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危機の始まり

ルーベルトが学校を卒業してから3年が過ぎた

その間、ルーベルトがモーディンとの闘いで残した成果は大きく、100人くらいの規模の一つの隊を任されるようになった

そしてルーベルトにより、その隊の副隊長にイーヴァが任命された


この時期、モーディンの殲滅は一気に進んでいるかに思えていた

しかし、勢力が衰えても完全に排除することは難しい

一人でも逃せば、やがてそこからまた勢力を巻き返す可能性がある

つまり、勢力を衰えさせ、規模が大きくならないように維持するというところまでが現実的な線に思えた


しかし、そんなある日、ルーベルトの元に一報が届く


「なんだって?エディルスの所属していた隊が?」


「ええ、全滅したという話よ」


イーヴァが答える


「そんなバカな。あの地方のモーディンの勢力がそこまで強いとは聞いていないぞ」


「でも、報告ではそうなっている」


そしてその報告に付け加えて、ルーベルトの隊に一時帰還するように要請があった

ルーベルト達はそれを受け、王城を目指した


ルーベルトの隊が王城に着くとオルヴァルトのもとへと案内された


「状況はどうなっている?」


ルーベルトが確認すると、オルヴァルトは


「おそらく、この地方のモーディンの戦力が一気に拡大したということだろう」


「原因はわからないのか?」


「わからない。だからお前に確認に行ってもらおうと思っている」


しかし、すでに一つの隊が全滅している

簡単な任務ではないのは確かだ


その様子を見てか、オルヴァルトはルーベルトに告げる


「今回の任務はあくまで偵察だ。勝てないと思ったら一度帰還してくれて構わない。状況が把握でき次第、対策を考える」


「わかった。すぐに発つ」


そう言うと、ルーベルトとイーヴァは城を出て、再び隊を集めた



ルーベルトの隊が現地へ向かっていた道中、偶然にも半分力尽きていたエディルスを発見した

木にもたれかかって虫の息だった


「エディルス、生きていたのか。よかった。イーヴァ、すぐに手当てを」


「わかったわ」


イーヴァの治癒魔法により、エディルスは意識を取り戻す


「おい、大丈夫か?」


ルーベルトが尋ねるが


「まだしゃべらせちゃ駄目」


イーヴァが制する

エディルスも何か言おうとしたが、まだ声を出すのも苦しいようだ

とにかくエディルスの回復を待つしかない


そして、その日はその場で野営が行われた


翌日、眠りから覚めたエディルスはルーベルトに話す


「すまない。俺のせいだ。俺のせいで隊のみんなが・・・・」


「何があったんだ?」


「・・・・・」


エディルスが沈黙する

ルーベルトはエディルスが話し始めるまでその場でエディルスを見つめ続けた

やがて・・・


「俺は学校を卒業して以降、自分の魔法を急激に強くできる方法が無いか考えていた。そして一つの画期的な方法を思いついたんだ。そして本当にそれが実現可能なのか研究していった」


エディルスがルーベルトの顔を見る


「あの日、お前に負けたのが悔しくてな。それに、お前は今ではすでに一つの隊の隊長にまでなった。その話を聞いて、俺はまだお前に負け続けているって思ったんだ」


ルーベルトは黙って聞き続けた


「俺の考え出した新たな増幅魔法の使い方。それは自分の魔力を極限まで増幅した状態で、仲間に対して増幅魔法を使うというやり方だ。これにより、ただ仲間に増幅魔法をかけるよりも何倍もの効果を付与することができる。魔法自体は完成していた。しかしそれをまだ実践していなかった。そして今回のモーディンとの闘いで、俺はそれを試してみたいと隊長に提案した」


エディルスがそのまま話を続けようとしたところ、見張りをしていた者から報告が入る


「隊長、巨大な化け物がこちらに向かってきています!」


「化け物だって?」


そんな話は聞いたことがない

エディルスの表情が変わる


「逃げるんだ。俺やお前をもってしても奴には勝てない」


エディルスがルーベルトに訴えかける

しかしルーベルトは


「そうはいかない。お前を置いて逃げるわけには・・・」


「聞け、ルーベルト!」


エディルスはまだ苦しそうだが、必死に訴えた


「あれは、俺が魔力増幅した隊の連中なんだ。俺の魔法によって元の力を何十倍にまで増幅したが、そのあと苦しみだして化け物になっちまった」


「なんだって?」


「奴らは俺が増幅した魔力を持続し続けている。魔導士隊の隊員だった頃の何十倍もの力を持っているんだぞ。俺達の魔法なんて通用しない」


「・・・・・」


ルーベルトはしばらく考えたが、隊に命令を下した


「全員撤退!急ぎ王城に帰還するぞ。それと何人かでエディルスを運ぶんだ」


そう言うと、ルーベルトはエディルスに向き合った


「俺は奴の足止めをする」


「おい、ルーベルト!」


「大丈夫だ。勝てないかもしれないが、負けることもないという自信はある。足止め役を出来るのは俺だけだ」


「・・・・・・」


「それに、お前の話が本当かどうかも確かめておきたいしな」


そう言うと、ルーベルトは化け物に向かってゆっくりと歩き始めた

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