最後の切り札晒したい
月美さんは、雁ヶ音さんに伴われて来た。とりあえず、家に上げて話を聞く。
雁ヶ音さんは俺たちに頭を下げた。
「今回は本当にありがとうございました」
千歳は微笑んだ。
『なんてことないです』
「無事に済んでよかったですよ」
俺もそう言うと、雁ヶ音さんは
「いえ、本当にいきなりすみませんでした。でも本当に助かりました」とまた頭を下げた。
月美さんも頭を下げた。
「改めて、本当にありがとうございます。あの、それで私、皆さんが探してるものを持ってて、それをお渡ししに来たんです」
『そう言えばそうだった。何?』
「これです」
月美さんは持っていた袋から包みを出した。その包みを開ける。中に入っていたのは……藁人形!
月美さんは言った。
「あの、和束みやびって人が売ってた藁人形です。私、どうしても無理やり結婚させられるんだったら、桂馬さんを呪おうと思ってたんです。でも、もういらないから」
な、なるほど……。
千歳はびっくりしつつ藁人形を受け取った。
『そっか……じゃ、とりあえずもらっておくな』
「緑さんたちにも連絡しないとね」
『連絡はするけど、もうここでやってみちゃうか? 月美ちゃん、この業界で働くなら見といてもいいと思うし』
「そう? ならそうしようか」
『じゃあ』
千歳は藁人形を開き、中から骨のかけらを取り出した。それから、魂を引き出す術式と吸血鬼の王の鏡を持ってきて、霊力を込める。
真っ黒い球が骨から飛び出した。ボウリング玉くらいのそれを、千歳はしっかり受け止めた。
『ごめんな、痛いけどすぐ済むからな』
千歳は黒い玉に守り刀を突き立て、切れ目に手を入れて強化術式を取り出した。黒い球は真っ赤な嬰児に変わり、ひぇーんひぇーんと泣き出した。千歳はその子を抱っこする。
『よーしよし、いい子だいい子だ』
千歳が片手で閻魔大王様からの小箱を取ると、赤ちゃんは白い球になって小箱に吸い込まれていった。
千歳は守り刀をお腹にしまいながら言った。
『まあ、ワシらはこういうことをしてるわけだ、月美ちゃん』
月美さんは目をまん丸くしている。
「え、え、今とんでもない霊力がもっととんでもない霊力に……それ術式です!?人間がそんなの書けるんです!?」
『和束ハルはもっとすごいぞ』
「ひええ……」
俺は千歳に言った。
「一応人骨だし、警察にも見てもらわないとね」
『うん。その辺は緑さんがなんとかしてくれるって』
「とにかく、これで6人目か」
アタリの子のことを考えると急ぎたいが、ひとまず魂は順調に集まっている。魂を集めた果てに、アタリの子に出会えると祈るしかない。




