表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
BU・SI・N・SYO  作者: イ-401号
73/173

帝都に流れる、新たな風

今日も天気がいい。


俺は晴れた日が好きだ。


太陽を見ると元気になる。


俺は久しぶりに竜騎馬の【阿修羅丸】に騎乗していた。


金獅子近衛騎士団100名と共に、、、、


行先は帝都アーセサス東地区にある、高級住宅街の一角のツヴァイス・カーゼナル男爵邸である。


アーセサス中央大通りを行列作り進む。


白色の鎧に白色の大盾を左手に持ち竜騎馬を操る、金獅子近衛騎士団100名と見目麗しい団長。


大きな皇族が乗る馬車の横に深紅の鎧、深紅の武神将を表す長い外套(がいとう)を風になびかせ、肩章には不死鳥騎士団団長を表す不死鳥を型どった刺繍(ししゅう)を飾り立てるように金色の縁取りされた鎖が俺を必要以上に美化している、、、


先のリギア戦役での功績を認められ(たまわ)った、大巌氏勲章(だいげんしくんしょう)を胸に付け、通常の竜騎馬よりひと回り以上大きい竜騎馬阿修羅丸に騎乗した姿は凛々(りり)しく、想像以上に高位的に感じられただろう、、、


一行が男爵家の前に到着する。


近衛騎士団が竜騎馬より降り、馬車の入口から男爵家の中庭まで二列に整列しレィリア・アストネージュ金獅子近衛騎士団団長が、馬車の扉を開ける。


降りて来たのはリスティアード・ローベルム・アルヴェス・アースウェイグ皇太子殿下とリギア国から帰還した、アルフィス・アソルト・アグシス国務長官である。


驚いたのは、何の先ぶれもなく突然現れた、皇族と高級武官、高級文官一行に驚くばかりのカーゼナル家に仕える家令達である。


皇族を表す、紫の外套(がいとう)(ひるがえ)して、歩く姿も優雅で威厳(いげん)を放ちつつ、皇族の正装で赤い戦士と白い金髪の美女騎士を従え、歩を進める姿はこの世の者とは言えない神秘的で荘厳な雰囲気を(かも)し出していた。。


アグシス国務長官はいつもの上下黒の(えり)のある正装だ。


カーゼナル邸、扉の入口に二人の男が皇族に対する最高の騎士の礼を取り、(ひざまず)いている。


ツヴァイス・カーゼナル男爵とオラクル老貴族の二人だ。


(ひざまずいて)いている二人に向けて、レィリア・アストネージュ武神将が響き渡る美声で、歌うように語る。


「アースウェイグ帝国、第一位皇帝継承権のリスティアード・ローベルム・アルヴェス・アースウェイグ皇太子殿下の御成りです。」


ツヴァイス・カーゼナル男爵が顔を伏せたまま

「リスティアード皇太子殿下、カーゼナル家へ足をお運びいただき感謝の極みでございます。」ハキハキとしっかりと語る。


リスティアード皇太子殿下は神々しいまでの威厳を持って言い放つ

「ツヴァイス・カーゼナル男爵、並びにオラクル・カーゼナル(おもて)を上げよ」


ツヴァイス・カーゼナル男爵は頭を上げ、リスティアード皇太子殿下と目を合わせる。


緊張していない訳ではないが、自然な振る舞いだった。



老貴族は、静かに顔を上げる。


ツヴァイス男爵は心の中で(こんな美しく気高く崇高な人は初めて見た、、、)つぶやいた。


ほんのわずかな間ではあったが、二人は見つめあい何も語らなかった。


リスティアードが今日、初めて微笑み「ツヴァイス・カーゼナル男爵、立ちなさい。」


俺はサッと皇太子殿下の後ろから飛び出て、ツヴァイス・カーゼナル男爵に肩を貸してやる。


ツヴァイスはまだ、一人で立ち上がるのは無理だと思ったからだ。


ツヴァイスは俺を見て「ありがとうございます。ランガード、武神将閣下。」ときちんと挨拶する。


リスティアードが「怪我をしているのかい?」と尋ねる。


男爵は「見苦しい真似をしまして、申し訳ございません。右足の傷がまだ完治していなく、、、」


リスティアードが微笑みながら喋る。

「それじゃ、みんなここで座って話をしようか?アグシス国務長官も良いかな?」


静かに良く響く低温で答える

「かまいませぬ」


胡坐(あぐら)を組み、円座に座り込む。

リスティアードはオラクル老貴族に向いて、「すまないが、家令全員を屋敷の中で待っていてもらえるかな、しばらくここには誰も近づけないで下さい。」 


「御意」とだけ答える老貴族。


近衛騎士だけになると、リスティアードが話し始める。

「ツヴァイス・カーゼナル男爵、右足の傷を見せてもらえますか?」


ツヴァイスは直ぐ様、ズボンを(めく)り、太ももから膝下まで続く火傷(やけど)の跡を見せる。


王子は傷を見て「その傷はどうしたの?」と尋ねられる。


男爵はハキハキと「僕の不注意で崖から落ちてしまい、傷を負いましたが、ランガード武神将閣下に【ヤキ】を入れてもらいました。」


「痛そうだね」王子は顔色を変えずに微笑みながら言う。


ツヴァイスは「これは僕の勲章です。ランガード閣下には傷と心に【ヤキ】を入れてもらいました。」


「そのようだね、、、」王子は微笑み俺を見る。


アグシス国務長官が静かに話し始める。

「ツヴァイス・カーゼナル男爵、(けい)の事を調べさせてもらいました。」


ツヴァイスは真剣な顔をして「はい」黒く日焼けした顔を国務長官に向ける。


アグシスは事務的に「(けい)が、男爵家を継がれて1年ほどですが、卿の良い話は何処からも出てきませんでした。」


ツヴァイスは黙ったまま、顔を上げ聞いていた。


「逆に貴族として、有るまじき行為を行っていたと聞き及びました。間違いありませんか?」アグシス国務長官はどんな時も冷静で静かに話す。


ツヴァイスはアグシス国務長官の顔を見て「はい、間違いありません」と答えた。


「よろしい」アグシス国務長官はリスティアード皇太子殿下の方を向き(うなず)く。


リスティアード皇太子殿下が宣言する。


「ツヴァイス・カーゼナル男爵、卿の非道な行いに対し罰を与える。」


ツヴァイス・カーゼナル男爵は(こうべ)を垂れる。


「これより、アースウェイグ帝国において領地を継承する者には全て、適合試験を受ける事とし試験に合格しない者は領地を継承できないものとする。」


「その適合試験管長に任命する。」


ツヴァイスが驚愕(きょうがく)の顔で「は?」


リスティアード皇太子が微笑みながら言葉を続ける。

「以前の君は確かに貴族としてと言うより、人として(ゆが)んでいたようだね。」


「ランガードが【ヤキ】を入れてまともになった。」


「同じ事を君がするんだ、それが君の罪滅ぼし」


「いいかい?」


ツヴァイス・カーゼナル男爵は驚きながら「僕はすっかり爵位と領地を没収されるものだと思ってました、、、」


リスティアード皇太子は真剣な面持ちで

「これは決して、簡単な職務ではありませんよ、君の右足の傷を焼いた時のランガードの気持ちがわかりますか?」


「帝国軍には治癒部隊と言う、大抵の傷なら治せる部隊があります。ランガードは君が傷を負った時に、治癒部隊を呼ばず、君の生命力にかけたんだよ。」


「簡単に直せる術があるのに、あえて君を辛い目に合わせて、喜んでやっていたと思うかい?どれだけ彼が苦しんで、君の生命力にかけていたか、、、もし君が死んだら彼は一生君の事を心の中に背負っていくつもりだったんだよ」


ツヴァイス・カーゼナル男爵は決意を持った瞳で皇太子を見つめて「ランガード閣下と同じ事を僕にやれとおっしゃられるのですね」


「そうです。できますか?」王子は厳しい顔をしながら目を見つめてくる。


「精一杯務めさせていただきます。」ツヴァイス・カーゼナル男爵は決意を込めて言う。


ランガードが優しく、座ったまま抱き寄せる。

「頑張れよ。迷ったら何時でも俺を頼れ、友達だからな」耳元でささやくランガード、、、


「ありがとうございます。ランガード様」小声で返す男爵。


アグシス国務長官が変わらず静かに

「試験方法は6ケ月の共同生活の合宿方式において資格の有無をツヴァイス・カーゼナル男爵に決めてもらいます。」


「人の好みではなく、領主としての資質を見極めて下さい。そしてどのような権力、地位、爵位、皇族、立場の者でも合宿中はあなたが最高責任者です。」


「気を引き締めて職務に(はげ)まれるようにまた、賄賂(わいろ)、誘惑、有害な接待などは高潔な強き心を持ち厳しく対処して下さい。」


ツヴァイス・カーゼナル男爵は「はい」と元気よくハキハキと答える。


「執務場所は、私の黒曜天宮 国務室に用意しますので、詳細な打ち合わせは国務室で行いましょう」


アルフィス・アソルト・アグシス国務長官は心の中で


(帝国に新しい風が吹いていく、、、)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ