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44話 複合属性魔法

「それじゃあ、私達も試してみましょう」

 学院長先生は再びデコイを召喚して、学院長先生、イレーネ先生、オルカ、の順番でアイシクルをデコイに向けて試し、成功させていった。


『本当に使えるようになったのね』

 私はオルカにテレパシーで話しかける。

『ああ。キリエが初めてゼロから作った魔法だ』

 久しぶりの創造に、私は少し手が震えていた。これが私達の遊びの世界だとしても、それでも。


 学院長先生は続けてデコイを召喚する。

「次は……そうですね、アイスフレアを試してみてください。火と氷の複合属性を見てみたい」

「わかりました」

 私はデコイに手の平を向けて、デコイの足元に魔力を集中する。

「アイスフレア!」

 呪文と共に。青白い炎が立ち上り、デコイを凍結させながら焼き尽くしていった。

「おお……」

 先生達から感嘆の声が上がる。

「冷気の炎でしたね。俺達が発動させようとするなら……」

 と言いながらオルカは考え込む仕草を見せる。

「ヘヴンリィエクスプロージョンと同じように氷属性のゲートを作ってそこから炎を生じさせればこの魔法であればいけますね」

 そう言いながら、オルカは自分でデコイを召喚して、そのデコイへ手を向ける。

「アイスフレア!」

 何の迷いもなく呪文を唱えて魔法を発動し、オルカのアイスフレアはしばらくデコイを凍らせながら焼いた後、消滅した。凍結効果は残っているみたい。

「なるほど、凍結は持続するのか」

 学院長先生とイレーネ先生は自分のノートにオルカの実証結果をメモしていった。

「意識的に行っているゲートの作成を無意識にできるようにすればキリエと同じように難無く発動できるようになるでしょう」

「無意識で、か。それもそうですね。少しおかしな言い方になりますがそれを意識して試してみます」

 オルカの言葉を聞いて、学院長先生は納得したようだった。

 オルカのデコイの凍結が解けると、今度は学院長先生がアイスフレアの試行をする。

 学院長先生もデコイへ手を向け、魔力をデコイの足元に集中させる。その魔力は門のような形になり、そして。

「アイスフレア!」

 呪文と共に青白い炎が立ち上る。デコイは凍結しながらも炎に焼かれていく。

「出来ましたね!学院長先生!」

 イレーネ先生は拍手をしながら学院長先生に声をかけていた。

「そうですね。魔力消費量もそこまで高くない。アイシクルもそうですが、実用的な攻撃魔法ですね」

 学院長先生の言葉に、うんうん、とイレーネ先生も頷く。

 そして、デコイの凍結が解けるのを確認すると、イレーネ先生もアイスフレアの試行を始めた。

「ヘヴンリィエクスプロージョンの時と同じように……」

 イレーネ先生も、デコイの足元に魔力を集中させる。

「アイスフレア!」

 デコイの足元から青白い炎が立ち上がり、オルカや学院長先生の試行の時と同じように凍結させながら焼いた。

「おー。出来ました!」

 初めての複合魔法の感覚に、イレーネ先生は自分の手とデコイを見比べるように交互に視線を動かしていた。


「さてそれではそろそろ夕食の時間ですね。感慨もひとしおですが戻りましょうか」

「はい」

 学院長先生のその言葉に、私達は実習室を後にした。

 デコイは時間経過か、召喚者がその場を離れると消失するようになっているそう。後片付けが要らないのは便利だな、と思った。



 学院長室に戻った私達はいつも通り、夕食を囲んで実験の成果を話し合っていた。

「なかなか無意識下に収めるというのは難しいものがあるね」

「慣れですよ。学院長先生もイレーネ先生も魔法の発動自体は出来ましたし」

 学院長先生の言葉に、わかったような言葉でオルカが答える。

 私は玉子で包まれたお肉をフォークとナイフで切り分けながらそのやり取りを聞いていた。


「魔道具の制作も進めたいですね。ある程度理論は出来てるので」

 オルカの言葉に、学院長先生はそうだね、と頷く。

「魔道具の制作に関しては他の研究室か職人の協力が必要になるね」

「どこか協力を仰げそうなところありますか?」

 学院長先生は、少し考えるような仕草をする。

「極秘扱いでない魔道具なら、学院の他の研究室に協力を頼むのが良いだろうね。解呪の指輪の件は伏せておこう」

 オルカも、学院長先生のその言葉に頷いた。


 今日のオルカの夕食は目玉焼きの乗ったハンバーグだった。夕食の注文の時に、学院長先生がオルカに今夜はハンバーグだけどどうする?という質問をしていた。この前ハンバーグが出た時に私と分け合って食べていたのを思っての事だろう。

 お肉が苦手なオルカはひき肉にされてからのものなら食べられる。不思議な偏食だな、と改めて思う。

『ハンバーグ美味しい?』

『ああ。美味しく食べられる』

 オルカが食事も楽しんでくれてることに、私も嬉しくなった。


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