日本に連れ帰った異世界人の少女
帰還した場所はミナトの部屋だった
狙った場所にゲートを出すことは問題なさそうだ
これで、またどこかに閉じ込められるような心配はないだろう
とにかく今日はもう休もう
「腹減ってるか?」
ミナトはその女の子に聞いたが、首を横に振った
それを確認すると女の子をベッドに寝かせて、ミナトは毛布に包まって床に寝た
翌朝、昨日の事が夢であれば良いのにと思って起きたミナトは、ベッドで寝ている女の子を見てうなだれた
「これから、どうすればいいんだ」
よくよく考えれば、異世界人を連れて帰ってしまったことになる
これからずっと面倒を見なければいけないのか
それとも、誰かに預けるべきなのか
唯一、あてに出来そうなのはセシーリアだ
しかし、出来ればあんな世界にはもう行きたくない
厄介事ばかりが増えていく気がしていた
女の子が目を覚ますとミナトはその指に翻訳の指輪をはめた
「これを付けておけ」
セシーリアの時は自分の治療があったからセシーリア自身が指輪をはめるわけにはいかなかったのだろうが、そうでないなら異世界人が付けておくほうがいろいろ便利だろう
「なあ、名前はなんて言うんだ?」
そう聞くと女の子は答えた
「フィレオラ」
「そうか。俺はミナトって言うんだ。歳はいくつなんだ?」
「11歳」
「そうか」
さて、これから大学に行かないといけない
しかし、やはりこの子を一人で置いていくわけにはいかない
異世界人を連れての二度目の登校をするしかなかった
大学に着くと図書館へ向かった
「俺はこれから講義に出ないといけないんだ。その間ここで本でも読んでいてくれないか。あっちのほうに子供向けの本もいろいろあるからさ」
そう言い残して、ミナトは一人で講義に出た
さすがに子供を連れて講義を受けるわけにはいかない
いろいろ噂にもなるかもしれないし
そして午前中の講義が終わると、フィレオラを連れて学食に出向いた
「なあ、何か食べたいものはあるか?」
「わからない」
まあ、そうだよな
未知の食べ物ばかりだろうし
そう言えば、セシーリアが異世界のおとぎ話にオムライスが出てくるって言ってたな
それを思い出すとオムライスの食券を買った
その後、再びフィレオラを図書館に置いて、午後の講義に出た
そして全ての講義が終わったあと、二人で買い物に出かけた
セシーリアの時と違い、場合によっては長期間面倒を見なくてはならない可能性がある
その道中、周辺を興味深そうに見ているフィレオラを見て尋ねてみた
「やっぱり物珍しいか?」
「うん」
まあ、そうだよな
せっかくだから、時間がある時にこの子を観光地とかに連れて行ってやるのもいいかもな
「なあ、観光地とか行ったことがあるか?」
「あるよ。光り輝く洞窟に連れて行ってもらった」
「へえ、それはどんなところなんだ」
「すごく綺麗だった」
そんな会話をしながらフィレオラに必要そうなものを一通り買いそろえると家に帰った
しかし、そこで見たくないものを見てしまった
玄関の前にレイカが立っていた
「やっと帰ってきたわね」
この問題を忘れていた
「どうやって抜け出したの?」
「そういう魔法もあるんだよ」
「で、その子は何?」
「ちょっと面倒を見ているんだよ」
「どう見ても日本人じゃないわね」
「・・・・・・」
無視しようかと思ったが、玄関を開けるとレイカも上がりこんできた
そのあと問い詰められて、事情を説明することになった
「あんたバカなの?異世界に行っただけでも信じられないのに、そんな子を連れて帰ってきて最後まで面倒見れるの?」
捨てられたペットみたいに言うな
「一応言っておくが、その子は俺達の会話を理解しているぞ。だから言い方ってものを・・・」
「そうね。それは謝るわ」
シェルターに閉じ込めたことも謝ってくれ
「で、どうするのよ」
レイカに尋ねられると、ミナトは一つのアイデアを思い付いた
「そうだ。この子はお前が預かってくれないか?金持ちだし、なんなら屋敷の人が面倒を見ることもできるだろ」
「・・・そうね。しかしいつまでも面倒を見ることはできないわよ。最終的にどうするかは考えておいてよね」
「わかったよ。あと、この子には出来るだけ良い物を食わせてやってくれ」
レイカはやれやれといった感じで頷いた
そのあと
「そういえば、連絡先を教えてちょうだい」
そう聞かれて、ミナトも必要かもしれないと判断し、レイカに連絡先を教えた
ミナトの連絡先を登録するとレイカはフィレオラを連れて帰っていく
フィレオラを見るレイカの顔は穏やかだった
あんな優しそうな顔も出来るんだな・・・・
そんな意外性を感じた




