50キロは切りたくない
千歳に体重を測らされている。病院では服を着て体重を測っていたのだが、『服でごまかすな』とパンツ一丁で測ることを強制され、俺は現在48kgであることがわかった。
千歳はドン引きしていた。
『下手するとお前、今のワシより軽いぞ……』
千歳は、俺の入院騒ぎからずっと二十歳の姿である。体形的に、引っ込むところは引っ込んでるけど出るところはちゃんと出てるし、それなりの体重はあるだろう。
「頑張って食べます……あと、あのさ」
『なんだ?』
首を傾げる千歳に、俺は言った。
「最初の入院の時さ、カレーが出たんだけど、全部食べてもお腹壊さなかったんだよね。だから、多少の脂っこいものと刺激物は解禁してもいいんじゃないかって」
体重戻ったら下半身もどうにかなるかな……ならないかな……。
千歳は、俺に色々食べさせてやれると思ったらしくて、目を輝かせた。
『おっ! 何でも作るぞ!』
「じゃあ、天ぷら食べたい」
『作る作る! 昼は天ぷらそばな!』
そういうわけで、お昼は天ぷらがずらりと並んだ。ナスやカボチャ、マイタケにとり天、チーズ入り磯辺揚げ。
「さっくさく……熱い……揚げたてってすごい!」
つゆを付けても衣がサクサクのまま。マイタケは揚げて旨味を閉じ込められ、チーズ入り磯辺揚げは青海苔の香りにチーズちくわが合う。カボチャの甘みとナスのジューシーさも素晴らしい。とり天は初めて食べたけど、つゆで食べる鶏は、唐揚げとまた趣が違っておいしかった。
千歳は得意げだ。
『ワシ、なかなかやるだろう』
「本当においしいよ」
そういうわけで俺は嬉しくて全部食べたのだが、食べた後……というか食べてるうちから、油物できっちり胃もたれした。
「そうだった、俺は31だった……別の意味で油物がダメに……」
『かわいそうに……てか、もうすぐ32だぞお前』
「よりダメージを食らった……」
5月は俺の誕生日がある。千歳と出会った年に28歳になったから、千歳とはもう4年の付き合いか。
4年でこんなに千歳を好きになるとは思わなかったな。千歳にはフラれたけど、これからもずっと一緒にいてくれるのは確定だから、これからの年月でもっと好きになれるといいな。




