番外編 金谷千歳の受難
外に出られないから、家で大人しく組紐作ってたら、玄関のチャイムの連打の音がした。
『な、なんだなんだ!?』
インターホンに出ると、インターホンの画面におっさん二人が映った。
「すみません、金谷千歳さんですか!? 久慈と申します! 和泉さんが大変なことになってしまって、対処法はそちらが詳しいと思ったので連れてきました!」
和泉が!?
慌てて玄関を開けると、針金みたいに背の高いおっさんと相撲取りみたいにでかいおっさんがいて、でかいおっさんが2歳かそこらの子供を抱えていた。
べそべそ泣いてたその子供は、面立ちが和泉に似ていて、ワシを見て「ちとしぇ!」と腕を伸ばした。
ふわっと、スノーミントの香りがした。
『……和泉?』
え? どういうこと? この子、和泉? どういうことだ?
混乱するワシに、針金みたいなおっさんが言った。
「わかってくれてよかった、この子和泉さんです。なんか、女の人の霊っぽいのが和泉さんに話しかけたと思ったら、和泉さんがいきなり小さくなっちゃって、多分その霊になにかされたんだと思います」
和泉(幼児)が鼻をぐすぐすさせながら言った。
「わ、わじゅか、はる……」
『和束ハル!?』
なんで!? あいつが狙うならワシじゃないか!?
て、いうか、なんでこの針金みたいなおっさんは霊を当たり前の存在みたいに話すんだ? 普通の人はあんまりそうじゃないと思うけど?
「ちとしぇ」
和泉がまたワシに手を伸ばすので、ワシは『と、とりあえず、受け取ります』と、でかいおっさんから和泉を抱き取った。
『えっと、あの、久慈さん? あの、何で霊とかわかるんですか?』
「あの、僕の素質は笑っちゃうくらい少ないんですけど、僕の恩師がですね、化け狸の深山さんと、九尾の九さんと知り合いでしてね」
『え!?』
ワシが世話になった二人!?
久慈さんは続けて話した。
「それで、金谷千歳さんっていう怨霊が和泉さんって人と一緒にいるってことは知ってて、うちの和泉さんと苗字同じだなとは思ってたんですけど、同じ人だってわかったんで、何かとんでもないことが起きても「わかる」ってことだけは言っときます」
『そ、それは助かるけど……』
「解呪の方法なんかは、私は詳しくないんでそちらのルートで探してほしいんですが、会社での和泉さんの扱いはできるだけ配慮しますね。とりあえず有給扱いで、もしうまいこと診断書取れれば傷病休暇にします」
『あ、ありがとうございます……』
で、でもどうすればいいんだ……とりあえず南さんに連絡か?
和泉がぷしゅんとくしゃみをしたので、ワシは我に返った。今気づいたけど、和泉はスーツを適当に体に巻き付けられていて、どうも服は着てないっぽい。
『と、とりあえず和泉このままだと風邪引くんで、家入ります! 診断書とかも頑張ります! ありがとうございました!』
と、とりあえず服だ!でもうちにこんな子供のサイズの服ない! ワシ外出られない!
……もう、全部南さんに相談するか!!




