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子々孫々まで祟りたい 〜転んで祠を壊しちゃったら怨霊が子々孫々まで祟りに来たけど「俺で末代」と言ったら怨霊が困り始めて子孫を残させようと奮闘しだした件について〜  作者: zingibercolor・種・がくじゅつてきあかげ
26シーズン

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一人ぼっちにさせやしない

 りゅーちゃんを寝かせたあと。俺はAmazonを見て、子供用歯ブラシやら子供歯磨き粉やら、子供用食器やら子供寝具やら、子供用お菓子やらおむつやらをお急ぎ便で買い込んで、あとは食器を洗って洗濯して、炊飯器に明日のお米も仕込んで寝た。疲れた……。

 朝、俺は馬乗りになったりゅーちゃんに起こされた。


「おじちゃん! おーきーて!」

「おおう……刺激的な目覚まし……」


 千歳はまだぐっすり。和束ハルの時のことを考えたら、明日起きたらいいほうだな。

 昨日作ったお味噌汁を冷蔵庫から出して、炊けたお米と目玉焼きと納豆で朝ごはんにする。りゅーちゃんは喜んで納豆を食べたが、俺は大変後悔した。手も口も髪も、納豆でネットネト!


「目玉焼きだけにすべきだった……」

「おいち!」

「それはよかったね……」


 お味噌汁の野菜もなんとか食べさせて、それから俺はりゅーちゃんをお風呂場に連れてって丸洗いした。もう二度と納豆出さない。

 着替えたりゅーちゃんはさっぱりしたらしい。


「おえかきすゆ!」

「いいねえ、お絵描きたくさんしようねえ」


 お絵描きしててくれると、大人しくて助かる。りゅーちゃんを片目で見つつ、俺はスマホをチェックした。昨日のこと、警察が介入したならニュースになってると思うが……。

 Yahooニュースを探すと、いくつも記事が出ていた。嬰児連続殺人の容疑で60歳の女を逮捕、名前は和束みやび。嬰児の母親と思われる娘、和束美枝も逮捕。そうか、和束美枝さんも逮捕か……。

 多分、彼女は何も知らない。逮捕されて、それで初めて知ることになる、10人産んだ子のうち9人が、母親の手で殺されていることを。

 胸が痛んだが、もう警察案件じゃどうすることもできない。せめて誠実な取り調べであることを祈る。ていうか、俺はしばらくりゅーちゃんの世話で手いっぱいだし……。

 すると、南さん経由で藤さんからLINEがあった。


「そっちどう? アタリの子元気?」

「元気です、今お絵描きしてます。名前なかったんで、竜って名前つけました」

「竜くんか、いい名前だ。こっちもいろいろあったんで、報告しとくよ」


 藤さんは教えてくれた。和束みやびがやったことが事実なら、確実に死刑になること。実際に死刑が執行されるかは置いといても、いずれは寿命で亡くなるし、亡くなったら閻魔大王が毎日ランダムで違う地獄を味わわせると確約していること。なるほど、同じ毎日がいい、予想通りの毎日がいいという願いとは真逆……。

 その後、南さんが変わって言った。


「竜くん、誰が両親かはわかってますけど、戸籍がない子なので、緑さんが今関係各所に働きかけて、とりあえず戸籍だけは取らせようと動いてます」

「なるほど」

「あと、藤さんが和束ハルに、霊障を抑える術式を頼んでいます。数時間程度抑えるものなら短期間で作れるそうです」

「数時間ですか……」

「恒久的に抑えるものも目指すそうですが、とりあえずは数時間からだそうです」

「わかりました」


 恒久的に抑えられる術式ができるまではうちだな、こりゃ。

 その日は、1日りゅーちゃんの面倒を見て遊んだ。家の中を探検させて遊ばせようと思って、「おじちゃんと探検ごっこしよう」と2階に誘ったんだけど、りゅーちゃんは階段で立ちすくんだ。そして、俺の足にしがみついた。


「あがっちゃだめっていってるでちょ!」

「え? どうしたの?」

「あがっちゃやーなの! やー!!」


 りゅーちゃんは泣き出してしまった。


「どうしたのどうしたの」


 俺は慌ててしゃがんで、りゅーちゃんをあやした。


「あがっちゃめーなの……」

「よしよし、上がらないから。どうしたの」


 なんで泣くのかさっぱりわからないまま、俺はりゅーちゃんをあやしていたが、はっと気づいた。

 りゅーちゃんがいた地下室の扉は、すぐ階段につながっていた。そうか、りゅーちゃんはずっと地下にいたわけで、だから階段を上がるのを禁止されていたのだ。「上がっちゃダメって言ってるでしょ」は、多分、いつも堀江さんに言われていたのだ。

 堀江さんが階段を上がったら。それは、りゅーちゃんはひとりぼっちで置いていかれるということで……。


「…………」


 俺は、りゅーちゃんを抱き上げた。


「この階段は大丈夫なんだよ! おじちゃんと一緒に行こう! 一緒に探検しよう!」


 りゅーちゃんは目をまん丸くして俺を見た。


「いっちょ?」

「一緒一緒。一緒に行こうねー」


 俺はりゅーちゃんを抱いて2階への階段を上がっていった。2階について、りゅーちゃんを降ろすと、りゅーちゃんは「きゃー!」と歓喜の声を上げ、走り、ずべしゃと転んだ。


「大丈夫!?」


 助け起こそうとしたが、りゅーちゃんはすぐ起き上がり、きゃいきゃい笑いながら奥の部屋まで走っていった。

 走り、転び、また走って笑う。りゅーちゃんは、全身が嬉しそうだった。

 そうだね、階段の上に行ってみたかったよね。階段の上は、いろんなものがたくさんあるんだよ。今すぐとはいかないけど、いろんなものを見て回ろうね。

 しかし、明日は月曜日。仕事、どうしようか……。

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