炎元郷帰省
嵐・守護と竜・威は久しぶりに炎元郷に帰省する事にしたが、、、
宮廷の舞踏会が終わったのは、日付をまたいだ明け方近くだった。
結局、俺は12人の武神将全員と会い、親交を深めた。
全員の名前はとてもじゃないが、憶え切れなかった。
(竜・威は全ての武神将と准将の顔と名前、真甦を記憶していた。)
ただ、俺は全員とても強いという事は感じた。
その中でも、やはりアルセイス・アスティア・アグシス黒龍騎士団団長は別格に強いと感じた。
レィリア・アストネージュ金獅子近衛騎士団団長も強いが、戦闘的な強さより、精神的な強さに負けてる気がした、、、
【火の民】紅蓮の5柱の連中も初めての舞踏会を大いに楽しんだようだ。
特に門・夷塚は最後まで貴婦人や貴族の娘達に囲まれ楽しんでいた。だが、彼の場合はその姿が嫌味に見えない。
実に颯爽としておりごく自然な様子であった。
他の紅蓮の5柱達も美食に美酒を堪能し、帝国騎士団の武官や武将達と会話を楽しんでいた。
アースウェイグ帝国側の人達も大体概ね、嵐・守護の事を好意的に受け入れてくれた。
リスティアード・ローベルム・アルヴェス・アースウェイグ皇太子が事前に根回しして、平民出の苦労人がやっと成功を収め、武神将に迄昇進した苦労話を皇太子が言って回った成果だろう。
嵐・守護の事を英雄扱いして、武勇伝を膨らませて、吹聴し周り、武官、文官、貴族は皆 皇太子殿下の影響力もあったのだろうが、嵐・守護の事を好意的に受け入れてくれた。
一部、嫉妬心や妬みを持つ者も僅かだがいたのは否めない。
ーーーーー翌日午後。
俺は、竜・威を連れて皇帝陛下に炎元郷に帰郷する旨、報告に行った。
皇帝陛下に会うまで30分ほど待たされて、皇帝執務室に案内されると、あの男が居やがった。
「やぁ~、昨日はお疲れ様~」
リスティアード皇太子殿下である。
俺は無視して皇帝陛下に昨日の舞踏会のお礼と一ケ月余り、炎元郷に戻る許可をもらった。
部屋を出て行こうとした時、皇太子が皇帝に一言
「そういう事ですので、私も嵐・守護武神将と共に炎元郷に参ろうと思います。」
「留守はアルセイス卿に任せてあります。もし緊急事態の時は直ぐに戻って参りますので」
皇帝陛下は父親の顔をして「わかった、おぬしもしばらく休んでおらなんだからな、ゆっくり骨休みしてくるとよいぞ」
リスティアード皇太子がお辞儀をし、「ありがとうございます」と言いながら、俺にまた、ウィンクしてきやがった。
(殺せるもんなら殺してやりたい、、、、、無理だろうがな、、、、クソ)
外に出たら、既にレィリア・アストネージュ金獅子近衛騎士団団長が近衛隊500騎を準備して待っていた。
俺がたまげて「まさか、こいつら引き連れて炎元郷に行くわけじゃねぇだろうな」
レィリアは静かに冷たく「皇太子殿下のご遠征です。これでも少ないくらいです。何か問題でも?」
(目、目が怖い、、、、)
俺は恐る恐る「じゃぁよぅ、皇太子殿下殿にどっか他に行ってもらえば、、、」
「無礼は許しませんよ!」
「新参者の武神将が帝国軍最高司令長官に意見するなど100年早い!」
(100年は生きらんねぇだろ、、、)
(突っ込み所満載だが、言えねぇな、、、そもそも炎元郷は【火の民】に自治権があってその族長の俺がなんでこんなに気を使わなきゃなんねぇんだ?)
俺は口笛を吹いた。
ピュー
どどどどどどどどど
地面を揺るがし、阿修羅丸が走ってくる。
俺は叫ぶ「竜・威!」
タンと地面を蹴り、阿修羅丸に乗騎する。
同時に竜・威が横に現れる。
「俺と阿修羅丸を炎元郷に頼む」
竜・威は小声で「いいんですか?」
俺は大声で「行け!」と叫んだ。
竜・威は俺の肩に右手を乗せてきた。
瞬間竜・威と俺と阿修羅丸は消えた。
竜・威の進化の恩恵で、今では触れた物を自分と同じ超神速にする事が出来るようになっていた。
一瞬で黒曜天宮を後にして、山々を超え、草原に出る。
竜・威が話しかけてくる。
「本当にまずくないですか?」
「かまわねぇよ、早々いつも思い通りにされてたまるかよ」
超神速で飛ぶ俺と竜・威と阿修羅丸。
っと、突然声を掛けられる。
「僕を置いていかないでよぅ~」
「「「!!」」」
リスティアード皇太子が超神速で飛んでいる俺達の横に突然現れた。
「なんでこの速さに付いてこれんだよ!デタラメだなおめぇ」
リスティアード皇太子は豪奢な金髪をかき分ける様なしぐさで「そんな事ないよう~普通だよぅ~」
(やっぱこいつ、一度殺したい、、、が出来ねぇんだよな、、、)
結局、炎元郷まで2時間も掛からずに着いてしまった。
俺が最初に呆れて声を掛ける「知らねぇからな、レィリア今頃すんげぇ怒りまくってるぜきっと。」
「大丈夫だよぅ~レィリアはああ見えて僕にはとっても優しいんだよ~」ふざけたことを平気で言う困った王子様だ。
困った王子がまともな事を言ってきた。
「紅蓮の5柱のみんなはどうするの?」
竜・威が答える。
「門・夷塚と初瀬・燕は帝都アーセサスに残り、新設の不死鳥騎士団創設の用意をさせてます。」
「❘界・爆弾と岩・破砕は【火の民】戦士を約半数連れて一度、炎元郷に帰還します。」
「そうなんだぁ~」
「じゃぁさ、折角だからさぁ~メイラさんも呼ぼうよ~」
俺が「はっ?なんでここでメイラが出てくんだよ!」この王子様の力もデタラメだが、ペースもデタラメなのが気に入らねぇんだ!俺は!っと心の中で叫ぶ。
(メイラいるか?)
(こんにちは嵐さん、こんな時間にどうされましたか?)
(実は困った王子様がメイラを炎元郷に呼べって言うんだよ)
(まぁ、それはもしかしてリスティアード皇太子殿下ですか?)
(正式名称ではそういう呼び方になってるな、、、うん)
(四海聖竜王様のお呼びでは行かない訳には参りませんね)
(それに、前に竜騎馬を見せてくれるって言っていたじゃないですか!)
(いいのか?)
(ええ、喜んで、着替えをしますので30分後にこの間の様に私を召喚して下さい。)
(無理言ってわりぃな、じゃ後でな)
(はい)
俺は奴に振り向き「30分後に来るってよ!」と答えた。
リスティアード皇太子は満面の笑みで「それは良かったなぁ~」
ーーー黒曜天宮では
レィリア・アストネージュ金獅子近衛騎士団団長が隣にいた近衛騎士の大盾を右手の握りこぶしでぶん殴っていた。
DONN!!
吹っ飛ぶ近衛騎士、、、
「あんの、馬鹿どもがぁー!!」
怒りのオーラ全開の近衛騎士団団長だった。
可哀想なのは、たまたまレィリアの隣にいた近衛騎士、、、




