普通に仕事をしていたい
検査結果が気になるが、仕事はしなくてはならない。明日は仕事で、東京の大手漢方薬メーカーの企業向け新商品発表会に行く予定。
和束みやびの件で何かあったときのため、千歳には近くまでついてきてもらう予定なので、お互い明日の予定を確認し合っていた。
千歳がGoogleマップを指さして言った。
『お前はこのビルにいるから、ワシはここのドトールで待機してればいいんだな』
「うん」
千歳は首を傾げた。
『でもさ、新商品発表会ってどんな記事書くんだ?』
「普通に発表内容と、あとその新商品の売りの生薬の解説だね。新商品宣伝と解説で1記事ずつ」
『へえー』
「だから、発表内容録音しといて、あとは資料配られるらしいからそれにメモもしまくって、それをもとに読みやすい記事に再構成する感じかな」
『船のときみたいに写真も撮るのか?』
「一応」
『なんか大変そうだな、録音聞きながら文字に起こすんだろ?』
「あー、録音は、AIで一瞬で文字起こしできちゃうからね」
千歳は目をまん丸くした。
『そうなのか!?』
「だから書く方として大事なのは、記事の背骨のストーリー、情報の取捨選択、強調すべきところの選択、読みやすい記事構成、そんな感じかな」
『へえー、難しそう……』
「まあ、ある程度の技術がいる仕事じゃないと、すぐ生成AIに取られちゃうからね」
歪みや偏重と書くとちょっと悪印象があるが、人間の書く文章の方が偏りを出しやすい。偏りは、強調や構成に色濃く出る。で、偏りのある文章のほうが人の印象に残りやすい。生成AI時代、ライターとしてはそういう文章を書いていかないといけないだろう。




