2-08 忙しき秋2
本日もよろしくお願いします。
今日は作業3日目、製作作業の日だ。
はっきり言って忙しい、なんてったってフーホー粉砕装置1号を帰るまでに5台も作らないといけないからな。
今年は長閑な風景を楽しみつつ作業することもできそうにない。いくらすぐそこからジーーっと俺を見ている視線があっても気にしてる余裕はない・・・よね?
「・・・相変わらずだなイース」
将来は暗殺者にでもなるつもりなのか、相変わらずいつの間にか近くにいたイースに声をかけた。そして俺は今年1回目の暗殺を受けた、さて今年は何回暗殺されるんだろうか?
「昨日ウィルが来てるって聞いたから、遊びに来た」
去年は舌足らずな発音だったが、成長したな。それにしてもこの周辺ってこれくらいの子どもも多いはずなんだけどなー。もしかしてイースはボッチなのか?
「わるいな、今年は忙しいからあまり遊んであげれないぞ」
「去年もそんなこと言ってたと思うんだけど」
んー?そうだったかな?でも、
「去年以上に忙しいんだ」
「そうなんだ。でも見てる分にはいいんだよね?」
「まあね」
去年と同じように俺が作業して、それをイースが見てる構図になった。
「今イースの家は収穫なんだよな?」
「うん。だから遊びに来たんだけど」
とか、
「装置の修理はまだ必要ないか?」
「夏に刃を替えたから大丈夫だよ」
たまに世間話をしながら急ぎつつものんびり作業を続けた。
しばらくして、ちょっと良いことを思いついた。
イースに手伝わせてみようかな?と。
カンナでの作業なら危険も少ないし、仕上げはこちらですればいいから荒削りぐらいなら出来るかもしれんし、俺の魔術の腕も上がってるおかげで複数の魔術を同時に行使可能になっているからな。
もちろんイースにやる気があればの話だが。
「なあ、イース」
「なに?」
「ちょっと手伝ってくれないか?」
「いいの?」
「ああ、いつも見てるだけだったからね。もちろん見てるだけの方が良ければ、無理は言わないよ」
「やるー!」
イースがやる気で助かった。
「お手本見せるから、見ててね」
そう言って俺は荒削りが必要な箇所を示しながらカンナを掛けた。
「はい使ってみて」
イースにカンナを渡し、渡したカンナを見てイースが、
「魔術が使えないとこの工具は使えないって言ってたと思うんだけど」
「ボクが魔術を掛けるから大丈夫だよ」
俺がカンナに硬化の魔術を掛けて、
「さあ使ってみて」
そう言うと、イースがカンナを掛け始めた。俺の作業をいつも見ていたためか、初めてにしてはなかなか様になっている。
あと少しで、魔術の効果が切れる時間がやってきた。
「もうすぐ魔術の効果が切れるから手を止めて」
「うん」
イースはカンナを掛けるのを止めた。
「でもこれって魔術掛けなくても使えるんじゃないの?」
イースが疑問を投げかけてきた。あの切れ味だからそう思ってしまうのか?なら、硬化の魔術の偉大さを知ってもらおうか。
「じゃあ次は、魔術を掛けないからそのままカンナを掛けてみて。別に壊れてもいいからさ」
壊れても刃の部分だけだろうから刃さえ交換すればいい。替刃のストックは何枚もあるからな。替刃に予備の刃、予備の予備の刃。さらにその予備の・・・。
ストックが貯まるばかりなのでたまに浪費するのは紳士の嗜みだ。
「それじゃあ」
今度は魔術が掛かっていない状態のカンナを先ほどと同じように掛けると、
「かたい・・・」
パキンッ!
「あっ!」
踏ん張って力をいれた瞬間、カンナの刃が割れた。
「こうなるってわけだ。だから魔術で補助するのは必須だよ」
納得してくれたかな?
イースからカンナを受け取り、刃を交換した。
「それでイースは手伝ってくれるの?」
一応確認だ、さっきのでやる気が削がれてるかもしれんからな。
「うん、する」
よかったよかった。
「じゃあここでボクの方向いて作業してね」
場所と作業する方向を指定した。なんてったってカンナを視認できないと魔術を掛けられないからな。
「じゃあやってみて」
イースは木材を削り始めた。
しばらく見続けて、
「じゃあボクが聞こえる声で呪文を唱えだしたら一旦手を止めてくれるかな」
「うん?なんで?」
「魔術を掛け直すからだよ。ずっと掛けっぱなしができないんだよね」
そうなのだ、ずっと魔術を掛け続けていることはできないのだ。だから俺はしょっちゅうぶつぶつ言って魔術を掛け直して作業をしている。
できるだけタイムラグがないように魔術の効果時間を体に覚えさせているから魔術が切れる前から唱え始めて、解けるとすぐに掛けられるようにしている。
一応硬化の魔術は重ね掛けはできるが、1回掛ければ十分だし、2回目は魔力消費が跳ね上がるため使用を控えている。
「そうなんだ」
「慣れるまで大変だろうけど頑張ろうね」
俺とイースの共同作業が始まった。
たまに休憩したり、運搬作業中の新人養鶏猟師ラック君との会話を挟みつつ、イースが家に帰るまで作業を続けた結果、ミスでカンナの刃を2枚ご臨終させてしまったが、ストックを浪費するのは紳士の嗜みだから何も問題ない。
製作速度的には1人と変わらないか微妙にマイナスだが、初めて試みだったので互いに慣れればプラスに転じるだろうからこちらも問題なしだ。
明後日の製作作業の日も来れるみたいだから今後に期待しよう。
こうして俺は協力者を得ることができた。




