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BU・SI・N・SYO  作者: イ-401号
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戦う者と残る者の決意

不死鳥騎士団団員、全員恙無(つつがな)く、相棒の竜騎馬が決まりそれぞれ帝都アーセサスに向け帰還していく。


さすがは、平民出身とは言え真甦量が多く強い不死鳥騎士団帝国騎士である。


竜騎馬に初めて騎乗すると、皆慌てた様子でいたが直ぐに心が通じ合い問題なく走り出した。


俺は妻の氷結の女王シュシィス・スセインとひと時でも長く一緒に居たくて、竜騎馬選別と帰還についてはリューイに全て任せて、シュスに炎元郷を案内していた。


炎元郷の東端に当たる、余り人が住んでいない温泉のある岩場に腰かけ俺は珍しく真剣に話し始める。


「シュシィス・スセイン」


シュスは自分の名前をフルネームで俺が読んだので、びっくりしてこちらを向く。


「愛している。元気な子供を産んでくれ」


シュスはずっと(こら)えていた(あふ)れんばかりの気持ちの濁流(だくりゅう)が流れ出してしまった。


(ほほ)を涙が幾筋(いくすじ)も伝う。


「ずっと、ずっと我慢して参りましたのに、貴方(あなた)はずるいです、、、」


シュスは涙にぬれた、顔を上げ決然と言う。


(わたくし)もランガード、貴方を世界中の誰よりも愛しております。」


「シュス、、、、」シュスの小さな唇に俺の唇が重なる。


優しく優しく抱きしめる、、、長く長く抱き合う二人、、、


阿修羅丸はそっぽを向いていた、、、


そのまま時が止まってしまったように、二人の影は離れなかった。


俺が唇を離し、喋りだす。

「お前との約束は必ず守る。そしてお前も子供も俺がぜってぇ守る。」


「だから安心して、待っていてくれ」


シュスは(あふ)れる涙を(ぬぐ)おうともせずに

「わかりました。この子達と共にご帰還をお待ちしております。」と言い、自分のお腹をなでる。


俺は思わず、シュスのお腹に一緒に手を優しく優しく添える。

「生まれてくる子供たちの名前を考えねぇといけねぇな」


シュスは涙を拭おうともせず、(あご)をあげ、(りん)と言い放つ。

「この子達の名前は、ランガードが帰ってきたら付けて下さいませ。」

「私の生まれた氷結の村では、生まれる以前に名前を付ける事は凶事(きょうじ)とされております。」


俺はシュスの流れる涙をそっと手で拭いてやり答える。

「わかった、必ず無事帰って名前を俺が付けてやるから丈夫な子を産むんだぜ」


シュスは泣き笑いながら「承知いたしました。あなたに似た立派なお子を産んで見せましょう」


「俺に似ると、困るような気もするがな、、、俺みたいなのが何人もいたらめんどくせぇだろ」ちょっと、照れながら目を逸らしてしまう


シュスは両の手で俺の顔を挟み込み、自分の方に向けて小さな口で(ささや)くように言う。「そんなことありませんよ、私にとってあなたは世界一魅力的な殿方(とのがた)です。」


顔を真っ赤にして照れてる俺をシュスは両手で顔を捕まえて離さない。

二人、目と目を合わせ見つめあう、、、時が止まったように


そこに阿修羅丸がグルルルルと言い、近寄ってくる。


俺は直ぐに臨戦態勢に入った。


空中に黒い(もや)のような物が、現れ2メートルほどの穴が宙に突然穿(うが)つ。


その穴から、真っ黒なフードを被った正体不明の男らしき者が5人それぞれ片手に短い片刃の剣を持ち、素早い動きで俺達に襲いかかってきた。


一瞬で、俺は業火を身に(まと)い、シュスから貰った氷結の村の魔鉄でできた深紅色の大剣を引き抜いた。


っと、同時に青白い業火が正体不明の侵入者を消し炭に変える。


続けざま、宙に空いた穴から更に10人程のフードを被った暗殺者が短剣を抜き放ち、早い速度で襲い掛かってくる。


俺は双方の目を赤く獰猛(どうもう)に燃やしながら「こんな、数じゃ俺を打つ事は出来ねぇよ」魔鉄の大剣が業火を(まと)轟炎(ごうえん)を放つ。


俺は下段から上に向かって、魔鉄大剣を切り上げる。物凄い量と大きさの火炎が、侵入者達と黒く宙に浮いた穴もろとも一瞬で消滅させる。


轟轟轟ー!!


純度の高い魔鉄で作られた、深紅の大剣はランガードの元々持っている能力を更に向上させ、炎の量、大きさ、速さ、温度全てにおいて格段の能力を発揮した。


阿修羅丸はシュスを守る様に、シュスの前で立ちはだかり口から炎をチラチラと洩らして、いつでも丸焼きにしてやると言わんばかりに獰猛(どうもう)(うな)っていた。。


シュン!!忽然(こつぜん)とリューイとリンが現われる。

「ご無事ですか!」


続けて【火の民】神速部隊が20人ほど、焦げ臭い臭いと共に現われる。


俺は魔鉄大剣を肩に下げながら「ああ、なんの問題もねぇ」


リューイがこわばった顔で「炎元郷が敵に狙われるとは、しかも1000人の【火の民】が結界を張っていたのに奴らは侵入してきました、、、」


俺は魔鉄大剣を(さや)にしまいながら「恐らく、ゼレイヤ黒魔術王国の暗殺者だろうな、、、今回は脅かすのが目的だろう」


「いつでも、襲えますよってな、、、」


リューイが厳しい顔をして「結界を3倍に増やし、シュス様の警護も増やしましょう」


シュスは毅然(きぜん)と言い放つ

「私は炎元郷にいる限り、絶対に安全です。敵の脅しなどには決して負けませぬ。」


「ランガードは、敵を殲滅(せんめつ)する事にのみ集中なさいませ」


誇り高い、氷結の女王の真骨頂(しんこっちょう)(りん)とした表情と真っすぐな姿勢で、皆によく通る声で宣言する。


俺はそんなシュスを見て、「この世界に炎元郷より安全な所は俺の側しかねぇよ。」


「今回は俺の側にお前を置いておくわけにはいかねぇから、敵に炎元郷を狙える余裕を持たせずに燃やして灰にしてやる!!」


リューイは初瀬・燕(はつせ・つばめ)に向かって

「【火の民】全員に非常事態宣言を出し、非戦闘員は最低人数だけ残し、全員避難させて下さい。」


「氏族からも、猛者(もさ)を集めて、炎元郷内で警備に付かせ、もし敵が大軍で攻めてきた場合は炎元郷を爆発させ掃討(そうとう)して下さい。」


リューイはランガードが来るまでの間、【火の民】を守り続けてきた決断力と判断力に優れたリーダーなのである。

顔は優しい顔をしているが、いざ戦闘となれば情け容赦は一切しない【火の民】の熱き紅蓮の戦士なのだ。


俺は阿修羅丸の横に立ち、魔鉄大剣をシュスから貰い受ける前に使っていた、鈍く光る傷だらけの銀色に光る両刃の大剣を抜き放ち地面に深々と突き刺す。


「俺が帰って来る迄、この剣を俺だと思え!」


「【火の民】全戦力でこの剣を守れ!!」


「いいか!わかったか!」


そこにいた、全員が声を(そろ)え、大声で吠える。


「「「「焼き払え!」」」」


非常戦闘状態となった、炎元郷は急激に騒がしくなった。

不死鳥騎士団の帝国騎士はほぼ、帰路に就いた。


炎元郷の出入り口は封鎖され、氏族の女子供、年寄りは避難を始めた。


俺は胸を張り、シュシィス・スセインと向き合い堂々と

「行ってくる。必ず勝って戻ってくるから待っていてくれや」


シュシィス・スセインももう泣いていなかった。

孤高(ここう)の誇り高き氷結の女王は顔をランガードに(いど)む様に向け

(わたくし)の夫であれば、全て焼き払って戻ってきなさい!」

言い放つ。


俺は大声で

「おうっ!いってくらぁ」


と同じく言い放ち、背を向け阿修羅丸に騎乗して

初瀬・燕(はつせ・つばめ)!シュスをよろしく頼むぞ!!」


初瀬・燕(はつせ・つばめ)は右膝を付き騎士の礼を取り答える。

「私の身命に変えましても、奥方様をお守りいたします。」


俺は阿修羅丸を走らせながら「頼むぞ!!」と言い走り去る。


氷結の女王は一人

(ご武運をお祈りしております、、、)


っと、両手を胸の前で重ねてつぶやく


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