番外編 金谷千歳の絶望
朝。朝飯を食べながら、和泉と今日の予定を確認し合って、ワシは言った。
『今日、病院行ってくる、高千穂先生の』
「えっどうしたの!? どっか悪いの!?」
和泉は目を丸くした。
『どこも悪くないけど、朝霧の忌み子の体とかがどんな感じか知りたくて、CT撮って見てもらうんだ』
「そうなの……いやでも高千穂先生か……変なこと調べられそうになったらすぐ帰ってきなよ?」
『変なこと?』
なんだろう?
「なんか、嫌なこととか調べられそうになったらさ」
『んー、調べることは決まってるから、それ終わったらすぐ帰ってくるよ。昼メシも作らないといけないし』
「そっか、ならいいけど」
そういう訳で、ワシは病院に行った。高千穂先生に言われた通り、受付で『高千穂先生に診てほしいです』と申し出たら、「しばらくお待ちください」と番号札を渡されて、高千穂先生の診察室に呼ばれた。
高千穂先生は愛想よくワシを迎えてくれた。
「おはようございます、まずは朝霧の忌み子の姿でCT撮りましょうか」
『女の姿が先じゃダメか?』
「外見が半陰陽でも、調べてみたら妊孕性……妊娠する能力がある場合がありますからね」
『へえー! そうなんだ!』
妊娠できるなら、和泉の子供を作ってやれるならどの姿でもいい。わくわくしながらCTを撮ってもらったんだけど、結論から言うとダメだった。高千穂先生は、撮った画像を見ながら言った。
「性腺はあるんですけどねえ……未成熟で……片方は精巣のような、片方は卵巣のような……卵子は期待できないでしょうね、子宮もありません」
『ダメかあ』
ちょっとがっかりしたけど、本命は次だ!
女の姿になって、またCTを受けた。ドキドキしながら画像診断を待って、高千穂先生に呼ばれたんだけど、高千穂先生は申し訳なさそうな顔で「すみません」と言った。
「膣はあるんですが……途中で閉じていて、子宮につながっていないというか、子宮はありません。性腺もさっきと同じで、未成熟な精巣と卵巣が1つずつ、卵子は期待できません」
『そんな……』
じゃあ、和泉の子供は産んでやれないってこと……?
『も、もっかい! 上島紗絵、あいつなら子供産んだことあるし、上島紗絵の姿なら子供産めるってことないか!?』
「調べてみる価値はありますね、もう1回だけ撮りましょう」
それで撮ってもらったんだけど、結果としては同じだった。途中で閉じた膣、子宮なし、卵子が期待できない未成熟な卵巣と精巣。
高千穂先生は言った。
「姿が変わっても、内臓は変わらないようですね。多分、他の女性の姿でも同じだと思います」
『そんな……』
じゃあ、ワシは和泉に子供産んでやれないのか? 和泉を幸せにしてやりたいのに、ワシは和泉に子供を持たせてやれないのか?




