傭兵千人隊長出陣
不振な動きのジャシス王国軍に対し、リスティアード皇太子殿下は早々に以外な手を打つ、、、
リスティアード皇太子は黒曜天宮の中央棟にある皇太子宮の自分の執務室にいた。
部屋は飾り気無く、質実剛健を旨とするアースウェイグ帝国の習わしに沿った造りになっていた。
皇帝陛下の執務室ほど広くはないが、優に50人は入れそうな広さだ。
リスティアード皇太子の他にアルセイス・アスティア・アグシス黒龍騎士団団長と副団長のガウス・ヴォーフェミア准将と見知らぬ高級武官2人と俺の合計6人がいた。
6人は部屋の中央に用意された机の上に広がった、地図を囲んでいた。
高級武官の2人は1人は
東南方面師団所属の第18兵士団指揮官ともう1人は帝都在中の
帝都中央師団所属の第03兵士団指揮官らしい、長くて難しいから、名前まで憶え切れなかった、、、、
リスティアードが東南方面なんちゃらの第18兵士団に指揮官に向かって
「それじゃ、状況を説明して」
なんちゃら第18兵士団指揮官が話し始める。
「はっ、本日日の出頃、巡回中の国境警備より連絡あり」
「ヴォルグス砦の東南国境より5キロ程の場所にジャシス王国と思われる軍隊約3万5千が集結しつつあるのを発見しました。」
リスティアードが微笑みながら
「嵐・守護ならどうする?」
俺は「俺に任せてくれ!」
「きっちりけじめ付けてきてやる!」
皇太子はニコニコしながら「うんいいねぇ」
「じゃ、やっつけちゃう?」
俺は獰猛に吠える「オウ!!」
リスティアードは「じゃ、敵が国境警備隊に攻撃を加えてきた時点で反撃を開始する事。」
「先鋒は嵐・守護の傭兵千人隊。」
「本陣をアルセイスの黒龍騎士団 五千。」
「東南方面師団所属の第18兵士団1万」
「以上、1万6千で良いかな?」
俺は「俺の千で充分だぜ。」
リスティアードが苦笑いして「初陣で3万5千対1千じゃいくら君が強いとわかっていても可哀想でしょ。」
「アルセイスに総司令官としてフォローしてもらってくれるかな~」
俺は「足手まといになったら、置いて行くからな」
アルセイスが静かに「ほざけ」
只でさえ、嵐・守護にとっては初めての集団戦闘でリスティアード皇太子が揃えた兵力は敵総兵力の約半数、戦略的に不利を戦術で何とかしろという事だが、嵐・守護は1千で35倍の敵をやっつけるつもりらしい、、、
しかし、今のアースウェイグ帝国にとって3万5千以上の兵力を整える事など造作もない事なのに敢えて、半数で叩けと言っている。
リスティアード皇太子殿下がちょっと真面目な顔して閉める。
「それじゃ、ヴォルグス砦を拠点として、速やかに迎撃に向かって下さい。」
「国王陛下には私から報告しておきます。」
「思う存分暴れて下さい。」
「「「「はっ!!」」」」
それぞれの部隊の出陣を用意する為、皆、部屋を出て行く。
ーー1時間後ーー
黒曜天宮 正門前大広場
一番早く、出陣準備が整ったのは数が少ない事もあるが、日頃より気心しれ練習を重ねている【火の民】傭兵部隊が一番早かった。
しかも、全員 竜騎馬に乗騎している。
竜騎馬を使う傭兵隊など、【火の民】以外には考えられない事だった。
全員揃った装備、鎧。普通にどこかの国家の軍隊と言われても何の不思議もなかった。
知れた、顔振りだった。
紅蓮の5柱は全員部下を連れて参加している。
5万人いる【火の民】中の1千である。
精鋭中の精鋭の集まりであった。
【火の民】の後方には黒龍騎士団5千がほぼ準備が整っていた。
こちらも、もちろん全員竜騎馬乗騎である。
東南方面師団所属の第18兵士団1万はヴォルグス砦で合流する事になっている。
兵士団は馬と徒歩の戦闘集団である。
嵐・守護の傭兵団がいかに異様さがよくわかると思う。
嵐・守護が副官竜・威を連れ、前に立つ。
2人の後ろには深紅に炎の印の【火の民】を表す。旗が大きく翻っていた。
嵐・守護が皆に声をかける。
「ジャシス王国軍なんぞに遅れを取るんじゃねぇぞ!!」
「「「「「応!!」」」」
「我ら、紅蓮の戦士の初陣だ、気合入れていくぞ」
「「「「応!!」」」」
「ヴォルクルス砦迄、一気掛けで行くぞ!!」
「出陣!!すべて焼き払え!!」
「「「「焼き払え!!」」」」
【火の民】の戦闘に行く時の合言葉である。
紅蓮の戦士皆、赤い髪を逆立て、竜騎馬を進ませる。
ドドドドドドドドー
1千騎でも、竜騎馬は大きく、力強いので音が響く。
【火の民】に続き、黒龍騎士団も出陣する。
黒曜天宮が震えるようである。
リスティアード皇太子殿下が金獅子近衛騎士団 団長レィリア・アストネージュ武神将を連れ、正門を出たすぐ脇の高台で皆を見送る。
嵐・守護気付き、抜剣して。剣を天に向け 手を振るリスティアード皇太子殿下に答える。
【火の民】全員が習い抜剣して、剣を天に向ける。
そして最後尾に【火の民】の深紅の旗が大きく翻る。
続いて黒龍騎士団も剣を抜き、剣の柄を胸に当て乗騎上の騎士の礼を取る。
黒龍騎士団の旗は漆黒の黒地に竜の顔を白く型取った大きな旗である。
6千の竜騎馬兵が全員、リスティアード皇太子殿下の前を駆け抜けていく。
「迫力あるね~」
レィリアが後ろから尋ねてくる。
「何故、兵を出し惜しみなさいましたのですか?」
「戦略的に敵より兵数を多く揃えるのは、基本と存じますが」
リスティアード皇太子殿下がニヤニヤしながら
「敵の半数で、やっつけたらかっこいいじゃない。」
レィリアが呆れて「【かっこいい】の為になされたのですか?」
相変わらずニコニコしながら、「嵐・守護の初陣は派手に勝ってもらわないとね、いろいろ困るんだよ~」
レィリアは(ここに嵐・守護がいなくて良かったわね)とひそかに思った。
ズドドドドドドー!!
6千の竜騎馬は怒涛の如く疾走していく。
先頭を走るのは嵐・守護と竜・威それに続くように紅蓮の5柱が続く。
深紅の地に炎の印を型取った、大きな【火の民】旗が翻る。
続く黒龍騎士団は、アルセイス・アスティア・アグシス団長を先頭にガウス准将が続く。
無駄口を一切聞かない、武装も鎧から、兜、剣の鞘、竜騎馬の鞍から鐙迄、全て漆黒の黒に塗装されていた。
鍛えられた帝国騎士団の精鋭中の精鋭。帝国軍12騎士団中、最強を誇る。
ヴォルグス砦迄は竜騎馬だと3日位の行程である。




