癒やしの温泉浸かりたい
狐の女の子に泊まる部屋と浴場に案内してもらい、「ごゆっくりどうぞ!」と言われたのだが、俺は戸惑った。せっかく勧められた温泉だし、ゆっくり浸かりたいけど、血行良くなると肋骨折れたところの炎症が痛いんだよな……。
案内の女の子がいなくなったあと、その辺を千歳に相談するととこう言われた。
『多分大丈夫だと思うぞ。こういうところの体治す湯って、浸かるだけで痛み消えるもんだ』
「そうなの?」
『心配しないで、先に浸かりに行ってこい』
「うん……」
そう言うわけで俺は入浴場に行った。大きな檜の湯船に温泉がかけ流してある。シャワーなんかはなく、湯船のお湯を自分で汲んでかぶる形式のようだ。
頭と体を洗い、恐る恐る温泉に浸かると柔らかいお湯が体を包んだ。え、そんなに熱いお湯じゃないのに体中ポカポカしてくるな……それなのに、肋骨が痛くならない!
肋骨の痛みで動きが制限されて、こりにこった肩や背中がほぐれていく。すごいぞ、この温泉!
しばらく温泉を堪能した後、俺は部屋に戻って千歳に告げた。
「全然痛くならなかった! すごくいいお湯だったよ、極楽だった」
『おっ、そりゃよかったな』
「千歳も行っておいでよ」
『うん、極楽になってくる』
千歳も部屋を出ていき、つやつや湯上がり肌になって帰ってきた。
『めちゃくちゃいい湯だった!』
「そうだろ?」
しかし、温泉で体がほぐれて温まったら、ものすごく眠くなってきてしまった。もうまぶたが落ちそうだ。
「ごめん、温泉浸かったらふにゃふにゃになっちゃって、すごく眠いから俺もう寝る……」
『え、お前もか? ワシもなんかもう眠いんだよな』
千歳は目をこすった。
「じゃあもう一緒に寝ちゃおうよ」
『そうだな』
布団は一室に二組敷いてあった。それに意味を見出すにはもう眠すぎたし、二組くっつけて敷いてあったほうが千歳が髪しっぽを俺に巻き付けやすいしで、俺達は何も気にせず倒れ込むように寝た。




