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子々孫々まで祟りたい 〜転んで祠を壊しちゃったら怨霊が子々孫々まで祟りに来たけど「俺で末代」と言ったら怨霊が困り始めて子孫を残させようと奮闘しだした件について〜  作者: zingibercolor・種・がくじゅつてきあかげ
23シーズン

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どうにも嘘をつききれない

 相変わらずだるい。それでもなんとか起きて、シャワー室に入って頭と体を洗った。

 病院の規則では、入浴後は排水口を掃除しなきゃならない。なので排水口をチェックしたんだけど、排水口にはありえないくらい髪の毛がたまっていた。

 ……もしや。

 髪をつかんで引っ張ってみると、そのままごっそり抜けてしまった。うわあ……副作用の脱毛か……。

 病室に帰って、太田さんと長田さんに「ついに髪が抜け始めました……」とぼやくと「あー、来たかー」と言われた。


「ほっとくと抜け毛ひどくてうざったいから、最初から全部むしっちゃうと楽だよ」

「そうそう」

「そうですか……」


 確かにそのほうが楽なんだろうけど、いきなりハゲになったら千歳を驚かせてしまう、そう思うとなかなか踏み切れない。とりあえず、医療用帽子をかぶってごまかそう。

 午後に千歳が来てくれた。


『その帽子どうした?』

「あー、ちょっと頭皮が過敏になっちゃって……なんてことないよ」

『大丈夫じゃないなら、大丈夫じゃないって言えよ? ワシ、何でもしてやるんだからな』


 千歳がそう言って俺の腕に触れるので、俺は嘘をつききれなくなった。


「……髪の毛が抜け出しちゃって……ハゲ隠し」

『あ、そうか……』


 千歳は、心配そうな顔ながら、得心がいったようで頷いた。


「髪抜けると、頭守るものが何もなくなるから、だから帽子かぶってて……」

『そっか、その帽子そういう意味で必要なのか……でも、治療終わればまた生えてくるんだろ?』

「1、2ヶ月で生えてくるって」

『なら何も心配いらない! 毛生え薬もいらないし!』


 千歳は笑った。心からの笑顔ではなく、俺を元気づけようとする笑顔だった。

 千歳……ありがとう。本当にありがとう。

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