見張りをするしか打つ手がない
何日か経って。乙姫様からもらった遺骨から魂を引き出すために、俺たちは本白神社に集まった。
俺と金谷あかりさんが見守る中、千歳は無事に魂を引き出し、謝りながら黒い球に守り刀を突き立て、切り口から悪い術式を取り出して嬰児の姿に戻した。千歳は嬰児を抱き上げた。
『よしよし、いい子だいい子だ』
嬰児は白い球になって、閻魔大王様の小箱に吸い込まれていった。
千歳は小箱を持ち上げた。
『これで、あと一人か』
俺は言った。
「もう一人も早く見つかるといいけど」
金谷さんが口を開いた。
「後は、警察が見つけてる遺骨のDNA検査待ちです。もう9人に足りる程度の遺骨が集まっているそうなので。それなりの大きさの遺骨もありますから、後はまだ魂を引き出していない遺骨を見つけるだけだと思います」
千歳は『わかった』と頷いた。そしてちらっと俺を見て、金谷さんに聞いた。
『アタリの子の手がかりはないか? ワシも気になるけど、和泉すごく気にしてるんだ』
あ、こないだ雪を見ながら言ったこと、覚えててくれたんだ。
金谷さんは眉根を寄せた。
「ないですね……ただ、吸血鬼の王がですね、日本の吸血鬼、使い魔にコウモリを持ってる人を集めて張り込みをするということで」
『張り込み? どこに?』
「和泉様のファンがくれた、あのネット通販受け取り場所リスト全部ですね」
俺は驚いた。
「えっ、ものすごく多くないですか?」
「人海戦術でなんとかするそうです。後は、荷物を受け取りに来そうなタイミングで、より詳しくチェックするとか。和泉様のファンと日本の吸血鬼のリーダーがもう打ち合わせしてると聞きます」
「そうですか……」
とりあえず俺たちは家に帰り、俺は俺のファンにDiscordでその辺を聞いてみた。すぐ返事が来た。
[その通り、何度か打ち合わせしている。和束美枝氏のネット通販の動きは詳しくチェックしていてね。いつ何を買って、どこの受け取りにしたかも分かる]
「そうか、受け取りに来そうなタイミング、それで絞れるな」
[情報は逐一吸血鬼たちに渡してある。あとは相手が網にかかるかどうかだが]
「受け取りに来るの、和束みやびとは限らないしね」
[そう。あなたが指摘した、3人目の可能性もあるだろう。和束みやびと違って顔がわからないから、難易度が上がる]
和束母娘以外に、もう一人いる協力者。おそらくはアタリの子を世話をしていて、ネットに明るいということしかわからないけど。
「でも調べるしかないよね……」
[私と吸血鬼たちで努力する。相手を見つけたら、尾行して居場所を突き止めることになっている。任せてくれ]
「じゃあ、任せるね」
待つしかないんだろう。
しかし。
それどころではなくなるなんて、俺は想像もしていなかったのである。




