閑話 こたつみかん
休日の昼下がり、こたつでのんびりみかんを食べていると、千歳に聞かれた。
『お前、みかんの筋ぜんぜん取らないで食べてうまいのか?』
「あー……まあ取った方がおいしいんだろうけど、おじいちゃんがいつも「みかんの筋は栄養があるんだ、本場じゃ薬にも使うんだ」って言ってたから、なんとなく取らないで食べてる」
『へえ、どんな効果あるんだ?』
千歳は首を傾げた。
「まあ体を温めるとか、血の巡りをよくするとか、痰をとるとか」
『へえー』
俺はみかんの房をもぎつつ言った。
「俺はさあ、みかんの薄皮も許せない千歳が、エビの尻尾とかホッケの骨とかはバリバリ食べるのが不思議」
千歳はみかんの房を吸って食べて、薄皮は残すのである。ホッケの骨については、開きにするときに骨ごとスライスしてあるらしく、普通の魚の骨より薄いのだが、食べようとはとても思えない。
千歳は、何でもない顔で言った。
『エビの尻尾はスナックみたいだし、ホッケの骨は噛むと出汁が出てうまい』
「カルシウム補給とかじゃないんだ」
『うまいから食ってる』
「へえー」
食の好みっていうのはさまざまだな。
思えば、俺と千歳の食の好みはそんなに被らない。俺は出汁の染みた野菜と柑橘系フレーバーが好きだけど、千歳は甘いものと、チョコミントが好きだ。こってりしたものも好きそう。
俺はチョコミント別に好きじゃないし、千歳は特に柑橘が好きというわけじゃないし。
それでも、これまで特に大きな喧嘩もせずやってこれてるのか。不思議だな。でも、ありがたいことだな。




