治るはずだから頑張りたい
だるくて何もする気になれない。シャワーはサボってしまった。
帽子でハゲを隠してボケっとしていたら、あっという間に午後。千歳が和束ハルさんと高千穂先生を連れてきた。
『お前には世話になったからって、見舞いに行きたいって言われて連れてきた』
「特に何もしてませんよ」
俺が和束ハルさんにそう言うと、「記憶喪失か、あんた?」と言われてしまった。
「何やかんや言って、あんたいなかったら、うち高千穂さんと今こんな風に出来てへんで」
「まあそれはそうですけど」
和束ハル事変について、土壇場で俺が高千穂先生を連れてこなかったら、今こんな風になってないだろう。それを世話になったと思ってくれてるのかもしれない。
和束ハルさんは首を傾げた。
「しかし、あんたも災難やなあ」
「まあ、抗がん剤きっちりやれば大丈夫だと思ってますけどね」
高千穂先生が「その意気です」と微笑んだ。
「ここ、この地域の基幹病院ですからね。ここならしっかりしてます。ちゃんと治りますよ」
お医者さんにはっきりそう言われて、俺はホッとしたし、千歳もあからさまにホッとした顔になった。
『な! 治るよ! きついだろうけど治るよ! なんにも心配いらないよ!』
「うん、うん、高千穂先生、ありがとうございます」
高千穂先生は、少しきつい顔になって言った。
「でも、体重維持は大事ですよ。頑張って食べてください」
「はい……」
どのお医者さんも、言うことは同じなんだな……。




