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子々孫々まで祟りたい 〜転んで祠を壊しちゃったら怨霊が子々孫々まで祟りに来たけど「俺で末代」と言ったら怨霊が困り始めて子孫を残させようと奮闘しだした件について〜  作者: zingibercolor・種・がくじゅつてきあかげ
第22シーズン

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豪華客船取材したい

 2人で横浜港に向かった。船ではお酒も出るので、千歳は二十歳の姿だ。

 港の先に広がる青い海。冬の海もきれいだ。


「俺、横浜生まれ横浜育ちだけど、港に来るの初めてかも……」


 千歳は目を丸くした。


『ええ!? 横浜といえば港じゃないのか!?』

「だって、生まれも育ちも海から遠かったし……横浜市って広いんだもん……」

『そうなのかあ』

「船に乗るのも初めて」

『マジか……まあワシもこんな豪華客船初めてだけどさ……』


 チケットを持って大桟橋へ。そびえ立つ船の威容をみて俺はたまげた。写真で見たとおりではあるのだが、大きさと言うかスケールが想像以上だったのだ。


「でっかいホテルじゃん……いやでっかいホテルだったな……」

『ホテルだよなあ、遊ぶところもたくさんあるし』


 何せ900人近く泊まれるのである。そりゃホテルではある。


『早く乗ろう、夕飯楽しみだ』


 船に乗り込む。船内に入って、千歳は『うわあ……すごい……』とため息をついた。

 天井にしつらえられた巨大なステンドグラス、生演奏のピアノバー。いかにも高級ホテルと言った木造りのレセプション(受付)。その先には結婚式や高級ホテルを思わせるテーブルが並ぶメインダイニング。

 俺はレセプションで取材に来た旨を伝え、写真撮影の了解を得て、そこここで写真を撮り、気がついたことをメモした。

 その後、予約した上の階の客室へ。広い船なので、客室に向かうだけで結構歩く。客室は一番安いものだったが、設備といいベッドといい十分すぎるくらいだった。


『このシャンプー高級そう!』

「アメニティが充実している……」

『夕飯のあと露天風呂行こう!』


 俺は目を剥いた。


「その格好で!?」

『バカ、ちゃんと男になるよ』


 千歳はボンと音を立ててヤーさんの姿になった。


『この格好で行く』

「あーそう、びっくりした……」


 千歳はボンと音を立てて再び二十歳の姿に戻った。


『じゃあ飯! 飯!』

「はいはい」


 メインダイニングでの夕飯はフルコース。前菜にマグロ寿司、アワビの昆布ジュレ、トマトとチーズの味噌風味。寿司は大きいネタに香味野菜が散らしてあり、一緒に食べるスタイルのようだ。食べてみると、ネタの良さはさることながら、野菜が後味を軽やかにしていて大変おいしかった。


『前菜からうまいな』

「最高」


 スープは栗のポタージュ。甘さはもとより栗の香りが強く、満足感が高かった。


『栗ってお菓子だけじゃないんだなあ』

「なんかすっごく高級感がある……」


 生ハムとパンも出たが、俺は自分の胃の容量をわかっているのでこれは千歳にあげた。

 次は鯛・ウニ・ホタテの盛り合わせ。カルパッチョ風で、すりおろしタマネギのドレッシングがかかっている。海鮮がおいしいのは言うまでもないが、ドレッシングとの相性がとても良かった。


『えっこのドレッシング船で売ってんのか!買おう!』

「普通のサラダにも絶対合うよねこれ」


 次はオマール海老とスープの包み焼、柚子を添えて。スープがかかった海老の味わいは非常に濃厚だったが、柚子のおかげでしつこくならない。


『お前柚子が一番嬉しいんじゃないか?』

「バレたか」


 次に黒豚のグリル。口にしてみてびっくりした。豚肉特有の臭みを全く感じないのだ。それでいてうまみが濃く、脂身が甘い。


『え、これもしかしていい牛肉と間違ってないか!?』

「めちゃくちゃおいしい……」


 デザートは船特製モナカと芋焼酎がかかったアイス。最中の餡は小倉と生クリームを合わせたもので、アイスの香りはスイートポテトかと思った。


『あんこ、えらくうまい……』

「芋焼酎ってこんなに甘いものに合うんだ……」


 最後に緑茶が出た。甘いもののあとにはうれしい。

 総じて大満足のディナーだった。千歳もニコニコしている。


『いいもんが食えた!』

「明日もあるよ」

『最っ高!』


 それから客室に戻り、露天風呂へ。千歳ヤーさんのすがたは頭にタオルを乗せて湯船につかり、気持ちよさそうに鼻歌を歌っていた。


『夜の海の露天風呂って面白いな、何も見えないのに海の音は聞こえる』

「そうだねえ、リラックスミュージックというか……まあ、命の洗濯だな」


 俺は顎までお湯に浸かった。明日は1日仕事だ、今日はゆっくり休むことにしよう。

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