番外編 金谷千歳と買い物と2歳児
りゅーちゃんを外に連れ出せない間は、ネットスーパーやUberで買い物してた。でもりゅーちゃんが3時間限定で人と触れ合えるようになったし、スーパーの方が生鮮食品たくさんあるし、星野さんにも会いたいしで、ワシはりゅーちゃんをスーパーの買物に連れ出そうと思った。暑いから、星野さんが車で迎えに来てくれるって。
来てくれた星野さんは、りゅーちゃんを見て「あらあらまあまあ」と孫を持つおばあちゃんの顔になった。
「かわいい盛りじゃない!」
『うん。ほーら、星野おばちゃんにこんにちはしような』
「こんにちは!」
りゅーちゃんはにぱっと笑った。人見知りしなくて助かる。
『でもさ、いろいろあってりゅーちゃんはまだ3時間しか人のいるところに出せないんだ、急いで買い物しないと』
「あらそうなの? 帰りも車で送るわよ?」
『本当? ありがとう!』
りゅーちゃんは星野さんの黄色い車に「ぶーぶー!」とはしゃいで、スーパーでは見慣れない建物と見慣れない品々を見て「きゃー!」と大はしゃぎして。そうか、スーパーに来るのなんて初めてだよな、品物に手を出させないようにしなきゃ。
ワシはりゅーちゃんの手をしっかり握り、言い聞かせた。
『スーパーでお買い物っていうのをするぞー、いろんな物がいっぱいあるけど、レジってところを通るまで食べちゃダメだぞ?』
「ええー?」
りゅーちゃんは不服そうな顔をした。
『ダメだからな、食べちゃったらお巡りさんに捕まるぞ!』
「おまわりしゃん!? おまわりしゃんみゆ!」
りゅーちゃんは大興奮。
『あっ、まずい注意の仕方しちゃった……』
星野さんが苦笑した。
「スーパーの子供乗せられるカートに座らせとけば、そんなにあちこち行かないわよ」
『あちこちは行かないだろうけどさあ……』
ワシが買おうとする物の周りの物が危ないよな……。
いや、りゅーちゃんをブロックしながらかごに品物を入れるより、りゅーちゃんを誘導して買うものを取らせれば、りゅーちゃんは満足でワシも楽かも。りゅーちゃんをカートに乗せて、ワシは早速スーパーを回り始めた。
『ちーちゃんが買うものなら触っていいぞー、ちーちゃんはこれ買うぞー、これ取ってほしいなー』
「こえね!」
りゅーちゃんはワシが指さしたブロッコリーを両手で抱え上げた。
3人分の食事になったから、買うものが増えた。チビの食事は大人よりもカルシウムと鉄分がいるから、献立もより考えないといけないし……。
でも、今の忙しい暮らしは嫌いじゃない。なんだかんだで、りゅーちゃんはかわいい。りゅーちゃんと遊んでやってる和泉を見るのも好き。いつまでりゅーちゃんが家にいるかわからないけど、なるべく長くいてくれるといいな。




