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ボクの異世界侵略記  作者: チカさん
第2章 少年期編
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2-22 導入に向けて3

 品評会の正式な発表があった次の日、俺は手押しポンプのハンドルを作っている。それはもうスポーティーでエレガントなハンドルを作る予定だ。

もちろんテキトーに言ってる。


今回の作品は先に実験を終わらせてから製作を開始する予定だ。行う実験は、実際に子どもが使用した場合の継続動作回数を計るのを目的としている。水汲みは女性や子どもの役割で、その中でも子どもの方が背が低く力が弱いからそちらをベースにするためだ。


被験者は年齢的にも丁度良いニックとトリアを予定している。一応俺も実験には参加する。


昼前には前作の経験を踏まえてより大きくスポーティーなハンドルが完成した。次は土台部分を作らなくては。



 次の日の昼ごろ、俺が井戸のある広場で実験の準備をしてると、

「ウィル来たよー」

「・・・・・・・」


呼んどいた2人が来たようだ。

「2人とも待ってたよ。もう少しで準備が終わるから待っててね」


ハンドルと土台の連結具合を確かめ。錘用の桶も水も準備オーケー。土台が少しぐらつくが大丈夫だろう。記録用の筆記具も忘れていない。


「うん、準備完了。2人ともこっち来て」


「なあウィルこれって手押しポンプの部品じゃないの?」

「そうだよ、今日の授業はこれを用いての実験をします」

「実験って何の?」

「これをどれくらい使えば疲れるのかなっという実験だよ。ちょっと見ててね」

俺がそう言ってハンドルの作用点側に水を張った桶を2つ吊り下げて、持ち手側を上下し始めた。

「こんな感じで漕いでみて」

「ただ漕げばいいんだね」

俺とニックと交替し、漕ぎ始めた。



 ニックが10回漕いだところで、

「はい、そこで一旦止めて」

「何?もう終わりなの」

「いやまだだよ。それで、疲れた?」

「まだ漕ぎ始めたばかりだよ。疲れる訳ないじゃん」

へー凄いな、俺は1回漕ぐだけで疲れるんだが。


「そう。今の漕いだ回数で大体ボクたちが1回に運ぶ水の量に相当するね」

「えっ!本当」

「大体ね。だから10回漕ぐ毎に一旦止めて何杯分で疲れるか数えるよ」


ニック、トリア、俺の順番に繰り返し実験をして、ハンドルの高さや角度など使いやすさの点をいくつか話し合った。

そののち桶を3、4つに増やして実験を続けたが多少の重くなかったが大した問題じゃなかった。

記録も取ったし、これ以上は桶を用意してないので実験を終了することにした。


「2人とも助かったよ。これはかなり簡易な装置で実感がわかないだろうけど完成品も大体こんな感じになる予定だよ。改めて実験するとやっぱり水汲みが大分楽になりそうだね」

「うん、これなら水汲みあっという間に終わっちゃって、あとの時間遊び放題じゃん。早く設置してほしいな」

「そうだねー。まあ品評会が終わるまでは何ともいえないね」




 実験をした次の日、俺は製品コンセプトを考えてた。

昨日の実験のおかげで本体製作に関しては目途が立ち、品評会に参加することにした。あとはどういうメリットを示せるかだ。

はっきり言って俺の技量ではかなわない者も参加してくる可能性がある。ゆえに純粋な性能勝負を挑むのは愚策だろう。

第1のコンセプトは子どもが利用できることとしているのは前から変わらない大前提だ。

第2のコンセプトで悩んでる。

経済性、耐久性、保守性、拡張性、施工性、芸術性。いくつも項目が浮かぶためどれに注力するか迷う。

1品物の高級モデルか、簡便な量産モデルか。素材を見直すか否か。部品交換を簡単にするか。アタッチメントをつけるか。組み立ても式というのも捨てがたい。流行というのもあるからな。



うーん。・・・・・・・・・・・・・・決めた。今回はこのコンセプトで進めよう。






 製品コンセプトを決め製作を開始して数日、今日は川辺に来ている。

品評会会場の下見のためだ。どの位置に何が来て、とか、建造中の櫓の状況を見に来たのだ。まあ家から近いから大した手間じゃないからというのも理由だ。


到着した川辺には櫓の骨組み自体は完成していて、板を取り付けている段階だった。

「なんか雨が降ったら流されそうな場所だなー」

「ウィルは櫓じゃなくて変なところに目がいくな。たしかに言われてみれば、少し危ない場所かもな」


子どもだけでの外出は禁じられており、俺と同じく品評会参加者の青年、ノクンペンさんと一緒に下見に来ている。


「あと数日で品評会か。長かったような短かったような」

「相変わらず発言が年寄りくさいな。それはそうとウィルのやつはどんなのだ。今回えらく秘密にしてるよな」


井戸のある広場に練習用の設備が整備されてから、そこが製作者達のたまり場になっている。ここでの対応は大きくおわけて2パターン。1つは堂々と性能試験を行う者。もう1つは取り付けの練習だけしてさっさと戻る者だ。

俺は後者で、取り付けの練習をしに行ったとき、あそこで情報交換なのか駄弁りなのか分からない前者組のノクンペンさんが下見に行くのを聞きつけ付いてきたのだ。


「そう?こんなもんだと思うけど。そういうノクンペンさんは堂々とあそこで試運転してるよね」

「そうだな。まあ俺の腕じゃ入賞は難しいから作ったのは田舎の実家に持っていくとして、品評会は参加賞狙いさ。少しでも元は取りたいからな」

「参加賞って何か知ってるの?」

「ああ、聞いた話じゃ食事券と聞いてる。何日分かは分からんが、ここ最近職場が不景気でね。おっと子どもにする話じゃなかったな、忘れてくれ」

ふむ、食費もバカにならないからな。確かに参加賞としてはなかなか。

「それじゃあ入賞の豪華賞品とかも知ってる?」

「何だ狙ってるのか。まあウィルだからな。確か、農具、工具、家具と聞いてるな。何位にどの品がとかの詳細なところは知らないがな」


うーん、わるくはないのか?

この中で1番欲しいのは工具だな。何の工具か分からないがまさかここで石材用とか金属用とかの工具ではないだろう。ほぼ間違いなく木工用の工具だと思う。

農具はうちはほとんど使わないし、貰っても嬉しくないな。

家具は場所が邪魔だ。でも収納家具なら幼児2人にあげられるな。そう考えるとわるくない。

「農具以外なら欲しいな」

「ウィルが言いたいことも何となく分かるが、でも豪華賞品なんて言ってるんだ農具はきっと鉄製だぞ」


そう聞くと・・・・やっぱりいらない。

確かに中々の高級品で時期的にもかなり高値で取引される品だろう。


「そういや不思議に思ってたんだけど、どうしてこんなに品評会に力入ってるの?もう少しこじんまりと行ってもよかったと思うんだけど」

「ウィルは噂関係に弱いな。なんでもいくつかの商会にこの手押しポンプの話が流れてな。早くしないと手柄を取られそうだからって大々的に行うことで印象付けを行うのが目的らしい。

品評会までの期間が短かいから賞品で製作者を釣ってるってわけだ。まっ俺も賞品に釣られたくちだからな」

「なるほど。つまり大家さんたちは売り出すんだね」

「そうだな、最近俺のように忙しくないやつらに声をかけて、品評会後に大量生産に取り掛かるよう段取りをしてるみたいだ。まあその腕を見るための試験っていう側面もあるな」

俺の知らないところではそういう話になってるのか。


「なるほどね、収入がかかってるから気合の入り方が違う人もいたんだね。でも試験って、あれ作るのけっこう難しいの?」

「うーん、俺の感触では作るだけならそこそこの難しさだな。難しい箇所が数ヶ所あるが、あとはけっこうテキトーでも大丈夫みたいだしな」

「やっぱり、そこそこかー」

「ん、何だ?そこそこじゃ不満なのか?」

「そこそこ満足で、そこそこ不満」

「なんだそりゃ」


その後櫓を見たり、壇の位置、観客席の場所などを丁度いた主催者側の人に聞いたりして家路についた。




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