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子々孫々まで祟りたい 〜転んで祠を壊しちゃったら怨霊が子々孫々まで祟りに来たけど「俺で末代」と言ったら怨霊が困り始めて子孫を残させようと奮闘しだした件について〜  作者: zingibercolor・種・がくじゅつてきあかげ
26シーズン

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君の姿を残したい

 ところで、りゅーちゃんはよく転ぶ。普通に歩いてるときはまだ大丈夫なのだが、少し走るとすぐ転ぶ。何でもない顔で起き上がるので、足が痛いとかではないみたいなんだが。


「たぶん足の筋力がないんだな……ずっと地下室暮らしだったんだもん」


 朝食の時に千歳にそう言うと、提案があった。


『外遊びさせてみるか? 3時間なら他の人と会ってもよくなったし』

「でも、りゅーちゃんの靴買わないと無理じゃない?」

『お前がチビになったときの靴あるだろ、あれ試してみるよ』


 卵かけご飯をスプーンですくっていたりゅーちゃんが首を傾げた。


「あちのきんりょくってなーに?」

「あんよを動かす力のことだよ」


 りゅーちゃんは足をバタバタさせて「あちのきんりょく!」と騒いだ。

 そんなわけで、俺が子どもになったとき使ってた靴をりゅーちゃんに履かせてみたら、ぴったりだった。


「おくちゅ! おくちゅはいた!」


 りゅーちゃんは、靴を履いただけで飛び上がって喜んだ。りゅーちゃん、下手したら靴履くの初めてなんじゃないか? 地下室じゃ靴なんて履かなかっただろうし、うちに来てからもまだ外に出してないし……。


『とりあえず、今日の午前は裏庭で遊ばせてみるよ』

「そっか、でもそのうち公園にも連れてってあげたいね」


 休日ながら仕事があったので、俺はしばらく2階にいたのだが、10時頃にお茶を汲みに一階に降りたら、草と泥でぐちゃどろのりゅーちゃんと千歳が悪戦苦闘してるところだった。


『ああー……風呂だこりゃ』

「す、すごいことになってるね……」

「おとしあないっぱいほったの!」


 りゅーちゃんは、泥だらけのスコップを誇らしげに掲げた。千歳が庭木の世話するのに使ってるやつだ。

 千歳はため息をついた。


『スコップ持たせたら、全身で掘りまくってこれだよ……まあ、体は動かしたかな』


 千歳はりゅーちゃんを抱き上げたが、りゅーちゃんが歩いたらしき床もぐちゃどろ。


『ワシりゅーちゃんを洗ってくるからさ、床頼めないか?』

「お風呂? 千歳大丈夫なの?」

『下着だけ着て洗う』

「そう、じゃ床拭いとくから」

「ちーちゃんとおふろ!?」


 りゅーちゃんは目を輝かせた。


『ちーちゃんはお風呂入らないぞ、りゅーちゃんを洗うだけ』

「ええー?」


 明らかに不服そうなりゅーちゃんを抱いて、千歳はお風呂場に消えた。俺は雑巾を出してきて床を拭いたが、きれいになるまで3回雑巾がけが必要だった。

 まあ、これが小さい子の面倒を見るということか……りゅーちゃんのこれまでを考えたら、体を使う遊びはどんどんさせたいから、これくらいは甘受しよう。

 例年ほどではないが、外は暑い。外遊びさせるなら、もっと早い時間のほうがいいのかな。

 そういうわけで、翌日。早めに起きて、早めに朝ご飯にして、千歳と二人でりゅーちゃんを近所の公園まで連れて行くことにした。


「こうえんってなーに?」

「遊ぶものがいっぱいあるんだよ、お砂場もブランコも滑り台もあるよ、たくさん掘ろうね」

「おしゅなば!? ぶらんこ!?」


 飛び跳ねて喜ぶりゅーちゃん。


『お外はぶーぶーがたくさんいるからな、危ないからな、ワシと和泉おじちゃんとちゃんと手ぇつなぐんだぞ?』

「ぶーぶーいゆの!?」


 りゅーちゃんはさらに興奮した。


「ぶーぶーさわゆ!」

「だめ! 危ないよ!」

『触ったら痛い痛いだぞ! ケガするぞ!』


 俺と千歳は、慌ててりゅーちゃんに車の危険性を刷り込んだ。こんなんで外に連れ出せるのかな……。いや、千歳と二人でしっかり手をつないでおくしかないか……。

 小さいバケツにスコップを入れて水筒に麦茶を詰めて、千歳と二人、りゅーちゃんの手をつないで公園まで歩く。2歳児の歩幅に合わせて歩くのは大変で、本当に近所の公園なのにだいぶ時間がかかった。まあ、りゅーちゃんに足の筋力つけさせる役には立ったかな。

 公園に着き、りゅーちゃんに遊具を見せると、りゅーちゃんは砂場に一目散に駆け出して、またずべしゃと転んだ。


「大丈夫!?」

『大丈夫か!?』

「おしゅなほゆ!」


 りゅーちゃんは何事もなかったかのように立ち上がり、砂場にログインし、「すこっぷ!」と騒いだ。


「おしゅないっぱいあゆ! いっぱいほゆの!」

「はい、スコップ」


 スコップを渡してあげると、りゅーちゃんはすごい勢いで砂を掘り出した。


「おとしあなつくゆの!」

『誰を落とすんだよ』

「お山作るのも楽しいよ、ほら」


 りゅーちゃんが掘った砂プラスアルファで俺が適当に山を作ると、りゅーちゃんは目を丸くした。


「おおきいねえー!」

「りゅーちゃんならもっと大きいの作れるよ」

『ほんと!?』

「周りからいっぱいお砂持ってくるんだよ」

「おやまつくゆ!」

「バケツにお砂入れようね」

「うん!」


 りゅーちゃんはバケツに砂を入れまくり、俺が作った山にどさーっと被せ、「おやま!」と喜んだ。


『おー、すごいすごい』

「ちゃんとできたねえ」


 りゅーちゃんが来てから。面倒を見るのが大変で、ゆっくり散歩しつつ花を撮る時間はなくなったけど、りゅーちゃんと遊ぶ時間は幸せだな。

 俺はスマホを取り出した。


「りゅーちゃん、こっち向いて」

「あい!」

「はい、お写真撮るよー」


 俺は、砂まみれのりゅーちゃんの写真を何枚か撮った。

 りゅーちゃんがいつまで家にいるかわからないけど、小さい時の写真はいっぱいあっていいと思うし、うちに来るまでのりゅーちゃんは写真になんて残ってないだろうし、これからはたくさんりゅーちゃんの写真を撮ろう。それで、いずれりゅーちゃんの引き取り先が決まったら、その人に撮った写真を全部渡そう。

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