魔女からの警告
摸擬戦の後、ルーベルトは学校の敷地の中心付近にあるエーリックの像の前に立ち、像を眺めていた
そして4年間の学校での思い出を振り返っていた
「いよいよ、ここともお別れか・・・・」
そんなことを呟いたとき、ルーベルトに声をかけてきた女性がいた
「”おままごと”みたいな魔法ばかりかと思っていたけど、あなたは少し違うようね」
突然そう言われてルーベルトはその女性に顔を向けた
誰だ?
その女性は長い黒髪をしており、肌は白い
年齢は30歳くらいに見える
首のところに大きな火傷のような跡がある
「それは褒めてくれているのか?」
「そうよ」
しかし、明らかに下に見られているのはわかる
それが少し癇に障る
「俺に何か用なのか?」
ルーベルトが尋ねると
「あなたの対戦相手だった彼、あの人物は危険よ」
「エディルスのことか?」
「そう。彼の力は世界に危機をもたらすかもしれない」
「・・・・・」
「まあ、考え方によっては、あの彼よりももっと危険かもしれない存在も見つけてしまったけどね」
ルーベルトはその女性の言っていることがいまいちピンと来ない
どういった反応をすれば良いのかもわからない
出てきた言葉が
「なぜエディルスの力が危機をもたらすと思うんだ?」
「私はそれなりに魔法にも詳しいのよ」
「この学校の卒業生なのか?」
「いいえ」
ならば、魔法が使えるということ自体がおかしい
モーディンの一人なのか?
そう思い身構える
それを見てその女性は答えた
「安心して、私は敵じゃないわ」
「どうだかな。それにさっきから上から目線なのもちょっと気になっていてな」
「気を悪くしたのなら、ごめんなさいね」
ルーベルトはその女性のことを確かめたくなり、時空魔法を使った
まずは自分の力を見せることで上に立ち、情報を引き出そうとしたのだ
ルーベルトの研究成果、それは時間を停止させることだった
しかしその女性はルーベルトに対して顔を向けると
「無駄よ。そんなものは私には通用しないわ」
静止しているはずの空間で答えてきた
ルーベルトは周囲を見渡すが、枯れ葉が空中で停止している
明らかに魔法は発動している
ルーベルトは魔法を解除した
そして自分のほうが格下だと理解した
「お前は誰なんだ?」
「・・・・・・」
その女性は答えない
「なら、別の質問をする。お前は魔法についてどのくらい知っている?」
「おそらくあなたが想像するずっと上よ」
「だったら、何か高度な魔法を見せてくれないか」
その女性は少しの間を置いて近くに立っている木を眺めた
「そうね。あの木の枯れ葉を散らせてみせましょうか?」
「おいおい、そんなのはこの学校の1年生にだって出来るぜ?」
ルーベルトがそう言うと、女性は木に向けてゆっくりと右手を上げた
突風が起こり、木から枯れ葉が飛んでいく
その後、巻き上げられた大量の枯れ葉が二人の間にゆっくりと落ちてくる
次の瞬間、空中を舞っていた枯れ葉が全て消えた
「え?」
ルーベルトは何が起こったのかわからなかった
慌てて周囲を確認すると、足元にはさっきまで無かった大量の枯れ葉が落ちていた
「・・・・・・」
しばらく頭が真っ白になる
その後、ハッとして女性の姿を確認しようとしたが、その女性の姿は周囲のどこにも見当たらなかった




