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子々孫々まで祟りたい 〜転んで祠を壊しちゃったら怨霊が子々孫々まで祟りに来たけど「俺で末代」と言ったら怨霊が困り始めて子孫を残させようと奮闘しだした件について〜  作者: zingibercolor・種・がくじゅつてきあかげ
第11シーズン

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番外編 金谷千歳と【大人】

 小さい和泉はワシに抱きついて離れなくて、ずっとべそをかいていた。


「ちとしぇ……」

『泣くな泣くな、なんとかしてやるから。とりあえず服着ような』


 ワシの半袖Tシャツを出してきて着せて、寒そうなので二枚重ねにして着せて、それでも心細そうにワシから離れようとしないので、膝に乗せて、ひとまず南さんに電話した。


『もしもし!? 和泉が和束ハルにやられてチビになっちゃった!』

「ど、どういうことです!?」


 そりゃそうなるよな!

 事情を話したら納得してくれたけど、訳わかんない。和束ハルが狙うならワシだよな?


「とりあえず、小さい子用の服必要なんですよね」

『うん、いまワシ外出ちゃいけないから』

「服揃えてすぐ行きますが、まず和泉さんにどんな術かけられてるか狭山さんに見に行ってもらいます」

『わかった!』


 和泉は泣き疲れて、ワシの膝で半分寝ていた。起こさないように、こたつに入れて寝かしておいたら、狭山先生がすぐに来てくれた。


「こんにちは、和泉さん大丈夫です!?」

『散々泣いて寝てる』

「中身も子供なんです?」

『うん、ずっとワシから離れようとしなくて』


 狭山先生を家に上げたら、狭山先生は和泉を見て「うわ本当にちっちゃ……うわすごい術かかってる!」とうめいた。

 小さい和泉は目を覚まして、あどけない目を丸くした。


「しゃやましゃん?」

「あっ、僕のことわかります?」

「しゃやましゃん……」


 和泉はまた目をうるうるさせ始めたので、ワシは慌てて和泉を抱きしめた。


『なーんも怖くないからなー、狭山先生が診てくれるからなー』


 狭山先生は頭を抱えた。


「いや、すごい複雑だということしかわかりませんね、でも和泉さん、千歳さんの組紐で呪いなんて全部キャンセルできるはずなのに……ああ!! そうか!! 呪い扱いじゃないのか!!」


 途中から狭山先生が素っ頓狂な声を上げたので、ワシも和泉も目を丸くしてしまった。


『えっ、どういうことだ!?』

「あの、千歳さんの組紐、和泉さんに害のあるものは全部キャンセルできるんですけど、多分この術は害だと判定されてないんだと思うんですよ」

『何で!?』

「若返りだから、利益扱いなんだと思うんです、害に判定されてないんですよ」

『そんなのありか!?』


 小さい和泉がワシの服を掴んだ。


「ちとしぇ、ちーする」

『おー、言えてえらい、トイレ行こうなー』


 ワシが和泉の頭をなでると、狭山先生は「ああ、本当にちっちゃい子なのか……」と呟いた。

 とりあえず和泉にトイレさせて、ワシはまた狭山先生のところに戻った。


「訓練したんで、僕の目なら術かかってるのはわかるんですけど、解呪となると詳しい人じゃないと無理です。峰家とか……化け狸の深山さんでしたっけ、その辺の人たちの力借りないと」

『わかった、頭下げて頼む。金いるなら払うし』


 家買ったけどまだ預金はあるし、そこから払う。和泉のためなら、いくらだって払う。

 狭山先生はさらに言った。


「あと、今思ったんですけど、和束ハルからすると、和泉さんは無力化しておきたい人間だったのかもしれません」

『え? なんで?』

「千歳さん、和束ハルに何度も狙われてますけど、どの時も和泉さんがいたから致命的な事態にならなかったじゃないですか。だから、和泉さんをちっちゃい子にして無力化しておけば、ってなったのかも」

『そっかあ……』


 全然考えつかなかった。困った時は、大体和泉が知恵も助け舟も出してくれてたし……。

 ……だめだ。和泉は今大変なんだ。ワシが頑張らなくちゃ。

 和泉がワシを見上げて、心細げに言った。


「おちゃ……」

『あー、喉乾いたか』


 朝、刀豆茶煮出しといたから、とりあえずそれ飲まそう。


『ごめん狭山先生、和泉これだから、ちょっとお茶飲ませてくる』

「ちとしぇ、ここ!」

『あー、離れるの嫌かー、じゃ一緒に行こうな』


 和泉を台所につれてって茶を飲ませて、狭山先生にお礼を言って帰ってもらって、しばらくしたら南さんが来た。


「服、とりあえずしまむらのです、下着とトレーナーとズボン3枚ずつ」

『ありがとう、お金出す』

「経費で落とせるんで大丈夫ですよ」


 ワシは、和泉に服着せてから、狭山先生に言われたことを南さんに話した。南さんは頭を抱えてしまった。


「狭山さんにも後で詳しく聞きますが、そうですか……害と判定されない無力化、和泉さんは和束ハルにとって邪魔、ですか……」

『解呪できる人、いるかな?』


 小さい和泉はワシにずっとくっつきながら、南さんを見上げている。


「峰家、和束家、あと来てくれるかわかりませんけれど、深山様と九様にも声をかけましょう」

『うん、頼む、いくらでも頭下げるし、金も払うから』

「峰家と和束家はいりませんけども、深山様には払わないといけないかもしれません」

『うん、何でも払う』

「方針としては、解呪できそうな人に総当たりですね。私はそっちの方に動きますが、千歳さん、他に何か困ったことありますか?」

『えっと……』


 ワシは少し考えてから言った。


『ワシ、こいつの世話しなきゃいけないから外でなきゃいけない用事たくさんあると思うし、外出られるようになりたい』

「緑さんに相談してみます」

『あと、とよか病院にこいつを連れて行きたい。和泉の会社の人が、診断書取れたら傷病休暇にしますって言ってくれたから』


 とよか病院はこの業界の事情を知ってる先生がいるところだから、なんとかしてくれるんじゃないかと思う。


「わかりました。とよか病院に人を集めて、和泉さんを見てもらいましょう」


 小さい和泉は、話し合うワシと南さんを交互に見て、また不安そうな泣きそうな顔になった。


『そーんな顔すんな、大丈夫だぞ、何とかしてやるから』


 ワシは小さい和泉をぎゅっとした。頑張らなくちゃ、こんな時こそワシが頑張らなくちゃ。

 和泉が子供なんだから、ワシが大人にならなくちゃ。

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