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子々孫々まで祟りたい 〜転んで祠を壊しちゃったら怨霊が子々孫々まで祟りに来たけど「俺で末代」と言ったら怨霊が困り始めて子孫を残させようと奮闘しだした件について〜  作者: zingibercolor・種・がくじゅつてきあかげ
第11シーズン

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昔と今を擦り合わせたい

 老人ホームからの帰り。千歳と二人地下鉄に揺られていたら、千歳に聞かれた。


『なあ、ワシさっきの話でよくわかんなかったんだけど』

「何?」

『お前のお母ちゃん、精神病院にいるって頭おかしくなっちゃったってことなのか?』


 あ、そうか、千歳は精神科への見方が昭和かも。ちゃんと説明しないといけないな。


「えーと、頭おかしいっていうのはいろんな意味を含むから、まあ精神病、メンタルの病気と思ってくれれば。一言で言うと脳の機能の病気だよ。統合失調症っていうのは本人にだけ幻覚とか幻聴が見えるんで、傍から見るとおかしくなったように見えるかも」

『なんかよくわからんな……』


 千歳は眉根を寄せた。


「と言っても、統合失調症はいい薬いろいろあるから、それ毎日飲んでれば、大体の人は症状治まるそうなんだけど」


 これは狭山さん情報である。


『精神病って、そんな簡単なのか?』


 千歳は訝しげにした。


「病気の種類によるね。うつ病だとなかなか薬効かない人もいるし」

『うつ病?』


 あ、そっからか。


「うつ病は、強いストレスとかで脳の機能が落ちて、落ち込んだり何もやる気が出なかったり寝っぱなしになったり……というか、俺も確か自立支援医療はうつ病ってことでもらってたんじゃないかな」


 千歳は目をまんまるにした。


『え!? え、お前も精神病だったってことか!?』


 千歳があからさまに狼狽するので、やっぱり昭和の精神病への偏見は相当強かったんだろうな、と俺は思った。まあでも、そんなに驚くことではない、よくあること、って体でさらっと説明しよう。


「まあ、そう。実際に俺が困ってたのは自律神経失調症だったけどさ」


 俺は、一度精神科には行ったのだが、諸々の症状を聞いたそこの先生が「それだったらいい病院を紹介するよ」と、内科を標榜しているけど精神科にも自律神経失調症にも一家言ある病院を教えてもらったのだ。それから過敏性腸症候群がよくなるまでずっとそこに通っていた。

 千歳は、まだ狼狽して理解が追いついてないみたいだった。


『えっえっ、今はメンタルの病気普通みたいなことお前言ってたけど、えっそんなに精神病の人いるのか!?』

「今多いのはうつ病じゃないかな、ブラック企業多いから……うーん、何ていうか、まだ大っぴらに言える雰囲気ではないけど、現代は精神の病気を恥じて隠す風潮はだんだん薄れてきてるから、俺はそういうことをさっき父親に言ったわけ」

『そ、そうなのか……』

「千歳のイメージだと、精神病院って檻付きの荒れ果てた病院なのかな?」


 昭和だとそんな感じなのかなと思って聞いたら、まさにそうだったらしくて千歳は頷いた。


『そ、そんな感じだ』

「薬もらうだけなら町中にも精神科いっぱいあるし、狭山さんが言うには入院施設あるところもできる限りきれいに明るくしてあるって」

『へえ……え、何で狭山先生そんな事知ってるんだ?』

「霊感に目覚めた時、見えてるものが幻覚だと思っていくつか精神科行って、自分でもいろいろ調べたって」

『そ、そんなすぐ思いつくくらい普通の病気なのかあ……』


 千歳は沈思黙考し、『あの、そんな怖いところじゃないってわかったけど、それでもお前のお母ちゃんの見舞いついてっていいか?』と言った。


「え、来てくれるの?」

『お前のこと、そんな怖いところに一人で行かせられないと思ってたんだけど。怖いとこじゃなくても、お前がお母ちゃんに会うの、なんか嫌な予感するからついてきたい』

「え、それじゃあ来てくれないかな? 母親がまともなら、俺も千歳のこと、すごくお世話になってる人ですって紹介したいしさ」


 千歳の気持ちが嬉しかったし、もしかしたら医学の力でまともになった母親と話せるかもと思った。

 でも、母親はそんなにまともじゃなかった。

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