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BU・SI・N・SYO  作者: イ-401号
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ロリーデ・ガルクス城主閣下奪還

ロリーデ・ガルクス城主奪還に向かった【火の民】紅蓮の5柱が1柱【門・夷塚(もん・いづか)】率いる。100名の灼熱の戦士、奪還なるか決戦場は帝都アーセサス近くの弾丸絶壁のある鋸山峠の道中であった。

アースウェイグ帝国帝都アーセサスは四方を標高2500メートルを超える山々に囲まれている天然の要塞空中都市である。


皇族が住まう黒曜天宮はアーセサスの中心、一番標高が高い場所に建造されていた。


天然黒曜石で全て建てられた皇宮は床も柱も天井も黒く豪奢(ごうしゃ)(おもむき)が強く、優雅(ゆうが)柳眉(りゅうび)というより機能性を重視した、質実剛健(しつじつごうけん)さが伺える造りであった。


季節によっては黒曜天宮の下に雲海が(おお)う事もあり、大型のテラスから見る景色は雲海を真下に見て、まるで天上人にでもなったような錯覚(さっかく)すら覚えるのであった。


 ロリーデ・ガルクス城主を護送する、皇室直属憲兵隊は帝都を囲む山々の一番遠い鋸山(のこぎりやま)の峠に差し掛かる所であった。


憲兵隊は全員馬に騎乗しており、50名の部隊中心あたりに鉄製の護送車を6頭の馬で引いていた。


ロリーデはこの鉄製の護送車に入れられていた、見張りに就いた警備は護送車内に2名と御者が2名の計4名。


切り立つ鋸山の標高は2600メートル、峠道は馬車2台が余裕ですれ違えるほどの幅があったが、谷側は弾丸絶壁(だんがんぜっぺき)の崖が続いている。


万一、落ちたりしたら絶対に命は助からない。


深い深い谷底になっていた。


峠道上方の窪みのある所に颯爽(さっそう)(たたず)み憲兵隊の部隊を鋭い眼光で睨む、男がいた。


【火の民】紅蓮の5柱が1柱、【門・夷塚】(もん・いづか)である。


細面の切れ長の顔立ちに、整った目鼻立ちの中でも細く鋭い眼差しが彼を只者ではないと物語っているようである。


26歳、彼の体躯は身長185センチ、体重70キロと細く引き締まっており手足は長く、髪は【火の民】にしては薄い赤色で前髪は鋭い眼差しを隠す様に鼻先辺りまで伸ばしていた。


一言で言えば、男前なのである。


町を歩けば、必ずと言ってよいほど女性が振り返るほどの端正な顔立ちなのであるが、何よりも彼を印象付けるのは、その(たたず)まいと雰囲気である。


気品さえも感じる風体は人を超越(ちょうえつ)した神々の様に人間離れしていた。


「目標を発見した。行動に移る」


「皆、作戦通り行動せよ」


「「「はっ!」」」


いきなり崖の(くぼ)みから、門・夷塚(もん・いづか)は両手を広げ空中に身を躍らせた。


標的はロリーデが捕らえられている鉄製の護送車である。


空中に飛んだ瞬間に体中から青白い炎を吐き出し、護送車に向かって落下していく。


護送車の天井にぶつかると思った時に青白い炎は更に吹き上がり落下速度を急激に落とす。


そして、護送車の屋根に着陸すると思いきや、屋根を透過した。


そう、屋根をすり抜けたのだ!


驚いたのは護送車の中にいた2名の憲兵隊とロリーデ・ガルクス本人達であろう。


いきなり屋根を素通りして青白い火の玉の人間が護送車内に現れたのである。


そう彼の能力程、特別な者は炎元郷にも5人といない、その中でも門・夷塚(もん・いづか)は特別中の特別だった。


壁でも人でも何でも、自分より真甦の強い者以外は全て、透過することが可能なのだ。


しかも彼は彼が触れたものなら、人でも物でも全て同じくすり抜ける能力を使う事ができるのである。


しかも彼は【火の民】紅蓮の5柱、真甦量は非常に多い。


アースウェイグ帝国帝国騎士の中でも准将、武神将クラスでなければ、彼の行く手を(さえぎ)ることは不可能であったろう。


【火の民】の強さの根源は、同じ真甦の種族が部族として存在していることだ。


【火の民】以外、同じ真甦の種族で部族を作っている者達はいない。


せいぜい、【土の民】が職業として鍛冶屋を生業として、数人の【土の民】が集まっているとか、【水の民】が漁師仲間として群れているなど、その程度である。


そして何よりも【火の民】の強さの秘密は【竜・威】(りゅう・い)の存在である。


年齢20歳と若輩ながら、紅蓮の5柱の最上位に選ばれてる彼は判断力、決断力、作戦作成能力、指揮能力、状況判断、、、等々リーダーたる気質に溢れている。


その中でも、抜きんでてる能力が【火の民】全員の能力の把握である。


作戦を立て、実行部隊を選ぶときに最良の能力者を任務にあてる。


簡単そうだが、5万人を超す【火の民】を統率するのは並大抵の事ではない。


門・夷塚(もん・いずか)の強さは透過の他に、部分的に体を通常に戻す事が出来ることだ。


簡単なようだが、物凄い集中力を必要とする。


今も体は能力を使って透過しているが、足の裏だけは能力を消しているのだ。


で、なければ護送車さえも突き抜けてしまう。


そして、次の瞬間、門・夷塚(もん・いづか)は利き腕の右腕の能力を解いた。


短剣を抜き放ち、あっという間に憲兵隊一人の首を切り裂く、噴き出る血しぶきも彼を透過してしまう。


驚いているもう一人が剣を抜こうとする。


ロリーデ・ガルクスが両手両足に(かせ)をされたまま、体当たりをくらわし憲兵隊は悶絶(もんぜつ)する。


そこへ能力を解いた、左手で口を押えて無情に門・夷塚(もん・いづか)の短剣が残る憲兵隊の左胸を貫く。


「ぐっ!」


くぐもった声をだし、息絶える。


ロリーデが話を始める前に門・夷塚(もん・いづか)


ロリーデの両手両足にはめられていた(かせ)に触れると枷はロリーデの体をすり抜けて外れた。


「閣下、私は【門・夷塚】(もん・いづか)族長の命にてお救いに参りました。」


「時間がないので、全て私にお任せ下さい。」


ロリーデも元近衛騎士団副団長まで務めた男だ、直ぐに飲み込み無駄口を言わない。


「よしなに頼み申す。」


「私の手を強く握って下さい。一緒に後方に走り抜けます。」


「閣下の土の真甦は一切使わないで下さい。」


「あい、わかった」


鍵がかかった扉をどうするのかとか、後方にいる憲兵隊をどうするのかなど、一切何も聞かず指示に従う。


ロリーデ・ガルクス元准将は今も現役帝国騎士の一人なのだ。


ロリーデが門・夷塚(もん・いづか)の左手を握る。

ロリーデから青白い炎が全身から噴き出す。


(うぉっ!)心の中でロリーデが叫ぶ。


「行きます。」


即座にロリーデが返す。

「お任せいたす。」


二人の青白い炎の塊は鉄製の護送車後方からいきなり現れた。


護送車の真後ろに詰めていた、憲兵隊たちは何が起こったかまるで把握できずにる。


青白い炎を発した二人の人影は憲兵隊に向かって走ってきた。


驚きながらも、何人かは剣を抜き放ち剣戟(けんげき)を浴びせてくる。


しかし、二人に剣はおろか自分たちが乗騎している人も馬さえも透過していく。


憲兵隊の隊長らしい男が命令を出す。


「そいつらを逃がすな!」


「矢を放て!!」


無駄だった。


追ってくる憲兵隊の剣も矢もすべて突き抜けてしまうのである。


二人はついに最後尾の憲兵隊をすり抜けて駆け続ける。


矢はまだ飛んでくるが、相変わらずすり抜けていく。


そして峠道の角を曲がった所に【火の民】戦士が50人ほど待ち構えていた。


2人は仲間をもすり抜け、後尾で待っていた【門・夷塚】(もん・いづか)の竜騎馬に能力を解いて飛び乗った。


ロリーデを門・夷塚(もん・いづか)の竜騎馬の後ろに乗せて護衛が10人ばかりついて炎元郷に向かって走り出した。


残った40名の【火の民】戦士は全員遠距離攻撃を得意とする者達ばかりであった。


前列に20名片膝をつき両手を前に出す。


後列に同じく20名、立ったまま両手を前に突き出す。


追いかけてくる、憲兵隊に向かって炎の玉を物凄い勢いで掌より放つ。


40発の火玉攻撃である。


しかも、連射してくる。


たまらないのは憲兵隊である。


逃げ出した、ロリーデを追って峠道を曲がった所に、伏兵(ふくへい)がいていきなり40発以上の火玉攻撃である。


上半身を吹き飛ばされる者


腹に風穴が開きもがき苦しむ者


振り上げていた剣ごと右肩からごっそり吹き飛ばされ勢いで後ろの仲間にぶつかりもんどりうって苦しむ者


しかも、火玉攻撃は止む事無く、連続攻撃が続いた。


そこは、もう地獄絵図であった。


轟炎(ごうえん)に焼かれる、憲兵隊。


ゴゴゴゴー


その時、憲兵隊上方から5メートルを超す大岩が真っ赤に灼熱(しゃくねつ)したままいくつも落ちてきた。


【火の民】別動隊が上方から岩を(くだ)き、業火(ごうか)纏わせ(まとわせ)憲兵隊に向かって、落石炎上させたのである。


鉄製の護送車は大岩にもろに潰されて、ペチャンコになって燃えた。


50名からいた、憲兵隊は一瞬で全滅に追いやられた。


しかも壮絶極まりない、最後であった。


門・夷塚(もん・いづか)の戦術能力の高さと非情な側面が垣間見(かいまみ)える作戦だった。


門・夷塚(もん・いづか)は走りながら冷静な声で

「半数残り、憲兵隊全員の消滅と現状の後始末をしろ」


「後は、ロリーデ様を炎元郷にお連れする護衛につけ」


攻撃開始からここに至るまでわずか15分足らず


門・夷塚(もん・いづか)竜・威(りゅう・い)真魂交神(まだまこうしん)で状況を報告した。


【火の民】の犠牲はもちろん無しだった。


ー場所は変わり黒曜天宮内の皇弟の住まう城の一室

謎の壮年男性は皇弟【リムネブ・レドイド・ラーム・アースウェイグ殿下】であった。


隣の若き美女はくびれた腰を妖艶に見せながら、細く白い足を絡ませながらしだれかかる。


【皇弟殿下の正妻リビリア】である。

「皇室憲兵隊まで出したのはまずかったのではございませぬか?」


「かまわぬよ、後1週間後には皇帝はパヴロ王国へ出立されるその時が勝負だ」


「一気にケリを付けてくれる」


「そのための準備もぬかりなく、進んでおるしのぅ」


「まぁお悪い方です事、、、」


二人の影は重なり合い、ひとつとなってベットに倒れ込む。














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