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子々孫々まで祟りたい 〜転んで祠を壊しちゃったら怨霊が子々孫々まで祟りに来たけど「俺で末代」と言ったら怨霊が困り始めて子孫を残させようと奮闘しだした件について〜  作者: zingibercolor・種・がくじゅつてきあかげ
第10シーズン

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神様に礼を尽くしたい

 朝起きたら、びっくりするほど体の調子が良かったので驚いた。起き上がるのはまだ痛いので千歳に助け起こしてもらったが、折れた肋骨以外は絶好調な感覚がある。


「なんかさ、ものすごく体の調子がいいよ」

『あっお前もか? ワシも!』


 変な動きはともかく、普通に静かにしていれば肋骨も全然痛くない。本当に体治す力があるんだなあ、この宿……。


『……もしかしたら、できるかなあ?』


 千歳は首を傾げた。


「ん? 何?」


 千歳はボンと黒い一反木綿の姿になった。うわ、久々に見る!


『できた!』

「え、元に戻ったの!?」


 千歳にもそんなに効果があったの!?

『んー、とりあえず一番楽なこれだけ出来る感じかな。他の格好はがんばらないとダメそう』


 千歳は首を傾げた。


「でもよかったねえ」


 千歳は目をキラキラさせながら俺に迫ってきた。


『この格好なら寝る時くっついてもいいよな? ていうかぎゅーもしてくれるんだよな?』

「えっと、まだ肋骨治ってないから、そっとね」


 俺はそっと千歳を抱きしめた。弾力のあるウレタン感触。千歳も俺にそっと抱きついた。

 うん、この姿なら邪な気持ちは起きないな……邪な気持ちなくても俺は千歳と触れ合えたら嬉しいし、今後はこの格好なら抱きしめるのをためらわないようにしよう……。

 しばらく抱き合ってから、俺たちは体を離した。


『んー、この格好になれるようになったけど、昨日と姿違うとびっくりさせるかもしれないから、もとに戻るか』


 千歳は再びボンと音を立てて朝霧の忌み子の姿に戻った。


「それが無難だね」


 顔を洗って寝間着から着替え、コルセットもつけると、狐の女の子が来て「朝食を広間に用意させていただきます」と言った。


「あ、昨日夕飯いただいたところですね。すぐ行きます」

「いえいえ、どうぞごゆっくり」


 広間に千歳と二人で行くと、もう九さんがいた。


「おはよう、調子はどうじゃ」

『すっごくいい!』

「おかげさまで、だいぶよくなりました。本当にありがとうございます」


 俺は頭を下げた。おお、コルセットつけてたら前かがみになっても痛くないぞ!


『ワシも成長痛ちょっとよくなったんだ、ありがとう』

「そうか、霊力の方はどうじゃ?」

『多分結構よくなってる』

「そうか、よかったのう」


 朝食が運ばれてきた。ナスとみょうがの味噌汁、きゅうりと紫蘇の浅漬、卵焼き、ご飯。うん、今日も五葷抜きだな……そうだ、多分食べた後、宇迦御魂神様に会うんだよな。

 俺は一緒にご飯を食べている九さんに聞いた。


「あの、今日この後宇迦御魂神様にお会いするんですよね。礼儀正しくする以外、何か気をつけたほうがいいことってありますか?」

「礼を失さなければそれでよい。お主なら大丈夫じゃ。気をつけなければならんのは千歳じゃな」

『ワシ?』


 いきなり話を振られて、千歳は目を丸くした。


「お主、誰に対しても気安い言葉を使うじゃろうが。宇迦御魂神様には敬語を使え」

『え、うん、ごめん……』


 千歳はシュンとした。ちょっとかわいそうなな気もしたが、千歳が誰にでもタメ口なのは、言われてみたら確かによくないことなので、俺は言った。


「俺のおばあちゃんに会うときとか、ちゃんと敬語使えてたじゃない。あんな感じでやれば大丈夫だよ」

『うん……』


 朝ご飯後、九さんに「宇迦御魂神様とお会いする前に口を清めてこい」と言われたので、二人で歯磨きしてきた。

 また広間に戻ると、九さんが「こっちじゃ、宇迦御魂神様がもうすぐおいでになられる」と俺たちを手招きした。

 案内されるままついて言った先にあったのは、きれいに整地された広場と、その先に立っている巨大な鳥居だった。

 九さんが鳥居に向かって言った。


「恐れながら申し上げます、例の二人を連れてまいりました」


 すると、鳥居の向こうがふわっと光り、光りが集まってできた光の玉が鳥居を通り抜けた。

 そして、光の玉は天を突くように大きい女性の形になり、ゆったりした服を着た巨大な女性が姿を表した。


[おお、よく来たな。お前たちが、和泉豊と金谷千歳か]


 ゆったりとした声は、耳に響くのではなく頭の中に直接響いた。

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