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子々孫々まで祟りたい 〜転んで祠を壊しちゃったら怨霊が子々孫々まで祟りに来たけど「俺で末代」と言ったら怨霊が困り始めて子孫を残させようと奮闘しだした件について〜  作者: zingibercolor・種・がくじゅつてきあかげ
第25シーズン

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特定したけどしきれない

 6/3から、1日2時間からとは言え仕事開始。その前に仕事のリハビリになることをしたくて、パソコンで自分用に和束みやび事変のことをまとめてる。これまでの嬰児の霊の発見場所、和束美枝さんの旧twitterの内容、警察その他で判明したこと……。

 まだ確保していない嬰児の霊は、あと一人。この子が確保できればいいんだけど。そして、まだ生きているはずの10人目の子、複合体の核として生かされている子を保護できればいいんだけど。


『何してるんだ?』


 千歳がパソコンをのぞき込んできた。


「ああ、パソコン仕事のリハビリにね、和束みやび関連のことをまとめてる」

『ふーん』


 千歳は、千歳の物入れの棚の上の小箱を見やった。缶ミルクが供えてある、嬰児8人の魂が収まった小箱。


『あの子たち、全員兄弟なんだよな。生きてたら、皆でわちゃわちゃ遊んでたかもしれないのにな……』

「そうだね……」


 10人兄弟。おそらく皆、少しずつしか年は離れていない。仲良くなっただろう。でも、生きているのは一人しかいない……。

 10人兄弟なのに、おそらく一人ぼっちでいる子。名前も知らないけれど、本当にかわいそうに思う。

 千歳は小箱をなで、家事に戻っていった。俺は和束美枝さんのツイート内容を見直していたが、特に新たな発見はない。

 そう言えば、生き残りの子を保護できたとして、その子の引取先はどうなるんだろう? 父親は朝霧春太朗氏とはっきりしているんだし、朝霧家本家の子になるのかな。

 でもそうなると、緑さんが気の毒すぎるな。朝霧春太朗氏のせいで、子宮摘出して子供産めなくなったのに……。

 あるいは、和束美枝さんが母親だから、和束家の子になるのかな。でも和束ハルさんの話だと、あそこの生育環境は微妙そうだ。

 ……いや、引き取り手のことよりも、無事に保護することのほうが先だな。こんなことは杞憂に過ぎる。

 俺が考え込んでいるのを見て、また千歳が顔をのぞき込んできた。


『なんか難しいこと考えてるか?』

「いやその……考えてもしょうがないこと考えてた」

『なら、気分変えさせてやるよ』


 千歳が俺の頬にちゅっとキスしたので、俺はびっくりしたが、遅れて嬉しさが湧き上がってきた。


「完全に気分変わった……」

『お前、ワシのこと好きすぎだろ』

「そりゃ積年の思いですから!」

『まあ、たまにならやってやるよ』


 千歳は微笑んだ。

 その後。ふと思いついて、俺のファンに「和束みやび関連で分かったことある?」と聞いてみると、すぐ返事があった。


 [ネット通販受取からの特定はまだできていないが、ネット接続の挙動から居住地域は少しずつ絞れてきている]

「本当? どの辺?」

 [おそらくは中部地方だ。他の地域は除外していい]

「中部って言うと、長野と北陸と山梨と、あと静岡と……愛知と岐阜も入るか」


 そう言えば、和束美枝さんのtwitterで「今年初めての雪」「ベランダの雪払い大変」みたいなこと書いてあったな。でも中部のどの地域も、冬は雪降るよなあ、そりゃ都市や年ごとに多少違うとは言え……。

 ……いや、「今年初めての雪」は手がかりか? 各都市の天気は気象庁に記録がある、ツイートされた年月日と天気記録を突き合わせれば……。日本全国だとさすがに難しそうだけど、中部地方に絞ればある程度は地域特定できるんじゃないか?

 その事を俺のファンに伝えると、彼(あるいは彼女)は色めき立った。


 [すぐ記録と突き合わせよう! 和束美枝氏のツイートから天気に関するすべての情報を拾う]

「お願い。金谷あかりさんにもこの事伝えてね、地域が特定できたら俺にも教えて」

 [もちろんだ]


 数時間で特定結果が返ってきた。長野県の可能性が高いとのこと。


 [こんな短時間で、ここまで絞れるとは思わなかった]

「俺ももっと早く天気に気付けばよかったよ、ごめんね」


 千歳に、10人目の子がいる場所がかなり絞れたことを伝えると、『マジか!』と驚いたあと、首を傾げていた。


『信州か……あのさ、ワシの中にいる子供とか女郎とかさ、信州の寒村の奴が多いんだよな』

「あ、前にそう言ってたね。その辺も千歳を再現しようとしてるのかな?」


 複合体に向いた10人目の子は、霊の複合体として強力な怨霊になった千歳を目指して育てられている可能性が高いのである。

 千歳は肩をすくめた。


『そうかもな。悪趣味ー』


 この時、千歳の中の人たちが、あるひとつの村に固まって多いことを思い出せばよかった。けれど俺は思い出せず、10人目のひとりぼっちの子をもっと待たせることになってしまったのだった。

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