今後の処遇わからない
やっと後処理が落ち着いたとのことで、緑さんが事後報告がてらりゅーちゃんの様子を見にきた。緑さんはりゅーちゃんに笑いかけて言った。
「おばちゃんは緑おばちゃんよ、よろしくね」
「みどりおばちゃん?」
りゅーちゃんは千歳の膝の上で首を傾げた。
『ちーちゃんのお友達だぞ』
「へえー」
俺は、りゅーちゃんにこちらへくるように促した。
「りゅーちゃん、おじちゃんたち大人のお話するから、お絵描きして待ってようか」
「くえよん!」
「はいはい、クレヨンと画用紙」
りゅーちゃんにクレヨンと画用紙を渡し、お絵かきをさせて大人しくさせてから、俺たちは緑さんからその後の話を聞いた。
閻魔大王様は、りゅーちゃんの複合体はそのままにしておきたいそうだ。嬰児9人の霊に賽の河原で石を積ませるのはかわいそうすぎるから、とのことだった。緑さんは言った。
「藤さんから、りゅーちゃんを10人分幸せにしてやるようにと伝えられまして」
なるほど……。
『10人分かはわからないけど、りゅーちゃんはだいたい楽しくやってるぞ』
「そうみたいね」
緑さんは、るんるんでお絵描きするりゅーちゃんを見た。俺は緑さんに聞いた。
「まだかかりそうですが、りゅーちゃんが恒久的に霊力抑えられるようになったら、引き取り先の候補ってどこなんですか?」
「一応、遺伝子上の両親の係累が手を挙げてるんですけども……」
「和束家と朝霧家です?」
「はい。でも、和束家は和束ハルと和束みやびを続けて出したところとして認識されてるので、他の全員が絶対あそこには渡しちゃいけないと反対していて」
千歳が『そりゃそうだ』と頷いた。俺もそう思う。
「まあ、負の実績がありすぎますね……朝霧家は?」
「朝霧春太朗が引き取りたがってるんですが、それ以外は乗り気ではなく……朝霧春太朗は育児能力なんてゼロなので……」
『まあ、子育てには向いてなさそうだよな』
「あんまり子どもを育てさせたい性格の人ではないですね」
話が出切って、少しの沈黙。するとりゅーちゃんが「でーった!」と画用紙を掲げた。
「みーて!」
俺は画用紙を覗き込んだ。
「何描いたの?」
「ちーちゃんとおじちゃん!」
パッと見でロングヘアとわかる人と、短いながら髪がある人が描いてある。そう、俺は髪が生えてきてるのである。
千歳は笑顔で画用紙を手に取った。
『おっ、これワシか! うまいなあ』
「本当にうまいねえ」
「えへー!」
りゅーちゃんは、今度は俺の膝に乗ってきた。緑さんがりゅーちゃんに聞いた。
「りゅーちゃん、おじちゃんとちーちゃんのこと、好き?」
「ちゅき! だいちゅき!」
「そう……」
緑さんは目を細めた。そこにどういう感情があるのか、分かるのはもう少し先のことだった。




