迫る危機から目を逸らせない
スマホでニュースをチェックしていたら「相次ぐ寺社襲撃 御神体が盗まれた例も」というタイトルが目に飛び込んできて、俺はドキッとした。和束ハル、そんなに暴れてるんだろうか?
朝ごはんのときに千歳にその話題を出したら『和束ハルだと思う』とうなずいた。
『ワシのお守りの組紐、狙われたらまずい神社と寺に順々に配置してるんだけどさ。緑さんが、和束ハルはそんなのもうわかってて、中堅どころとか、小さいところとか、そういうところをたくさん襲って霊力集めてるんじゃないかって言ってた。チリも積もればって感じで』
「そっかあ……」
そんな状況で、俺達だけ狐のお宿に隠れてていいものかと思う。でもそんな状況じゃ、和束ハルに襲われたらひとたまりもない。被害を増やさないことも、今和束ハルに対抗してる人たちのためだと思うし……。
もやもやしつつも、仕事したり子狐ちゃんたちにタイピングを教えたりして時間を過ごしていたが、俺がお風呂から戻ってきた時、千歳が言った。
『あのさ、緑さんがワシに会いたいって言うんだ。頼みごとがあるって』
「頼みごと……」
嫌な予感がした。和束ハル関連かな?
『組紐作る以外にも、和束ハルにしてほしいことがあるって』
ああ、やっぱり。
「そうか……千歳、危なくないかな?」
『うーん、まだ何するか具体的に聞いてないし……』
とは言うものの、千歳の顔は少し曇っていて、あんまり気は進んでないようだった。




