友達2人に打ち明けたい
狭山さんちで唐和開港綺譚の打ち合わせしてる。別に急ぐ用事じゃないんだけど、俺が「もう少しで会社の仕事始まるから、その前に少しリハビリ的なことしたいんですよね」と言ったら、狭山さんが「じゃ、うちで一時間くらい打ち合せしません?」と言ってくれたので。
狭山さんの愛猫、クーちゃんとモッサくんがキャットタワーから見下ろす中、俺と狭山さんは資料と顔を突き合わせて唸っていた。
「山査子の飴がけはやっぱり出したいですね……色的に華やかだし」
「山査子だと、消化促進と活血化瘀があるから……消化を押し出したいなら麦芽、血行促進を押し出したいならブルーベリーとかクランベリーなんかとの組み合わせですね」
「話の流れ的には血行かなー……食べて健康になる路線が受けてるんですよねー……」
そんなこんなを打ち合わせて1時間。だいたいの打ち合わせが終わったとき、狭山さんが俺に聞いてきた。
「あの……もし和泉さんが秘密にしてたんなら申し訳ないんですけど……」
「何でしょう?」
「もしかして、千歳さんとうまく行きました?」
「えっ、なんでわかったんですか!?」
何!? 俺そんなに肌ツヤ良くなってた!?
狭山さんは申し訳なさそうに言った。
「その……うちの窓から、お2人が手を繋いで歩いてるのが見えまして」
「あっ見えちゃいましたか、いや、そういうことは人のいないところでするように気をつけてたんですけども」
肝心なところがバレバレだったので、俺は観念してかくかくしかじかを話した。流石に、夜のことはぼかしたけど。
「……そう言うわけで、千歳はしばらくって言ってるんですけど、私は一生ってごね続けるつもりです」
「なるほど……」
狭山さんは感心したようにうなずき、それから「頑張ってください」と言ってくれた。
友達に、俺の人生の大転機を話せて嬉しい。あ、でも一応口止めしとこう。
「一応内緒にしてくださいね、言いふらすなって千歳に言われてるので」
「じゃあここだけの話にしときます、でも、本当によかったですね」
「えへへ、ありがとうございます」
狭山さんには流れでバレてしまったし、祝福してもらえた。でも本当は、もう1人の友人であるおっくんにも打ち明けたいな、おっくんにだけ秘密にするのは嫌だな……。
夜。千歳に隠れて、おっくんにこっそりLINEしてかくかくしかじかを話した。
「えー! おめでとう!」
「後はさ、俺がごね続けるだけなんだ」
「いやでもよかったねえ、ゆっちゃんにはもう千歳さんほどの人いないと思ってたから」
「俺、このこと狭山さんとおっくんにしか話してないから、ここだけの話にしといてね」
OKのスタンプと、おめでとうのスタンプが立て続けに来た。誰よりも好きな人と結ばれることができて、その事を大事な友だち二人に祝福されて、俺は本当に幸せ者だな。




