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子々孫々まで祟りたい 〜転んで祠を壊しちゃったら怨霊が子々孫々まで祟りに来たけど「俺で末代」と言ったら怨霊が困り始めて子孫を残させようと奮闘しだした件について〜  作者: zingibercolor・種・がくじゅつてきあかげ
第22シーズン

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竜宮城に参りたい

 理解不能なうちに海に沈んでいく。何!? 海にさらわれた!?

 すると、ボフッと音がして顔の周りが晴れた。晴れたというか、これは空気の層? 呼吸をしてみる。息ができる。え、これ宇迦之御魂神様の守護!?

 青すぎて遠くが黒く、何も見えない海の中、俺の服をくわえて海に引き込んでいくのは、巨大な亀だった。


「何!? ちょっと、離して! 死ぬ!!」

[心配ありません! 宇迦之御魂神の加護があるあなたなら!]


 耳ではなく脳に響く声。あ!? なんか神様関係の亀!?


「加護はあるけど! 何!? 普通海に落ちると人は死ぬよ!?」

[乙姫様がお呼びです! 閻魔大王様から直々に頼まれたあなたに話があると!]

「それだったら千歳も呼んでよ!」


 千歳の目の前で海に落ちてしまった、きっと心配している。


[閻魔大王様から直接頼まれたのはあなたです!]

「それはそうだけども!」


 とりあえず、呼吸に支障はない。冬の海に落ちたはずなのに、冷たくも寒くもない。これも宇迦之御魂神様のおかげ? 閻魔大王様の加護もあるかも?

 少し落ち着いて、それから亀の言うことを少し理解し始めた。乙姫様? と言うことは……龍宮城!?


「もしかして、海の底まで連れてく予定?」

[はい!]

「嘘だろ……」


 服を脱いで亀を振り払おうかと思ったが、亀の進行スピードは速く、すぐに水底に降り立ってしまった。


[こちらから龍宮城へ! いわゆる異界って奴です!]


 ふっと体に何か過ぎる感覚がした。見ると目の前が明るい。

 翡翠の屋根、朱色の柱、白い壁。日本でいう城のような、見上げるような大きい建物。龍宮城!?


[和泉豊様をお連れしました!]


 門に行くと、天女のような服装の若い女性たちが集まってきた。


[ようこそお越しくださいました。乙姫様のところへご案内いたします]


 これ、話聞かないと帰してくれそうにないな……。


「よ、よろしくお願いします……」


 奥へ入る。亀も泳いでついてくる。作りは和風の廊下だが、飾ってあるのは紅色の大きなサンゴ、輝く真珠、螺鈿の漆器。言わずもなが高級品である。さすが宮殿……。


[乙姫様、お連れしました]


 案内された部屋には、ひときわきれいな女性が座っていた。彼女は微笑んだ。


[ようこそ、龍宮城へ。お構いできず申し訳ありません、事情は亀から説明させましたが……]

「え、いえ、まったく何も聞いておりません。乙姫様がお呼びということしか……」


 俺がそう言うと、乙姫様は俺の後ろの亀に「ちょっと!」と眉をつり上げた。


[陸でちゃんと事情説明したの!?]

[陸なんて野蛮な子供しかいないので行きません!]

[ちょっと待って、じゃあどうやって連れてきたの]


 亀のかわりに俺は答えた。


「船に乗ってる時、ものすごい水柱に襲われて、そちらの亀に捕まえられて海の底まで引きずり込まれましたが」


 乙姫様は頭を抱えた。


[何してるのこのアホ亀!]


 亀は全く悪びれもせずに答えた。


[連れてはきました!]

[本当にもうお前は……]


 乙姫様はひたいを抑えてため息を付き、そして俺を見て頭を下げた。


[亀が無礼を働き申し訳ありません、和泉豊様。あなたの噂は聞き及んでおります。和束ハルの件につきましては、竜宮城も被害を被っていました。お礼を申し上げます]

「あ、いえいえ。千歳なしには不可能でしたし、私がってことではありませんよ」


 謙遜ではない、最後に手を下したのは千歳だ。

 乙姫様は言葉を続けた。


[閻魔大王様の件についても聞き及んでおります。実は、問題の藁人形を海に捨てた人間が多数いるようでして]

「え、そうなんですか」

[皆で藁人形を買った人間を追っていると聞き及んでいます。そういう人間が捨てたのかもしれません、追求を恐れて]

「なるほど」

[藁と術は処分しましたが、遺骨は処分しづらく……なにしろ大量ですから。そちらで霊を引き出すのに使っていると聞いて、対処をお願いしたく]

「わかりました、お預かりいたします」


 俺が頷くと、乙姫様は傍らの女性に目をやり[持ってきなさい]と言った。その女性が持ってきたのは、お重のような形の大小の漆器。


[この中に全て入れてあります]


 俺は少し迷った。大きな方の漆器は、小さい頃に絵本で見た玉手箱、まさにそのものの姿なのだ。


「……これ、開けてもお爺さんになったりしませんよね?」

[これはなりませんよ]


 なるやつもあるのかい。

 乙姫様は小さい方の箱を指差した。


[こちらは、魂の気配を感じる遺骨が入っています。魂を引き出せるとしたら、おそらくその遺骨でしょう]

「わかりました。こちらで対処します」


 俺は嬉しかった。魂が引き出せるなら、これで8人目。順調に集まってる!

 乙姫様は亀に目をやった。


[では、帰りも亀に送らせます。無礼をした亀で申し訳ありませんが、陸上と竜宮城を生き来できる者は少なく]

「いえ、大丈夫です。さっき海に落ちたのと同じ場所に戻れますかね?」


 亀が元気よく言った。


[戻します!]

「それはどうも……頼むよ」


 そういうわけで俺は竜宮城をあとにし、亀の背中に捕まって海上を目指した。

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