゆ)いばかりの光に包まれて光り輝き、そして光が太陽の様にまばゆく吹き飛ぶ。


およそ、500名程の襲撃部隊は出て来た黒い穴もろともジュっと消滅する。


「機嫌が悪いのは、僕も同じだよ」皇太子が俺を見て(うなず)


市街地戦は、剣技に優れる黒龍騎士団の武勇が物を言う。


アルセイス団長を先頭に黒龍騎士団は疾駆(しっく)する。


砲撃によって、無惨に破壊され死都と化したパヴロ聖王国聖王宮に向け漆黒の一団は、黒色の大盾を左肩に掲げ持ち、竜騎馬を全力でまさに疾風怒涛(しっぷうどとう)の様に駆ける。


散発的に砲撃や銃撃、暗殺者共の攻撃があったが、黒龍騎士団はビクともせず、走る速度も落とさずに進撃する。


帝国騎士最強を誇る、黒龍騎士団だが実は守備が得意とする【土の真甦】を持つ者が多い。


それだけ、剣技に秀でた剣豪が多いという事だ。


ガウス准将が叫ぶ

面頬(めんばお)を降ろし、盾を掲げよ!」


ヒトなら10人ほども吹き飛ばす砲撃が、黒龍騎士団に向かって何発も放たれる。


漆黒の騎士たちは、剣を抜かず黒色の大盾を(かざ)し、命を破砕する砲撃の直撃を盾で無言にはじき返す。


普通の騎士にできる、芸当ではない。直撃の瞬間、真甦を発動具現化して破壊力を無力化しているのだ。


進軍速度重視で反撃は一切せず、パヴロ聖王宮目指して突き進む。


後方から付き従う、不死鳥騎士団は黒龍騎士団のような真似は出来ないから、【火の民】が中心になり、遠距離攻撃で砲撃兵器を一つずつ潰していく。


街の被害を考えなくていいのが、俺達には都合が良かった。


【火の民】の攻撃は破壊力がありすぎる。


特に今回の皇太子軍に従軍する【火の民】は界・爆弾(かい・ぼん)始め重量爆撃部隊が中心だ。


的を正確に狙い打ち攻撃するより、付近一帯を全て吹き飛ばすのが、得意の連中だ。


ホセ率いる【水の真甦】水竜隊、フーカ・セロ率いる【風の真甦】風竜隊も遠距離攻撃は得意だ。


水刃と風刃でヴァルゴ太古兵器興業国軍を真っ二つに、切断し竜巻の様の様な強風で建物も一緒に吹き飛ばす。


レィリアは最後尾、リスティアード皇太子を守りながらつぶやく

「不死鳥騎士団の戦い方は責任者に似たのかしらね、野蛮で繊細(せんさい)さにかけるわね」


リアードが微笑み

「今回はあの攻撃力が必要なんだよ」


「黒龍騎士団の速度と不死鳥騎士団の攻撃力が相まって丁度良いんだよ」


レィリアは冷たく低い声で「そうでしょうか?」「私には楽しんでやってるようにも見えるんですけど、、、特にあのでかい赤髪」


ランガードは聖剣を縦横に振り回し吠える。

「おめぇら、皆殺しだ!」


ゴゴオオオオオオー! 


爆炎を振りまき、焼け野原を拡大していくランガード武神将。


不死鳥騎士団の初陣だという事も、皆忘れるほどの迫力だった。


実際、不死鳥騎士団はとても強かった。

帝国騎士団の中でもこれだけの攻撃力を持つ騎士団はないだろう。



高速で進軍を続け、30分もすると聖王宮正門に到着した。


正門前を守備するヴァルゴ国軍約2000名程が死守していたが、アルセイス武神将が聖剣天地雷刃(てんちらいじん)黒晶一文字(こくしょういちもんじ)を引き抜き電撃と雷撃を激しく攻撃し瞬殺制圧する。


皇太子が命令を発する。


「この正門を死守するんだ。」


「聖王宮の内部には精鋭部隊で突入してルビリア聖王女を救出する」


アルセイスが後を引き継ぐ


「ガウス准将!全軍を指揮し現地を防衛せよ、不死鳥騎士団は黒龍騎士団の指揮下に入れ」


「ランガード武神将、突入人員を10名、不死鳥騎士団から選抜しろ」


「ヴァルゴ国軍主力が攻めてきた場合は、死守にこだわらず臨機応変に対応せよ」


「突入部隊の事は一切気にしなくて良い」


「以上だ、全員行動開始!!」


ランガードは即座に吠える

「リューイ、【火の民】より人選を済ませ突入する。千竜騎士長はガウス准将麾下(きか)に付け!」


即座にリューイは答え、10人の紅蓮の戦士を選ぶ。

皆、小回り(・・・)の利く戦士ばかりだった。


王宮内と言う限られた、空間での戦闘に大火力は逆に邪魔になる。剣技と俊敏さで准将は選んだ。


突入部隊はリスティアード皇太子とレィリア武神将、黒龍騎士団からはアルセイス武神将始め、剣豪が10人。

不死鳥気団からは俺とリューイ准将と【火の民】10人の総勢25名。


「行くよ!!」皇太子が声を掛ける。


突撃部隊25名が続く。


聖王宮正門を守護するガウス准将は各千竜騎士長を集め、防御の担当地域を支持し、迎撃の準備を整えながら、初めて時間を取り不死鳥騎士団の千竜騎士長との交流の時間を取った。


不死鳥騎士団の千竜騎士が自己紹介する。


【火の民】界・爆弾(かい・ぼん)岩・破砕(がん・くらっしゅ)

平民出身のフーカ・セロ、ラウミ、シュカ、ホセそしてリンの7人。


黒龍騎士団の千竜騎士長のリュギィ・コネルとブリッシュ・アンツは子供の頃から幼馴染で同じ爵位子爵家の息子で昔からウマがよく合う親友だ。


リュギィ千竜騎士長が驚きを隠さず、リンやラウミを見て

「こんな可憐な少女が千竜騎士長ですか?」


ブリッシュ千竜騎士長がリュギィの肩を叩き

「彼女たちだけでなく、他の若者たちも真甦量がすごく多いですね。」


「あの、型破りのランガード武神将閣下が選ばれたのだ、実力もあるのだろう」


リュギィは手を差し出し「失礼した。私はリュギィ・コネル、こっちはブリッシュ・アンツだ」


フーカ・セロが代表して握手する。

「2年前までは僕らは普通に暮らす臣民でしたから、驚かれるのも当然です。」


「実は一番びっくりしているのは当の僕らなんですけど」


リンが緊張気味に

「こうやって、帝国騎士最強の黒龍騎士団千竜騎士長様と一緒に戦えるだけでも嬉しいです。」


リュギィが笑いながら「階級は君らと同じだよ、遠慮はいらないよ」


「それに、君、、リンさんと言ったかな【天の真甦】所有者だね」


「この戦いでは君の力が、必ず必要になる。私達で手助けできることがあれば何でも言ってくれ」


リンは(うつむ)き恥ずかしがりながら

「ありがとうございます。」


とだけ答えた。


所変わり、聖王宮内部に突入したアースウェイグ皇太子精鋭軍。


皇太子が横を華麗に走るレィリアに向かって

「ルビリア聖王女の場所はわかるかい?」


レィリアは走りながら、目をつむり神経を集中させる。


「一番北側の棟の地下に捕らわれています。」


リアードが叫ぶ「一番北側の棟地下だよ」アルセイスは「承知」と一言返し俺は「おお!」と返す。


俺とアルセイスが先頭を走り、聖剣ではなく黒水晶で作られたような片刃直刀の透き通る愛刀を(ひらめ)かせ、片っ端から敵兵を神速の電撃と雷撃で存在そのものを消滅させていく。


俺は愛妻がくれた」純度の高い【魔鉄】で作られた深紅の大剣を振るい進路にいる敵兵全てに対して、廊下丸ごと(おお)うほどの轟炎が激流となって回廊を走りうねり敵を灰にしていく。


リューイとリスティアード皇太子、レィリア武神将が続き、後衛を各騎士団の選抜部隊が固める。


聖王宮を突き進む速度は敵の数に関係なく全く落ちない。



ー聖王宮 玉座ー


ヴァルゴ太古兵器興業国初代国王ウルグス・ヴァルゴは苛立っていた。

「王宮内に突入を許すとは、どういうことだ!!」


ベルフェム元竜王が静かに高い声で

「奴らが、それだけ桁外れに強いという事でしょう」


ウルグスは唇をグッと噛む。

「ゴレム0Ⅴ(ゼロファイブ)を出せ!」


片腕の無いルカが黒い眼差しで

「あれは、試作機ではないのですか」


「かまわん!出せ」ウルグス国王は叫ぶ。


ヴァルゴ太古兵器興業国軍の兵士が走って玉座を後にする。


ベルフェムは無言「・・・・」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ