八雲家の当主
ミナトは魔法を使えるようになったが、大学にはどこにでもいる学生のように通った
しかし、魔法というのがどういうものかというのは気になった
「家で試すのは危険だしな」
そう言って、大学が終わった後にバイクに乗って人が来ない山奥の広場のようなところに行った
そこで、試しに炎を出すと大きな火柱が立った
「やべえ・・・・、やっぱ家でやらなくて良かった」
それから、いろいろと出来ることを試す
爆音が出てしまうような近所迷惑にもなりそうな魔法もあった
時間を止めるなどという犯罪級の魔法まである
そしてゲートも開いてみたが、実際に前に見た光の円のようなものが出る
「これに触れるとあっちに行ってしまうのか・・・・」
そう思いながら、そのまま閉じた
そうこうしているうちに日が暮れてきた
「帰るか」
そう思った時、ミナトのところに高級車が何台も集まってくる
「なんだ?」
ミナトが戸惑っていると、中から黒服が何人も現れた
ミナトは取り囲まれ
「どうか御同行願います」
そう告げられる
「ちょっと待ってくれ。あなた達は誰なんだ?」
「危害を加えるようなことは致しません。我が家の当主があなたを連れてくるようにとのことです」
どうやら、何かやらかしてしまったらしい
まあ、たぶん魔法が関係しているんだと思うが
そんな事を考えながらミナトは言われるがままに車に乗り込んだ
バイクは運んでくれたようだ
連れていかれた場所は大きな屋敷だった
いかにもって感じだ
それが何なのかはともかく、いかにもな屋敷だった
そのまま屋敷の中に案内されると広い部屋で待たされた
畳の数がいくつあるだろうか・・・
そんな事を考えていると、一人の女が現れた
同い年くらいに見える
少し短めの癖のある髪
笑えばかわいいかもしれない顔をしている
そしてその女は上座に座った
「あなた、どうやって魔法を覚えたの?」
まさに単刀直入だった
「魔法ってなんのことですか?」
「さっきあなたがポンポン使ってたあれに決まっているでしょう」
「・・・・」
ミナトが沈黙していると、彼女は続けてきた
「まあ、だいたい見当は付くけどね。あなた異世界人に会ったでしょう」
それに答える前にミナトが気になるのは
「いや、その前にあなたは誰なんです?」
「ああ、そうだったわね。私は八雲レイカ。この家の当主よ」
レイカはそう名乗った
「その歳で当主?」
「祖父が亡くなって、父は家を継ぐ前に出て行ったのよ」
レイカの年齢はミナトより3歳年上の24歳だった
「で、どうなの?異世界人に会ったんでしょ?」
レイカは詰め寄る
「ええ、まあ。でもなんでそんなに詳しいんです?魔法とか異世界とか」
「私の先祖があなたと同じだったのよ」
そう言って、レイカは八雲家の歴史を語り始めた
なんでも江戸時代に一人の医者が、この世界を調査していた異世界人の王女と遭遇したらしい
その二人は恋に落ちて、やがて日本で二人で住むことになった
魔法は八雲家の当主にのみ代々受け継がれている
簡単に言うと、そんな話だった
おそらく、この大きな屋敷は魔法の力でお金を稼いだ結果に違いない
ミナトはそんな風に思った
そして、その話からするとレイカも魔法を使えるということになる
「ヴィストランドの状況をあなたは知っているの?」
レイカが別の質問をしてくる
「まあ、なんとなくは」
「だったら話は早いわね。ちょっと付いてきて欲しいんだけど」
そう言うとレイカはエレベーターに案内した
そのまま地下に降りていく
しかし乗っている時間が思ったよりも長い
どこまで降りていくんだ?
ミナトがそう思っていると到着した
「降りて」
言われるがままにミナトが降りると、背後でエレベーターが閉まった
「え?」
背後を見ると、レイカの姿が無い
そしてスピーカーのような音声が聞こえてくる
「そこは八雲家のシェルターよ。あなたの処遇をどうするか考えるから、しばらくそこから動かないで。ちなみに魔法を使っても破壊できないくらいには地中深くにあるから無駄な足掻きはやめておきなさい」
「おいおい、なんだそれ!」
ミナトの声が届いていないことはわかっているが思わず叫ぶ
「安心して、空気も水も食料もトイレも風呂も生活に必要なものは揃っているから、飢え死にするようなことはないわよ。魔法を広められたら困るからしばらくそこに住んでもらうことにするわ」
最低な女だ
もう敬語を使うのはやめよう
ミナトはそう決心するものの、これからどうするべきか
しかし、あんな奴にこれ以上付き合う必要はないだろう
ここから脱出する魔法はある
レイカはミナトがそれを使えることを知らないと思われる
一通り食事だけ頂いた後、ミナトは一瞬躊躇ったもののゲートの魔法を使った




