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子々孫々まで祟りたい 〜転んで祠を壊しちゃったら怨霊が子々孫々まで祟りに来たけど「俺で末代」と言ったら怨霊が困り始めて子孫を残させようと奮闘しだした件について〜  作者: zingibercolor・種・がくじゅつてきあかげ
23シーズン

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吐き気がしても間に合わない

 今日はまた抗がん剤を入れる日。

 初めて本当に吐いてしまった。ベッドをだいぶ汚してしまい、看護師さんがてきぱきと処理してくれたけど、俺はだいぶショックだった。トイレに駆け込んで吐くこともできなくなってるのか、俺……。

 吐く時用の洗面器をベッド横に置いてもらい、吐き気止めを増やしてもらったが、微妙な吐き気は続くのでずっと食欲不振。メイバランスは何とか飲んでるし、プロテインゼリーも食べられるときは食べてるけど、普通の食事にはほとんど手を付けられていない。

 午後に千歳が来てくれたが、俺は吐いてしまったことを言えなかった。だが、千歳は洗面器の存在に目ざとく気づいた。


『これどうした? こんなの、うちから持ってったっけ?』

「あ、あの……その、吐いちゃうこともあるからって看護師さんが貸してくれた」

『あー、そっか、ずっと吐き気あるんだもんな』


 千歳はいたわるように俺の背中をなでてくれた。俺は、千歳に触れられて、もう隠し事ができなくなってしまった。


「ごめん……今朝本当に吐いちゃって……だいぶ汚しちゃって、看護師さんが処理してくれたんだけど、またいつ吐くかわからないからって洗面器貸してもらって……」


 千歳は目を丸くしたが、泣いたり悲しんだりせずに、また俺の背中をなでた。


『そんな、謝ることないからさ。大丈夫だよ、看護師さんも世話してくれるんだしさ、お医者さんもついてるんだから、治るよ』

「うん……」


 千歳は、千歳はもう、本当に頼らせてくれるんだな。俺が状態悪くても、泣いたり動揺したりしないで、俺を慰めてくれるんだな……。

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