今は療養しかできない
明日の抗がん剤投与のために点滴がつけられ、また頻尿かとがっくりしている。相変わらず下痢だし、今日はベッドとトイレの往復しかしてない。それなのに、すごく疲れた……。
午後に、千歳が藤さんを連れてきた。
「この度は本当に……和泉さんに頼らなくても事態を動かせるように頑張るよ、今まで頼りすぎてた」
「いえ、そんなに大したことしてないですよ」
『大してる! ワシ頑張るからな』
千歳が俺の肩をポンと叩き、俺は久々に千歳に触れてもらって、こんな時なのにくすぐったい気分になった。
藤さんは言った。
「藪さんに協力してもらってニュース出したのは、事態を動かす一環で。でも和束美枝さんは気づいてないみたいですね」
「ニュース自体を追うのをやめちゃったみたいですね、でも彼女が事実を知るのもかわいそうだなと……」
自分の産んだ子10人のうち、9人が実母に殺されてる。どういう地獄だ?
藤さんは真剣な目になった。
「でも、いつかは知らなきゃならない。和束みやびを確保するなら、和束美枝さんも当然保護しないといけないから」
「それは……そうですね」
和束みやびを止めるなら、和束美枝さんも保護しないといけない。そして、それはアタリの子の保護にもつながる。
アタリの子だけは、どうか無事でいてほしい。手遅れにだけは、なりませんように。




