表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
子々孫々まで祟りたい 〜転んで祠を壊しちゃったら怨霊が子々孫々まで祟りに来たけど「俺で末代」と言ったら怨霊が困り始めて子孫を残させようと奮闘しだした件について〜  作者: zingibercolor・種・がくじゅつてきあかげ
第24シーズン

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1018/1030

いっぱい食べさせ眠らせたい

 今日の9時半に退院。俺は、朝のうちに太田さんたちや主治医先生に「お世話になりました」と挨拶して回った。

 9時半になって、千歳が迎えに来てくれた。


『荷物持つよ、今のお前が持ってたら骨折りそうだ』

「流石に骨折はしないと思う……でも、ありがとう」

 体力がごっそり削られているので、千歳が荷物を持ってくれるのは助かる。会計をして入院代を払ったら(なかなかの金額だった)、病院のタクシー乗り場でタクシーを拾い、まっすぐに家へ。赤い屋根にベージュの壁、飾りの赤レンガ、夢にまで見た我が家だ!


「やれやれ、ようやく家だ、ただいま」


 そう言いながら玄関に上がると、先に入って荷物を置いていた千歳が振り返り、ボンとお化けの姿になって俺に抱きついてきた。


『お帰り! お帰り! お帰り!!』


 千歳は、そのままぐすぐす泣き始めてしまった。そうか、そんなにまで俺を待ってくれていたのか……。


「うん……ただいま」


 俺は、感極まって千歳を抱きしめた。千歳はしゃくりあげながら言った。


『お、お前が家にいなくて、ずっ、ずっと寂しかった、一人で寂しかった……』

「もうどこにも行かないよ、また入院しないように頑張るから」

『うん……うん……』


 とはいえ2ヶ月後には、再発してないかCT調べる予定である。5年間再発しなければとりあえず安心だが、それまでは定期的に検査して再発がないか調べないといけない。

 やっと千歳が落ち着いたところで、2人でリビングに移動して、俺は今後の指針を千歳に伝えることにした。


「厚生労働省の言うところによると、がんにならないためには、俺はお酒を飲まないことと太ることが必要みたい」


 厚生労働省のがん予防リーフレットで言われているのは、節酒、禁煙、食生活の見直し、運動、適正体重の維持。俺はタバコ吸わないし、食生活は千歳のおかげでバッチリだし、ある程度散歩もするしで、だから俺ができるのはお酒を飲まないことと太ること。

 千歳は首を傾げた。


『太るのはともかく、酒ほとんど飲まないだろお前』

「たまには飲んでたけど、これから5年はお酒一切飲まないよ。後悔したくないから」

『じゃあ、頼むな。ワシも飲ませて後悔したくない』


 抗がん剤の影響でしばらくお米が薬臭いので、千歳はお昼に肉と野菜たっぷり焼きそばを作ってくれた。千歳は焼きそばを箸で持ち上げながらニコニコだ。


『お前と飯食うの久しぶり! 嬉しい!』

「俺も嬉しいよ」


 好きな人が自分との食事を喜んでくれる、こんなしみじみとした幸せがあるだろうか? いや、千歳にはフラれたけどさ。これからも一緒にいてくれるんだから、それくらいの幸せ感じたっていいだろ?

 千歳は人参のぬか漬けも出してきてくれた。ぬか漬けのリクエスト、覚えててくれたんだ。

 いちょう切りに切られた人参をかじると、塩っ気と糠の旨味、人参の甘みが口に広がる。


『結構うまくできてるだろ?』

「おいしい。今お米がおいしくないのがもったいないな」

『米なくてもよかったら、毎日朝飯に出すぞ?』

「食べたい食べたい」


 メイバランスもしっかり飲み、すっかり満腹。お皿洗おうとしたら『仕事復帰するまで家事は免除だ』と言われて大人しくすることにした。ていうか、たっぷり食べたらまぶたが重くなってきちゃったな……。

 入院中散歩もあんまりしなかったし、貧血だし、体重大減少だし。食べられるようになっても、しばらくは寝たり起きたりかな……。

 千歳が皿洗いから戻ってきて、大あくびしてる俺を見て言った。


『昼寝するか?』

「寝たいです」

『うん、今のお前は食べて寝るだけで偉いからな』


 千歳は笑った。


「俺、赤ちゃん?」


 俺も笑った。

 千歳に布団を用意してもらって、俺は久々の我が家で眠りに落ちた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ