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子々孫々まで祟りたい 〜転んで祠を壊しちゃったら怨霊が子々孫々まで祟りに来たけど「俺で末代」と言ったら怨霊が困り始めて子孫を残させようと奮闘しだした件について〜  作者: zingibercolor・種・がくじゅつてきあかげ
第11シーズン

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父親と顔合わせたくない

 翌日には、南さんが御札を持ってきた。これを家の外に繋がる扉に貼っておけば、家が千歳を守る結界になるそうだ。

 南さんは深刻な顔をしていた。


「中規模の寺社で、和束ハルにやられたらしきところがいくつか出まして」


 千歳は目を丸くした。


『マジか』

「どこもごっそり霊力を奪われています」


 俺は南さんに聞いた。


「和束ハルは、霊力っていうのが欲しいんでしょうか?」

「おそらく。その霊力で何をするつもりなのかはわかりませんけれど」


 南さんは頷く。


「大規模なお寺とかだと霊力って大きいんですか?」

「その傾向はあります。中規模なところを襲って大規模なところを襲う力を蓄えているのかもしれません」

『ワシ、組紐とりあえず1つ作ってあるから、渡そうか?』

「ありがとうございます」


 その後、千歳は正月の間に組紐を3つも作った。


『これで三千万だぞ、すごいだろう』

「すごいよねえ、いくつ作れって言われてるの?」

『とりあえず10本だけど、とりあえずだからもっと作ってくれって』

「そっかあ、頑張って」


 正月明けの土曜、俺は千歳の買い物リスト通りに買い物に行ったり、外に出られない千歳のためにコンビニスイーツを買ってきてあげたりして、警戒はしていたけれど無事に過ごした。


『お前今度外仕事だろ?』

「うん、仕事初めにちょっと」


 1/6から仕事始め、そして俺は仕事始めが外仕事である。萌木さんが育休から復帰するので、久慈さんも交えて仕事の引き継ぎをやるのだ。それで、萌木さんが「もしよかったらなんだけど、前の飲み会で会えなかったし、一度和泉さんと直接会えたらうれしい」と言うので、直接会ってやることになったのだ。

 萌木さんは俺にWebライティングを一から教えてくれた、恩師と言える人だから、初めて直接会えるのは割と嬉しかったんだけど、こんなときに会うことになっちゃったのは悲しい。


「萌木さんたち、俺んちの近くまで来てくれるって言うから、いつもの個室のある喫茶店でやろうと思って」


 守秘義務のある仕事もあるから、個室のある喫茶店はありがたい。


『お前、父ちゃんが出てきたりしたら大声あげて逃げろよ、家まで来たらワシが脅して追い返してやるから』


 もはや不審者への対応である。


「外出た時遭遇したら自分で何とかするよ、でも仕事中に鉢合わせはしたくないな」


 その時、俺のスマホが震えた。この震え方は着信だ。

 スマホを見ると、見覚えのある番号からの着信だったので、俺は反射的に着信拒否してしまった。

 ……これ、父親の番号だ、多分。

 また電話が来て、これは実家の番号だったので、俺は嫌な予感が当たったことを確信しつつ、即着信拒否した。


「……今、父親から電話きたかもしれない」

『え、マジか』

「見覚えのある番号から着信きて、その後実家の番号から着信来た」

『あちゃー』

「思わず着信拒否しちゃった……」


 俺はうなだれた。


『まあ、金貸すどころか顔も合わせたくないんだろ?』

「……親子なのに薄情だなと思うけど、できる限り関わりたくない」


 お金を貸したくないのもあるけど、実家を出て以降できるだけ顔を合わせないようにしていた相手だ。会いたくない。


『関わんなくていいだろ、お前に生まれてこなきゃよかったなんて思わせる奴らに会うことない』

「うん……ありがとう」


 憂鬱になってきちゃったな……。

 俺は、連絡がつかないのなら、相手がどう出るかについてもう少し考えておくべきだった。

 ただ、仕事中に父親と鉢合わせはしなかった。代わりに、俺は和束ハルに鉢合わせたのだ、と思う。

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