帝都アーセサス潜入
無事に帝都アーセサス潜入した【火の民】12名、最強コンビの嵐・守護と竜・威傭兵部隊に潜入し任務に就くが、そこでまた、とんでもないことに、、、
ロリーデ・ガルクス城主はかなり興奮して憤慨していた。
不名誉な罪を擦り付けられた事と皇弟殿下の陰謀に対して憤りのない怒りを吐き出していたのである。
門・夷塚は炎元郷まで道中、竜騎馬の後部に乗せた、ロリーデの怒りを黙って聞いていた。
ロリーデがしゃべり疲れるのを待って、現在の状況を的確に説明し、此度の件は全て【火の民】に任せてもらうよう要請した。
そして、ロリーデの身柄は一件落着するまで炎元郷で保護する旨と、ビル・ヘイム卿も炎元郷で保護している旨を伝えた。
ロリーデ城主はすまなそうに「面倒をおかけいたす」とだけ言った。
ーー所は変わり帝都アーセサスーー
嵐・守護と竜・威は帝国騎士団本部棟にある傭兵受付窓口にいた。
「俺は【灼熱の紅傭兵】の嵐・守護こっちは連れの竜・威だ。」
「今すぐ任務に就ける傭兵部隊に入れて欲しい、内容はどんなんでも構わねぇからよ」
受付窓口の担当官は元帝国騎士団所属していた猛者らしいが、片足を戦場で失った為、文官として現職に就いているようだ。
「ほう【灼熱の紅傭兵】の名は聞いた事がある。それにお主強いな!よかろう採用してやる」
「ありがとうよ」
「今すぐからとなると、1時間後に出発の雲丈賀山の峠街道に最近出る、山賊討伐に出る任務があるが、どうだ?」
「それでいいぜ」
「よし、ではこれが契約書と重要禁止事項書だ、読んで、名前を書いてくれ」
「集合場所はこの先、右側にある帝国騎士団第12広場だ」
「隊長はベッグ隊長以下50名だ、隊長には俺の方から連絡しておく」
「了解だ、よろしく頼む」
手続きを済ませて、集合場所に向かう途中、周辺に気を配りながら小声で話し合う2人。
「族長、他の二つの部隊は皆、成功したようです。死傷者は共に無しとの報告です。」
「ロリーデ様は門・夷塚が無事保護し炎元郷に向かっているとの事です。」
「わかった」
「ここで族長はまずいだろ」
竜・威の目がにやけてる
「ではランと呼び捨てにしていいですか?」
嵐が笑いながら
「せめて、さんは付けようぜ」
「竜・威ちゃん」
竜・威が真面目な顔に戻り
「ここは敵地ですから、あまりふざけるのはやめましょう」
「他の潜入組は上手く入れたみたいですよ」
嵐が上を見上げて
「あの黒いご立派な城が黒曜天宮ってわけか、随分上の方にあるな」
「ええ、アーセサスでは一番高い所にあるそうですよ」
「皇族、上流貴族の住まいを兼ねたアースウェイグ帝国の中枢です。もちろんその分警備も固いでしょう」
「その下に12帝国騎士団の城がそれぞれ12個、囲むように建っています。」
嵐がたまげた顔で
「1騎士団に1個、城があるのかよすげぇな」
「1騎士団には何人の騎士団員がいるんだ?」
竜・威が即答してくる。
「基本1騎士団5000名の様ですよ。」
俺は再度確認し見る。
「んじゃ、あそこに6万人の帝国騎士がいるってことか」
竜・威ははきはきと即答してくる。
「警備団、兵士団、憲兵団、傭兵団、その他入れると20万は超えるんじゃないですか?」
俺は呆れた顔で、、、
「そんなに兵隊揃えて、どうすんかね」
竜・威はこれからの敵の大きさを実感しながら「大陸最強は伊達ではないという事ですね」
帝国騎士団第12広場
山賊討伐に向かう、傭兵部隊のベッグ隊長は中年の少々太りすぎの体形の髪の薄い男だった。
どう見ても、百戦錬磨とは言えない風貌だった。
「おまえらか、追加で2人入るというのは」
嵐・守護が何か言う前に素早く
竜・威が返答する
「無理を言ってすいませんが、よろしくお願いします。」
「雲丈賀山迄は馬で半日位だ、これから出発して午後には山賊の首領を捕縛又は殺害して今日中に帰ってくる簡単な任務だ」
竜・威が可愛らしい撫で声で聴く。
「山賊の住処とか居所はわかっていらっしゃるのですか?」
太った、腹をゆすりながらベッグ隊長は誇らしげに
「ああ、既に調査済みだ、ちなみに我隊が現地に到着する頃、山賊どもは民間の隊商を狙って、狩に出てくるようだぞ、上手く鉢合わせ出来たら楽な仕事になるのだがなぁ」
竜・威がこれまた下手に下手に聞く。
以外にこいつうまく化けやがるな、などと感心しつつ
「山賊の人数はどれくらいなんですか?」
「約30名前後だ」
「わかりました。微力を尽くさせていただきます。」
「おう、頑張りすぎるなよ、首領さえ殺しちまえば後は有象無象の集まりだ」
(この隊だって、有象無象の集まりじゃねぇか)
嵐・守護は周りを見回して思った。
雲丈賀山の峠街道は帝都アーセサスに近いせいか、かなり整備されており道幅は馬車3台が余裕ですれ違える道幅で谷側の崖には防護柵も作られていた。
ベッグの部隊は隊列を組むでもなく、だらだらと馬を勝手に走らせて進軍していた。
嵐・守護と竜・威は最後尾を2列で着いて行った。
「だらしねぇ、部隊だな」
「帝国騎士団ならまだしも、傭兵の30名の山賊討伐に出る部隊はこんなものじゃないですか?」
「【火の民】は何も言わなくてもきちんとしていたな」
竜・威は誇らしげに小さな声で言う。
「当たり前です。【火の民】は戦闘部族ですよ」
「常に自己も部隊としても練兵練達を重ねています。」
「それに各人の能力向上と武芸練達は仕事とは別に、毎日欠かさず鍛錬してますからね。」
嵐が両手を頭の後ろで組みながら
「俺は実戦向きなんだがなぁ」
竜・威は真剣に言ってくる。
「鍛錬してください。」
「【誉武号牙炎】の使い方、、、真甦の練度を増して、広く大きく攻撃するだけでなく、細く鋭くすることも大切ですよ」
「はいはい」
「はいは一度だけと前にも言いましたよね」
「は・い」
などど、毎度の夫婦漫才を繰り返していたら、雲丈賀山の峠街道に入る所まで来ていた。
これがまた、面白いように峠街道に入った途端にいかにも山賊らしい男たちが30名ほどと鉢合わせたのである。
偶然にしては上手くいきすぎている。
ベッグ隊長はすぐさま
「あの体のでかい黒い鎧を付けたのが首領だ打ち取れ」
50名の傭兵が見事バラバラに攻撃を仕掛ける。
不自然だ不自然すぎると俺は思った。
そして山賊はおかしな動きをしていた。
見て取ったのはおそらく【火の民】2名だけだろう。
交戦する前から、一部の山賊が15名程、逃走したのである。
首領を置いて、、、
50対15である。
子供のチャンバラよりひどいなと嵐・守護は思いながら、逃走した15名の方をずっと見ていた。
「首領を打ち取ったぞ!」
興奮しながら叫ぶ、傭兵達。
これだけの戦力差があれば当然の結果だろう。
ベッグ隊長が号令をかける
「よし、任務成功だ帰還するぞ!」
「ちょっと、いいか?」
嵐・守護が冷淡に言う。
「逃げた残党の先に民間の隊商がいるぞ、巻き添えになる前に掃討した方がいいんじゃねぇのか?」
ベッグ隊長はあからさまに動揺しそれを隠そうとするように赤ら顔で大声で怒鳴った。
「我らの任務は、山賊首領討伐だ!」
「任務は達成された、帰還するんだ」
俺は呆れながら一応言ってみる。
「あの民間の隊商はどうなってもいいと、、、」
でぶっちょな隊長は顔を真っ赤にして怒鳴ってきた。
弱い奴ほどよく吠える。
「め、命令である。全員帰還だ」
俺達は横目で視線を合わせて
「・・・・」
「ベッグ隊長、我ら2名は命令を無視いたします。」
「な、なんだと!じょ、上官の命令無視は厳罰の対象だぞ!」
俺は吠える。
「わかってるぜ」
「じゃぁな」
馬の腹を蹴り、猛烈な勢いで走り出す【火の民】最強コンビ。
徒歩で逃げていた山賊の残党たちは、目前に迫った民間の隊商に向かって剣を振り上げ、荷馬車と馬を奪い取る目的の様だった。
猛追しながら指示を出す。
「【竜・威】あの背のちっこいのは殺すな捕らえるんだ」
「わかりました。私が捕縛して消えます。」
ギリギリのところで追いついた【火の民】の二人は能力を使わず、あっという間に9人を切り伏せた。
残る1人は竜・威が手刀を首に打ち込み気を失わせる。
そして、焦げ臭い臭いを残して
消えた。
荷馬車の主人達から、感謝されながらベッグ隊長の所に戻るとベッグ隊長の顔がどす黒く変わっていた。
「もう一人はどうした」
俺はすっとぼけながら
「やられちまったんですかね、消えちゃいましたよ」
ベッグ隊長の怒りはマックスに達していた。
「貴様だけでも命令違反で軍法査問会議行だぞ、覚悟しておけ!」
「はいはい」
「あっ、はいは一回か、、、」




