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子々孫々まで祟りたい 〜転んで祠を壊しちゃったら怨霊が子々孫々まで祟りに来たけど「俺で末代」と言ったら怨霊が困り始めて子孫を残させようと奮闘しだした件について〜  作者: zingibercolor・種・がくじゅつてきあかげ
第11シーズン

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父親に金は貸したくない

 LINEで、老人ホームにいるおばあちゃんに「あけましておめでとう」を言って早々、父親から何か連絡はなかったか聞いた。


「うまく書けないから、ビデオ電話でもいい?」

「うん、今できるよ!」


 そうして、LINEのビデオ通話画面に、おばあちゃんと栗田さん(彼氏としておばあちゃんをずっとサポートしてくれている人)が映った。


「豊ちゃん、あけましておめでとうねえ。釈、やっぱりなにかあったの?」


 釈は俺の父親の名前である。


「うん、新年早々こんな話で悪いんだけど」


 俺は、二人に経緯を話した。父親が商売のせいでついに訴えられてること、それで莫大な金銭を失いそうなこと。

 おばあちゃんは、大きなため息をついた。


「そうだったの……」

「おばあちゃん、なんか感づいてたみたいだったけど、何かあった?」

「……年末にねえ、釈が来たのよ、初めて。お金を貸して欲しいって」

「え……」


 今まで老人ホームに一度も来ず、初めて来たら金の無心って、自分の父親とは思いたくないな……でも、多分それくらいお金に困ってるんだよな。

 おばあちゃんはまたため息を付いた。


「でも私、お金の管理はもう全部栗田さんに頼り切りでねえ。釈に、どうしてお金がいるのって聞いても答えてくれなかったから、言えないなら嫌って言ったの」

「言わなかったんだ、お父さん」


 栗田さんが言った。


「なんだかんだ言っても、実の息子だし、つゆさんが貸すなら私は従うことにしていたんだ。でも、貸すならせめて理由は聞いたほうがいいとも言っていてね」


 正解の対応だ。栗田さんはやっぱりしっかりしている。


「それは妥当ですよ。でも、父はそんなに金策に困ってるのか……」

「豊くんのところにも行くかもしれない」

「それが一番嫌ですね……住所は知らないはずですが」


 俺も大きくため息をついてしまった。


「豊くん、正社員に復帰したとは聞くが、今の若い人はそんなに余裕ないだろう?」

「少なくとも、父に貸せるお金はありませんね」


 俺は言い切った。


「なら、万が一があっても貸さない方針で行きなさい。心を強く持つんだよ」

「はい」


 おばあちゃんが言った。


「せめて、釈が最初から全部説明してくれてたら援助はしようと思えたんだけどね……」


 それは本当にそうだよな、なんだかんだ言っても、実の息子だもんな……。

 おばあちゃんは、今後父親が改めて詳しく説明してくれたら、できる範囲で援助はするとのことだった。ただし、説明しないなら絶対に援助はしないとのこと。それはそうだと思ったので、俺も栗田さんも賛成した。

 ビデオ通話を終えて、俺はまたため息を付いてしまった。組紐を作りながら一部始終を聞いていた千歳が言った。


『あんまりため息つくと、幸せが逃げるぞ』

「うーん、逃がしたくないけど出ちゃうんだなあ」


 千歳とおだやかに暮らせれば、俺はそれが一番幸せなのに。トラブルはいつも向こうからやってくる。和束ハルの事と言い、父親のことと言い、ダブルパンチだ……。


『とりあえずさ、お前の父親に住所バレなきゃいいんだろ?』

「それはそうなんだけど」


 バレるとして、どこからバレるか……。

 俺は、ハッと思い出した。おばあちゃんのいる老人ホームに、俺の連絡先と住所があること。面会のときに名簿に名前と連絡先と住所を書くし、おばあちゃんに何かあったときに俺に連絡が行くようにしてあるのだ。

 嫌な予感がして、俺は老人ホームの受付に電話した。年末、おばあちゃんに面会に来た父親が、なにか聞いていかなかったかと。


「ああ、アドレス帳を失くしたからと言って、和泉さんの連絡先と住所を聞いていかれましたよ」


 俺は天を仰いだ。いや、老人ホームの職員さんは何も悪くないんだ、まさか父親と俺の確執なんて知らないだろうし!

 お礼を言って電話を切ると、俺の表情から千歳は察したようだった。


『うちに来たら、ワシが脅して追い返してやるよ』

「本当に頼むかもしれない、それ」


 俺は顔を覆った。散々な正月だ、千歳は和束ハルに狙われてるし、俺も父親に金を狙われるし……。

 2つのことは、割と最悪なタイミングでかち合うことになる。

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