戦果
ジャシス国王を捉えた、嵐・守護は驚愕の出来事をしでかす。
ジャシス国王陛下は可哀想な位、精神的に憔悴していた。
嵐・守護は構わず、羽交い絞めにしたまま無理やり立たせている。
「じゃぁ、王様ようケジメの話を付けようや」
弱り切った、国王は
「な、何が望みじゃ?」
俺は堂々と言い放った。
「国庫の財宝半分とあんた皇族とそこの3人、私財全て!」
「それで、決着だ、嫌ならおめぇ等の命はここで燃やす。」
「好きな方を選べよ」
国王は「そ、そんな、、、」言葉に詰まる。
嵐が獰猛に国王を睨み
「おりゃ、短気でよ!悠長に待ってらんねぇ」
「おめぇ達は、喧嘩売っちゃいけねぇ相手に喧嘩売ったんだ」
「判断間違えば、王様ってのはすみませんでした。で済む立場じゃねぇんだよ!」
掌から青い炎の形をした大剣を吐き出す。
真甦を練り上げて作った、『魔』を滅する青い炎の剣。
「選べねぇんじゃ、俺が選んでやる。」
青い炎の剣を国王の顔に近づける。
ジャシス国王陛下が威厳も尊厳もかなぐり捨てて
「あ、熱い。た、頼む殺さないでくれ、、、」
嵐・守護は青い剣を国王の首に当てるようにして
「駄目だ、時間切れだ。貴様は死ね」
竜・威は心の中で
(これって迫真の演技? 本性? 多分楽しんでるんだろうな、、、)
アルセイスは見て見ない振りをしていた。
ジャシス国王は残った力全てを使い果たし大声で叫んだ。
「ま、待ってくれ!全て、お主の言う通りにする。」
「い、命だけは助けてくれ、、、く、下さい、、、」
嵐はニヤッと獰猛に笑い
「じゃ、1時間だけ待ってやる。それ以降は10分すぎる事に手足を1本ずつ、灰にしてやる。」
国王は兵士達に向かって命令した。
「な、何をしておるか!早く言われたものを用意するのだ。」
兵士、文官、そこにいた何千人の人間が慌ただしく駆けまわり始めた。
嵐は大声で「荷馬車も用意すんだぞ!!」
ー1時間後ー
5台の巨大な荷馬車に金銀財宝が山のように積まれて、【火の民】の前に用意された。
早速【火の民】が馬の代わりに竜騎馬を荷馬車1台に4騎ずつ、繋げて自らが御者台に座る。
国王はこれで解放されると思い、少し元気になって
「お主の言う通りにしたぞ、余を開放せよ」
嵐は王様見て、
「馬鹿言ってんじゃねぇよ、おめぇら4人は国境まで人質だ。」
兵士達に向かって、
「攻撃してきたら始めにお前らの王様燃やしちまうからな」
「じゃあな、邪魔したぜ」
「全軍帰還する。」
「「「「応っ!!」」」」
ガラガラ5台の荷馬車が走り出す。
先頭を嵐・守護が乗る荷馬車に国王他、要職の3人を縛り上げて、見せしめの様に御者台に乗せられている。
横を阿修羅丸と竜・威が並び、【火の民】各部隊が荷馬車の廻りを囲む。
アルセイスはかなり気まずそうにジャシス国王の方を見ないように嵐に静かに話しかける。
「相手は一応王族だぞ、もっと扱いに気をかけろ」
嵐は
「こいつらは、やっちゃなんねぇ事を命令した。張本人たちだ。相応の罰は受けるもんだ」
「王族なんざ、クソくらえ!だ」
「これが俺の正義だ。」
アルセイスは「わかった、国境で解放するんだな」
嵐は「ああ」とだけ答えた。
1時間ほどして、ジャシス国王軍が遠巻きに【火の民】部隊の後を着いて来る。
嵐・守護がジャシス国王に向かって
「これで、民の税をもし上げたら、今度は容赦しねぇ、ジャシス国はアースウェイグって名前に変わるからな」
ジャシス国王はちょっと落ち着いてきたようで
「わ、わかった。税は上げぬと約束しよう。お主、嵐・守護と申したか?」
「ああ」
国王陛下は遠慮がちに「帝国騎士なのか、、、」
俺は「いや、只の傭兵だ。」
「帝国騎士は俺なんかより、もっと強いぜ。」
「アースウェイグ帝国ってのはそういう国なんだよ」
ジャシス国王は「・・・・」押し黙ってしまった。
暫くして国境が見えてきた。
俺はアルセイスに向かって
「後ろから、まだ敵軍が来てるからよ、お前の騎士団を迎えに寄こしてくんねぇかな?」
アルセイスは疑わしい表情でジッと俺を見る。
「承知」と言い。
電撃と共に掻き消えた。
俺はジャシス国の4人を い・ち・お・う 解放した。
4人は走って、自軍の軍隊の方に駆け戻って行った。
竜・威が一瞬消えた。
誰も気が付かない、、、
灼熱の【火の民】戦闘部隊は大量の金銀財宝を持ち帰って【凱旋】した。
【火の民】部隊の損耗はいたって軽微であり、死傷者はなく軽傷者が少し出ただけであった。
そのまま、黒龍騎士団に守られ、帝都アーセサスまで帰還した。
国境は遅れて到着した。東南方面師団 第18兵士団が守りに就いた。
帝都アーセサス入口ではリスティアード皇太子殿下とレィリア・アストネージュ金獅子近衛5千名と帝国騎士2万名余りが、黒龍騎士団と【火の民】の凱旋を歓迎して、きちんと整列して迎えてくれた。
皆、大盾を左手に持ち帯剣し、騎士団それぞれの色の長い外套を肩に掛け右手は左胸に拳をあて直立していた。
レィリア・アストネージュ金獅子近衛騎士団 団長が大音声の良く通る声で歌を歌うように奏でる。
「黒龍騎士団及び千人傭兵騎士団の完全勝利に対し、抜剣!敬礼せよ!」
ZA!!
2万5千名の騎士団全員が、自らの剣を抜き放ち柄を胸に当て、戦勝軍を出迎える。
壮観な様子である。
【帝国騎士】は兵士団や旅団、警備団とは異なり、立派な揃った鎧を付け、12騎士団のそれぞれの特徴ある色や印、外套をつけて、各軍旗を翻しており漆黒の黒曜天宮を背後に見据えて、写る姿はまさに神々しささえあった。
今回の指揮官、アルセイス・アスティア・アグシス黒龍騎士団団長を先頭に、副官ガウス・ヴォーフェミア准将、嵐・守護と竜・威が続き、その後を黒龍騎士団、最後尾を【火の民】紅蓮の傭兵部隊とジャシス王国より奪った、竜騎馬に引かれる 大きい荷馬車5台が続いた。
2万5千人の帝国騎士団の熱烈な歓迎を受け、帝都入り口にはリスティアード皇太子殿下が黄金色の鎧を全身に纏い正装した姿で出迎えた。
アルセイスとガウス、竜・威が右膝をつき左膝を立てて【騎士の礼】を取る。
黒龍騎士団全員が竜騎馬より降り、団長に倣う
相変わらず、立ったままの嵐・守護をリスティアード皇太子殿下が微笑みながら見て
「みんなお帰り、ご苦労様だったねぇ~」
アルセイスが代表して「只今、任務完遂し、帰参致しました。」と述べる。
リスティアード皇太子はそれに答え
「疲れてる所、悪いんだけど~、皇帝陛下がお待ちなんで戦勝報告してもらってもいいかな?」
アルセイスが短く「はっ!」と答える。
ーー黒曜天宮 謁見の間ーー
玉座にルグナス・ハルスト・アルヴェス・アースウェイグ陛下が座していた。
士官のみ、陛下の御前に案内され皆、【騎士の礼】を取る。
左右には准将以上の武官、高級文官、高位貴族が同じく【騎士の礼】を取る。
嵐・守護だけは相変わらず、立ったままである。
皇帝陛下が上機嫌で「一同面を上げよ」
皇帝陛下の隣にはリスティアード皇太子殿下と国務長官アルフィス・アソルト・アグシス侯爵が控える。
国務長官が自分の息子に向かって「アルセイス黒龍騎士団団長、戦勝報告を!」
アルセイスは「はっ」と答え、此度の戦の詳細を語り、嵐・守護の暴走やジャシス王国国王陛下に対する暴行等、、、余計な事は報告しなかった。
一通り報告が終わると、国王陛下は上機嫌のまま
「一同、大義であったな」
そこで嵐・守護がいきなり発言を求める。
「皇帝陛下、ちょっといいか?」
皇帝は機嫌よく「【火の民】族長、何であるか?」
俺は目配せして、
「陛下に合わせたい人物がいるんだが、会ってもらえるか?」
皇帝陛下は訝しみながらも
「嵐・守護殿が言うのなら会おうぞ」
俺は声をかける。「連れてこい」
アルセイスが(まさか、、、)
重量級体躯の❘界・爆弾が麻袋に詰められた人間の様な物を肩に担いで、軽々と運んでくる。
静かに床に置く。
俺は❘界・爆弾に命令する。
「袋から出してやれ」
❘界・爆弾は直ぐに命令に従う。
そして、、、麻袋から現れたのは、、、
国境で解放された、、、はずの、、、
ジャシス国王陛下本人であった。
アルセイスが(あのバカ、、、、)
嵐はジャシス国王に声をかける。
「ここはアースウェイグ帝国 帝都アーセサスにある黒曜天宮だ、あっちにいるのが皇帝陛下だ。」
状況が少しづつ呑み込めたジャシス国王であったが、国王が何か言う前に嵐・守護が獰猛に叫ぶ。
「喧嘩したらよ、当人同士で話し合い、許しを請うのがスジだろ!」
そう、国境でジャシス王国要人4人を解放した後、能力が上がった、竜・威が超神速で国王だけ再度拉致したのだった。
謁見の間にいる全員が凍り付いたように、一言も発さなかった。その静寂をアルフィス・アソルト・アグシス国務長官が破った。
「陛下、良い機会です。」
「こうして、ジャシス国王陛下御本人と会見がする事が出来たのであれば、今後の為にも相互不可侵条約を締結されてはいかがですかな?」
皇帝陛下はまだ、状況が完全に飲み込めない様子で、、、
「そうであるな、、、」
国務長官が「それでは、ジャシス国王陛下には別室にてお控えいただきなさい。」
「失礼無きようにな」
ちらっと、嵐・守護の方を見て、口に笑みを作った。
ジャシス国王は結局、謁見の間では一言も発する事なく、別室に案内された。
ジャシス国王の姿が見えなくなると突然、、、
アースウェイグ帝国 皇帝陛下が声を殺しながらも痛快に
笑い出した。
「く、はっはっはっ」
「1国の国王が麻袋に入れられて、この様に連れてこられるとは、、、」
「なんと痛快であるか!」
「はっはははははー」
「こ、こんなに笑おうたのは何年ぶりであるか、、、くはっ、ははは」皇帝陛下は目から涙を流しながら笑いが止まらない様子だった。
国務長官が「こほん」と咳払いする。
皇帝陛下は急に真面目で威厳のあるいつもの顔に戻り
「【火の民】が族長、嵐・守護殿、此度の勝利及びその方のやりよう、、、余は大変気に入った。」
「特別な報酬をやるとしよう」
「嵐・守護殿の欲しい物を何でも申すがよい」
嵐・守護はすっきりした顔で
「俺は何にもいらねぇよ、部下に褒美をやってくれりゃそれでいい」
皇帝は「部下に見合った褒賞を与えるのは必然であるが、責任者のおぬしが部下より褒賞が低い訳にはいかぬぞ」
そこでこいつが間に入ってきやがる。
リスティアード皇太子殿下である。
「陛下、発言をお許しいただけますか?」
「皇太子話すがよい」
「ご提案がございます。」
いつものにやけ面ではなく朗々と真面目な顔をして俺より背が高く、容姿端麗で滅茶苦茶強いお坊ちゃまは語りだした。
「現在我帝国には12個の帝国騎士団が存在致します。」
「帝国騎士になるには、貴族の門弟か有名道場の推薦が無ければなれませぬ」
「どちらにしても、経済的に余裕のある者しか、帝国騎士にはなれぬのが現状。」
「そこで、一般の民でも志ある者ならば、帝国騎士になれる。という門徒の裾野を拡大しては如何と考えます。」
「新しき13番目の帝国騎士団の創設を提案いたします。」




