2-12 御触れの影響
唐突ですが、弟と妹ができました。
実を言うと夏の上月頃から母のお腹が大きく、・・・という話ではなくて養子です。
この時代、怪我病気更に春秋の伐採の際に少なくない犠牲が出ることもしばしば。この国は来年の夏行われる都市奪還作戦に向けて百有余年延々と人口増加計画を進めてきたみたいで、子どもがいる家庭やその子ども自身、若い世代は比較的優遇されている存在だ。親が亡くなったり、首が回らなくなった場合には公営の孤児院や里親に出されるし、若い世代にはお見合いパーティーなんかも開かれるし、それでゴールインした場合には新居や土地の斡旋。低金利の借金まで面倒を見てくれる優遇っぷりだ。都市政府の本気が窺える。
逆に子どもがいない家庭にはえげつないと聞く。
祖父母も現在そういう状態なので、あと数年もしないうちにラックがあっちへ働きへ行くと同時に養子に入る計画となっている。昔は母の姉妹夫婦が一緒に暮らしていたらしいが、不幸があったらしい。
そうなるとうちには子どもが俺1人。親2人から子ども1人ってどういうことか分かるよな。
つまり優遇度がガクッと下がるらしい。
正確にはそれが原因ではなくて、来年の都市奪還作戦では相当数の犠牲がでることが予測されているため子どもを孤児院や里親へ出す家庭があとを絶たず、作戦に参加しない、または比較的安全だと思われる場所にいく者の家庭にいろいろ押し付けられているのが原因だ。人によっては子どもじゃなくて嫁が押しつけられた者もいるそうだ。
奪還作戦には基本的にそういう世代の男性が多く駆り出されているため、女性が余る。別にこの国は一夫一婦制ではないから未婚既婚関係なく既に相当数見繕われてはいるらしい。
父は夏の御触れのおかげで一気に階級が上がったみたいで、都市の内情をいち早く察知できる地位にいるらしく、こういうのは里親へ出すのも里親になるのも遅ければ遅いほど条件が悪くなるのでさっさと引き取ったってわけだ。
父には上司から、
「なに!、君の所には子どもが2人しかいないだと。それはいけないぜひあと2人ほど育てることをお奨めするよ」
的な話で折れたらしい。
父の同僚の1人も子ども4人のところに2人だったらしいから、多分今現在の子どもの人数はあまり関係ないんだと思われる。
これはいい方で、父も小耳にはさんだ程度らしいが提案をごね続けた者の中には、
「君はこの国のために立派に戦い抜いてくたと刻んでおくよ」
とか、
「そういや君移住するんだってね。お祝いは何がいい?」
と本来作戦中には危険が少ない場所に行く予定だった者が最前線の危険地帯に行く予定に変更になってたり、移住予定もなかったのいつの間にか移住予定になってたり、さらにそれが都市政府や領主公認となっていたりとやばい状態らしい。
もちろんかなりの反発があるらしいが、政府側がかなりの強権を発動しており、毎日のようにどこかしらで裁判が行われ公開刑罰がおこなれている。この前たまたま見たあの鞭が皮膚を裂く音は今でも耳に残ってる。
この都市の闇の深さを知る一連のできごとだった。
まあ今の俺は、
「おーいおまえたちおにいちゃんだぞー」
「「わーー」」
ぴたん、ぴたん
キャッキャウフフ状態だ。
父が引き取ってきた子は1歳になったばかりの子達であった。
家族会議で理由を詳しく聞くといやになる理由だった。
もちろんその理由が裏話だから口止めはされたが、どうやら孤児院や里親に出された子どもには年齢によって点数がつけられているらしい。
5歳くらいまで子どもは死にやすい。ゆえに幼ければ幼いほど点数が高く、逆に俺くらいの年齢からは低く設定されているらしい。仮にここで俺と同い年の子どもを2人引き取った場合、今後の状況次第では追加で押し付けられる可能性が残るらしい。
ゆえに今後の憂いを晴らすため1歳くらいの双子を引き取ったようだ。もちろんすぐに死なせてしまったときはペナルティがあるハイリスクハイリターンな方法だ。
でもうちには子守りのスペシャリスト?たる俺がいる。俺は子守りを引き換えに外へ働きに出るのを数年間免除され、また1歩ひきこもりへ近づけた。
俺はひきこもりたい。父は引き取った子どもを死なせたくない。両者の目的が一致した瞬間だった。
所謂ギブアンドテイク。今風に言うとウィンウィンだ。
2人はうちに来て数日しか経ってないけど、すっかり俺に懐いてくれる可愛いやつらだ。こんな時勢に負けず強く育ってもらいたいと思っている。
俺は2人を膝の上に座らせて思い馳せる。
それにしても懐かしい。昔はニックやトリアの2人もこんな感じだったのに、今では話とかはちゃんと聞いてくれるが、こういうスキンシップはなくなった。・・・さびしいわけじゃないんだからね。
「なぁおまえたちー。将来は何になりたい?」
「あうあ?」
「えっなんだって、将来は領主になりたいのか。分かったおにいちゃんがお前を領主にしてあげる」
「ああう?」
「ふむ、なるほどね。それも覚えておくよ」
俺が2人と遊んでいると、
「おーいウィル。こっちの問題を見てほしいんだけど」
「・・・・・・・」
俺をニックとトリアが呼んでいる。2人の教育も継続中で、今日はうちの子ども部屋で勉強中だ。2人はこのアパートメントでも屈指の衛生観念の持ち主なので家族以外で唯一この子らを触れることを許可してる対象だ。ラック?あいつは俺が監督してしっかり身綺麗にした時しか触らせていない。
「分かったちょっと待っててね」
「ほらお前たち、ボクはちょっと呼ばれたから待っててね」
ぽむぽむ
「「むむー」」
いやー、かわいいねー。
「2人ともお待たせ、どの問題のことを聞きたいの?」
「これ」
「・・」
「えーとこの問題は・・・・・・
問題の解説中。しばらくお待ちください。
「っと言うわけなんだ。もう大丈夫そう?」
「うん」
「・・・・・」
「じゃあ分からないところがあったらまた聞いてね」
と言って2人の元を離れた。なんか2人とも最近ちょっとそっけないんだよね、何かあったのかな?
「おまたせー2人とも」
「「わーーー」」
ぴたん、ぴたん
やーん、かわいいー。




