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ボクの異世界侵略記  作者: チカさん
第2章 少年期編
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2-09 忙しき?秋

 家に帰る日まで4日を切った。

天気が悪くなって予定が変わらない限り残り4日だ。天変地異が起こって予定が変わらない限り残り4日だ。お腹が痛くなって予定が変わらない限り残り4日だ。

つまり何が言いたいかというと、


「このままで十分間に合う」


今現在5台中4台完成し、5台目を製作中だ。

さらに、今日からリヤカー担当から除名され4日間フルで使えるため余裕で間に合う。

隔日だけど雨天時を計算に入れてなかったからな、天候に味方された俺の勝利だ。


「何が間に合うの?」

おっと独り言が漏れたか、今日はイースも手伝いに参加してくれている。

ここ最近は川辺でフーホーをつぶす作業だったらしいので、久しぶりの参加だ。


「この製作作業のことさ、十分期限までに間に合いそうって話さ」

「そーなんだ」



その後2人だけのミーティング(世間話)も終え、

「じゃあ今日もよろしくね」

「はーい」


初めの頃のぎこちなさも消え、魔術が解けるタイミングをイースも覚え始めたため作業効率が良くなりつつある。

さらに呪文をよく聞いているためか、呪文を口ずさむのもしばしば増えてきた。惜しむらくはイースはまだ魔術を習っていないため発動ができないことだ。

だがさすがに他家の教育方針まで侵すつもりはないから、魔術を教えてはいない。それにイースの歳もまだ3歳らしいので早いしね。魔術を教わるのは、ニックとトリアの2人は4歳であったがあれはちょっと特殊な例で、大体の子が5歳程度で習い始めるからな。



 何回目かの休憩を終え、

「うーんと、そろそろまた始めようか」

「はーい。でもボクができる分もうなくなったんだけど」


「そう言えばそうだったね。うーん、どうしようかな?」

イースに頼んだ箇所はもう終わったから次はどうしよう。あとの時間ずっと見学もわるい気がするし、違う箇所を頼むのは使う工具の安全性や工作難度的に任すわけにはいかないしな。

何かいい案がないかなー?



そうだ。


「じゃあ残りの時間は自分で考えた物を作るっていうのはどう?」

「自分で考えた物?」

「そうだよ、何を作ってもいいんだよ。ただし使う工具はボクが指定した物だけね。何を作るか直ぐには思いつかないだろうから思いついたら言ってね。そしたら魔術も掛けるし、多少は手伝ってもあげるからさ」


その言葉にイースは頷き、何を作ろうかと考え始めた。

俺もイースが使っても大丈夫そうな工具をピックアップしていく。

安全上ナイフ系やノコギリはダメだし、ノミとかもやめといた方が良いだろう。うーん使えそうなのがキリとカンナ、彫刻刀の一部かな。


工具のピックアップが終わり、

「イースが使ってもいい工具はこれらね」

と言って、分かるように置いて自分の作業に戻った。



 しばらく作業をしていると、

「ウィルいい?」

何か思いついたのかな?作業の手を止めて、

「いいよ」


イースが作ろうと考え付いた物を聞くとそれは皿だった。イースは生活密着型だな。

それにしても皿かぁ。作るために必要な工具はナイフ系かノミ、彫刻刀系あとは表面処理用にヤスリ系と硬い物だな。

そんなことを思いつつ、イースが使える工具を見てみると、キリは使わないな、カンナも使わないか使ってもほとんど使わないだろう、あとは彫刻刀か。

メインの工具は彫刻刀で決定だな。


「皿なら、この形の彫刻刀を使うのが1番かな」

と俺オススメの彫刻刀を渡し、使い方のレクチャーをした。俺は皿を作ったことがないのであとのことは丸投げだ。


自分の作業がてらたまにイースの進捗具合を眺めると、やはり苦戦してるようだ。彫るのは今日は初めてだろうからな。

それに最初のうちに1本やっちまってから、さらに慎重、いや尻込みしてる感じの彫り方だ。あれではいつまでたっても終わらないだろうな。



その日の作業を終了する頃には大分気分が持ち直してきたのか彫る速度が上がり、だいぶ皿の形が浮かび上がっていたが、完成にはもう少し時間がかかりそうだ。



 数日経ち今日は最終日。

明日帰ることになっていて、製作した装置の納品は祖母に任せるため今日中に製作し終えればいい。

とはいえ昼には最後の装置の調整も終わり、昼からは替刃の量産をしている。


俺が量産をしている傍ら、イースは皿を作り終えスプーンを作っている。


「なあイース」

「んーなにー?」

「イースは今欲しい物ってない?」

「急にどうしたの?」

「イースには作るの手伝ってもらったし、何かお礼に贈ろうかと思ったんだけど、思いつかなくてね」


イースは少し考えて、

「これ貰ってもいい?」

示したのは手伝ってくれたときよく使ってたカンナだった。


「それでいいの?分かってると思うけど魔術が使えないとただの置物だよ」

魔術前提の工具だからな。


「うん、これがいいの」


本人が良いと言うなら別にかまわないか、カンナは時間があるときにまた作ればいいしな。

「分かったよ、イースにそのカンナを贈るよ」


イースは喜んでいたが、もしかして工具フェチなのか?それとも模型みたいに飾る趣味でもあるのか?

イースの将来をちょっと心配しつつ最終日が過ぎていった。




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