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子々孫々まで祟りたい 〜転んで祠を壊しちゃったら怨霊が子々孫々まで祟りに来たけど「俺で末代」と言ったら怨霊が困り始めて子孫を残させようと奮闘しだした件について〜  作者: zingibercolor・種・がくじゅつてきあかげ
26シーズン

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どんな子だって逃さない

 翌日。俺のファンと吸血鬼軍団が集まってる場所は篩建築事務所分所のほど近くと言うことで、俺と千歳はそこに向かった。貸会議室だが、九さんの協力により、和束美枝さんがAmazonで登録している運輸営業所の全てにドアひとつでつながるそうだ。

 貸会議室に向かう途中、千歳が聞いてきた。


『特定した子って、3人目かな?』

「その可能性が高いだろうね、3人目がさらに人を介したとかだと分からないけど……」


 貸会議室には、十数人の老若男女と、天井を埋め尽くす多数のコウモリがいて、大型モニタに俺のファンが映っていた。俺のファンは、俺たちの姿を認めて[来てくれてありがとう]と微笑んだ。吸血鬼の王様が奥にいて、「よく来てくれたねえ!」と歩み出てきた。


「例の女の子、今日、長野駅前営業所に来そうなんだよ。今見張ってるんだけど……」


 その時会議室の奥の扉が開き、コウモリが数匹入ってきた。若い女性が「来ました!」と叫んだ。吸血鬼の王は表情を引き締めて、俺たちに「磯女ちゃん、案内して」と告げた。女性は俺たちに言った。


「奥の扉が営業所そばにつながっています、コウモリに案内させます!」

『ワシが取り押さえればいいか!?』

「そうしてください!」


 そういう訳で、千歳と俺は奥の扉をくぐった。飛んでいくコウモリたちを追う。コウモリたちは宅配のトラックがたくさん止まった営業所の建物を目指して飛んでいき、建物のドアをノックするように何回かぶつかった。この中か。

 営業所の建物のドアが開き、高校生くらいの女の子が、段ボールを積んだカートを引いて出てきた。コウモリは女の子の肩に止まった。この子か!

 その高校生くらいの女の子は「え!? 何!?」と困惑している。


「コウモリ!? 何で!?」


 千歳は女の子の顔を見て『!?』と何故か目を丸くした。どうしたんだろう? いや、でも取り逃がさないのが先だな。


「ちょっと君! 誰から頼まれてその荷物取りに来たの!?」

「……!?」


 女の子は飛び上がり、荷物を放り捨てて駆け出した。千歳が『待て!!』と追いかける。女の子は近所の民家の勝手口に飛びついて「開けて! 開けて!」と大声で叫んだが、扉は開かなかった。

 千歳がその子を羽交い締めにした。


『そこの扉を術でアジトに繋げてたのか、でももう繋がり切られちゃったな』


 女の子はもがくも、千歳の怪力で全然逃げられない。千歳は首を傾げた。


『しかしあんた、何で桃そっくりなんだ?』

「放して! 放して!!」

『いや、ありえないよな、ありえても生まれ変わりか……』


 桃? 何?


「千歳、桃って?」

『朝霧の忌み子を世話してくれてた女の子の名前』

「その子にそっくりなの?」

『うん、まあ偶然だろうけど』


 後ろから会議室にいた吸血鬼の面々が来て、さっきの磯女という女性が言った。


「警察に渡りをつけましたが、まだ我々で話を聞く時間はあります」


 女の子はまた飛び上がった。


「警察!? 何で!?」


 この子、多分深くは事情を知らないな。多少はまずいことをしてる自覚があるから逃げたんだろうが、多少でしかないんだろう。

 俺は、努めて落ち着いた声で言った。


「君はね、嬰児連続殺人犯の生活物資を取りに来てた可能性があるんだよ」


 女の子は目を丸くした。


「殺人犯!?」

「子供が10人生まれて9人殺されて、一人だけ生かされてる。2歳くらいの小さい子に心当たりない?」


 女の子は息を呑み、次いで暴れ出した。


「私がやってたのはただのベビーシッターだもん! 知らない! そんなの知らない!」

「じゃあ、呪いの藁人形の販売や、VR藁人形の販売にも心当たりない?」


 女の子は、今度は青くなった。


「や、やってない! 知らない!」


 やっぱり、この子が三人目か……ネットスキルを持ってて、藁人形の広い販売とVR藁人形の作成をやったと思しき。

 俺はできるだけ冷静に言った。


「君には話を聞かなきゃいけない」


 女の子は悲鳴のような声を出した。


「何も悪いことしてないです! 人殺しなんてしてないです! お願い見逃してください! 私が住み込みでベビーシッターやらないと家にお金入れられないんです!!」

「それはできない。君が売った藁人形には殺された赤ちゃんの骨が入ってたんだ。警察も君に話を聞きたいだろうからね。でも、俺たちに話しておけば、俺たちが多少はかばえるかもしれないよ?」


 女の子は絶望的な顔になり、泣き出してしまった。


「許してください……許してください……」


 流石にかわいそうになって、俺は言った。


「俺たちも、君が人殺しに参加したとは思ってないよ。でも、君から話を聞かないと犯人の居場所を突き止められないんだ。だから、話を聞かせてほしい」


 女の子は泣きじゃくって言葉にならない。千歳が羽交い締めを解いて、女の子の手首だけ片手でしっかり握って、もう片方の手で女の子の背中をなでた。


『取って食いやしないからさ。磯女さん、会議室に連れてけばいいか?』

「ひとまずそうしてください、あそこなら霊的に結界張ってありますから」


 泣きじゃくる女の子を連れて、俺たちはまた会議室へ戻った。

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