表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
子々孫々まで祟りたい 〜転んで祠を壊しちゃったら怨霊が子々孫々まで祟りに来たけど「俺で末代」と言ったら怨霊が困り始めて子孫を残させようと奮闘しだした件について〜  作者: zingibercolor・種・がくじゅつてきあかげ
26シーズン

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1079/1094

情報なるべく吸い出したい

 会議室に女の子を連れて行くと、吸血鬼の王が牙をむき出して言った。


「正直に話さないと、血を吸って操って自白させるよ?」


 女の子は怯え、また泣き出してしまった。


「話します! 怖いことしないでください!!」


 俺は慌てて女の子と吸血鬼の王の間に入った。


「こんな子供を脅さないでください、隠す気もなさそうだし」


 千歳もとりなした。


『取って食いやしないって言ったからさ、もう少し優しく話し聞こうよ』


 モニタに映った俺のファンが言う。


 [いい弁護士に宛がある、費用は私が持つから、彼に連絡しておこう。警察には弁護士と相談してから対応するといい]


 そして、俺のファンは女の子に優しく言った。


 [ここの人たちは君を害さない、特に和泉氏はね]

「あ、俺が和泉だよ」


 俺が自分を指さすと、女の子は「話しますから、怖いことしないでください……」とべしょべしょの顔でうめいた。

 女の子を椅子に座らせて落ち着かせて、俺たちは事情を聞いた。

 女の子の名前は堀江桃香、17歳とのこと。中学校の時、和束みやびを名乗る女性に「うちで赤ちゃんの面倒を見てくれへん?」とスカウトされ、中学卒業後、ずっと住み込みでベビーシッターをしているとのこと。住み込みの職場 (和束みやびのアジト)はいつも不思議な扉で接続されて、どこにでも出ていけるが、職場がどこにあるかはよくわからないそうだ。和束みやびに頼まれていろんなサイトで藁人形を売り、さらに売りやすいものをと頼まれてパソコンとUnityでVR藁人形を作ったとのこと。もう藁人形を売るのはまずいと言われて、大量の藁人形を海に捨てたこともあるそうだ。

 堀江さんはぐすぐすしながら言った。


「うち大家族なんです、妹と弟が合わせて8人いるんです、だから家にお金入れて、高校も行きたいし、だからお金欲しくて、たくさんもらえたからなんか良くないことだと思っても断れなくて」


 磯女さんが言った。


「この子、多分化け狸の血が入ってますね。霊障にとても強いです」


 千歳が『そうかあ』とうなずいた。


『アタリの子、所構わず霊力撒き散らすくらい強いんだろうな、だから霊障に強い子じゃないと世話させられないんだ、多分』


 千歳は堀江さんに聞いた。


『でもその子、あんたに懐いてるだろ?』

「懐いてますけど! 私にあんなの押し付けないでください! お金のためだけに面倒見てるんだから!」

『…………』


 千歳は目を見開き、そして黙りこくってしまった。ど、どうしたんだろう?

 吸血鬼の王が俺たちに言った。


「いや、今日はありがとうね。この子にはアジトのこともう少し細かく聞くけど、こっちでまとめて、君たちにまた報告するからさ」

「優しく聞いてあげてくださいよ?」

「素直に話したから、ひどいことなんてしないよ。それに、和泉さんは本業もあるんだろ?」

「まあ、仕事はしたいですね」


 俺のファンも言った。


 [頼んである弁護士がもうすぐ来る、警察には引き渡すが、彼女の不利になるようなことはしない]

「それはよかった」


 すると、千歳が俺の手をつかんできた。え? どうしたの? 人前でそんなことしないんじゃなかった?

 千歳は強く俺の手を引いた。


『和泉、帰ろう。途中で話し聞いてくれ』

「う、うん」


 さっきから、千歳の様子がちょっとおかしい。帰って落ち着くべきだろう。

 駅まで行って電車に乗り、千歳に「どうしたの?」と話を促した。千歳はしょんぼりして言った。


『ワシ、気づいちゃったんだ……』

「気づいた?」

『桃は、ワシのこと全然好きじゃなかったんだって。あの桃香って子はお金目当てだったけど、桃はご本家様に気に入られるためだけにワシに優しくしてたんだろうなって』

「そうなの?」

『だって、桃がワシのこと好きだったら、ご本家様のお手付きになって下働きしなくて良くなっても、様子くらい見に来てくれてたと思うんだ。桃は別に閉じ込められてたわけじゃないんだし。桃は、ワシに優しくしてご本家さまに気に入られたら、ワシのことなんてもうどうでもよかったんだ』

「…………」


 桃。朝霧の忌み子を面倒見てくれて、優しくしてくれた子。彼女が来てくれなくなって、朝霧の忌み子は誰ともおしゃべりしてもらえずに、寂しくて悲しいまま生を終えたこと。千歳の核には、ずっとその思いがあること。

 下手にそんなことないよとも言えなくて、俺は千歳の背中をなでることしかできなかったが、千歳は沈んだ顔から、決然として顔を上げた。


『だからさ。アタリの子見つけたら、ワシは本当の意味で優しくしてやるんだ。お前がワシに優しくしてくれたみたいに、ワシもアタリの子に優しくしてやるんだ』

「…………。そっか……」


 俺は、千歳の頭をなでた。


「優しくしてあげようね、2人で優しくしてあげよう」

『うん』


 千歳は、俺を見て笑った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ