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子々孫々まで祟りたい 〜転んで祠を壊しちゃったら怨霊が子々孫々まで祟りに来たけど「俺で末代」と言ったら怨霊が困り始めて子孫を残させようと奮闘しだした件について〜  作者: zingibercolor・種・がくじゅつてきあかげ
第11シーズン

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父に覚悟を決めさせたい

「家と店を売りなさい。それをやらなきゃ、できる限りのことをしたとは言えないわねえ」


 おばあちゃんの爆弾発言に、俺も父親も目を見開いた。

 父親に洗いざらい話させて、おばあちゃんに援助を頼むために老人ホームに来ている。千歳と栗田さんも同席だが、おばあちゃんがここまで言うとは思わなかったらしくて栗田さんもやや驚いている。

 父親は、訴えられていることと、示談にお金が必要なことをおばあちゃんにちゃんと話したのだが、それに対しておばあちゃんは「自分でできる限りのことはしたのかしらあ?」と言ってからの言葉である。

 父親は恐慌状態になった。


「家も店も!?」

「できるだけのことをやって、それでも足りないなら初めて人に助けを求める、普通のことよねえ?」

「で、でもそんな……」


 父親は、生まれてからこれまでずっと実家に住んでいた。店、つまり和泉和漢薬も、通販が主とは言え店頭に来る客も多いようだ。その2つをいっぺんに売れ、は衝撃だろう。

 おばあちゃんはため息をついた。


「私が家を出る時、どっちもあんたにあげたでしょう?」

「で、でもそんな、俺の家なのに、生まれたときからずっといるのに」

「……おじいちゃんが守ってきた店で、おじいちゃんの家よお。あんたみたいな商売をされるなら、いっそあんたの代でちゃんと潰れてほしいわあ」

「………」


 父親は、何も言えずうなだれた。


「それと、何か隠してることがあるでしょう。私に言うときまりが悪いことねえ?」


 俺は、ふと気づいた。


「そういえばお父さん、お母さんの病気が何か言ってくれてないね?」

「それは……」


 おばあちゃんは、もう一度ため息をついた。


「私が、くろはさんを一度心の病院に連れて行ったほうがいいってずっと言ってたのと、何か関係があるかしらあ?」

「…………」


 父親は黙りこくった。そうか、母親は何か精神の病気で入院してるのか……。

 俺は、父親をフォローしようと口を出した。


「別に、今はメンタルの病気も普通のことだから。いい治療法もたくさんあるしさ」


 父親は俺を見て、俯いてから、絞り出すように言った。


「……お母さんは、急に言うことがおかしくなって、暴れるようになって……今、精神病院に入院してる」

「病名の診断はされたの?」

「……統合失調症」

「幻覚とか幻聴が出るやつだっけ」


 前、狭山さんが霊感に目覚めた時、見えるものが幻覚だと思って精神科にかかったと聞いたことがある。その時に、統合失調症は幻覚や幻聴が出る病気だと教えてもらった。

 俺は、父親の話を促した。


「今、お母さんどんな具合なの?」

「……薬で症状は落ち着いたんだけど、もともとこだわりが強くてわがままで、薬を飲みたがらなくて、一生懸命飲まないようにしてまた症状がぶり返すんで、とても管理できないから退院させられなくて……」

「お金に困ってるの、その入院代も含む?」

「…………」


 父親は、無言で頷いた。


「高額療養費制度とか知ってる? ある程度は金額抑えられるし、家も店も売るなら、あの土地ならある程度金額も入るだろ?」


 店があるのは、市営地下鉄とは言えそこそこ駅近だし、大通りに面して人通りもある土地なのだ。


「……お前の実家なんだぞ?」


 父親は、すがるように俺を見た。


「俺は18年しか住んでないからね。お父さんは60年暮らしただろうけど」

「……そんな……」


 父親は愕然とした。


「家の荷物の整理くらいなら手伝うよ、それくらいはする。あと、お母さんのお見舞いにも行くから」


 千歳が言った。


『ワシ、こう見えても力持ちだから、でかい荷物運べるぞ』


 あ、手伝ってくれるつもりなのか。ありがとう、その気持が嬉しいよ。

 父親は、頭を抱えた。


「……それしかないのはわかるが、気持ちを整える時間をくれ……」

「その間にお母さんのお見舞い行くよ、それでいい?」


 父親は俺をじっと見て、「……頼む」と頷いた。

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