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第157項「幼馴染との会話①」

「さぁ、なぜ俺がこの部屋に連れてきたのか分かるか?」


俺は手錠をつけられ椅子に座らされている。

なんで拘束されているの?これが新手のプレーなのか?


「つーか、俺の手首を結ぶ必要あるのか?」


「これから質問する回答に全て答えてもらう為に、あえて自由を奪わせてもらった。別に拘束プレーが好きだとかそういう訳ではないからな?」


「本当かよ?前に大学の食堂で話したときもこんな感じじゃなかったか?てっきり俺は、丈瑠が男女関係なく人を拘束して楽しむ性的嗜好だと思っていたが…。」


「おまえ、俺の事を性犯罪者のように言うなよ?まぁ、これから質問する回答次第では手錠は外すと思う…。」


「言ったな?その言葉あとになって翻すとか勘弁してくれよ?」


「回答次第では手錠は外すが、妹を召喚する可能性はある。ここにすぐに電話できるようにスマホはあるからな。」


俺の妹をいちいちそんな理由で呼び出すな…。


「それは極力避けたいな。幼馴染より兄妹の方が時と場合によっては厄介になるしなぁ…。」


「という事は、これから話す内容は聖奈ちゃんは知らない可能性があるなぁ。厳さんは知っているのかな?まぁ、良いや。とりあえず質問していくから正直に答えろよ?」


久しぶりに丈瑠の真面目な顔が俺の瞳に映る。


「さぁ、本題に移ろうか。前に彩乃と2人で東京の多摩地域で有名な大きな公園で開催された花火大会に行ったんだけどさ、その時にトシの姿が見えたんだけどさ、隣に居た人は誰?」


「どの時点での話をしているのか良く分からないんだが…。」


ここはとぼけてみよう。


「カメラを複数抱えた金色で染められた長い髪の女の子だよ?打ち上げ花火が終わった後に、その人と話しているのを目撃してね、どういう関係なのかなと思って…。それにその人と別れた後に、あれは、確か華南さんの双子の妹である舞美さんだっけ?なんであの人と一緒に居たの?」


恐らくだが、先日大きな公園で開催された花火大会に舞美さんの読モの仕事として行った先での様子を見てしまい、何かあると思って俺に聞いて居るのだろう。


「黙っていたら何も分からないし、何も進まないぜ?トシの事だから仕事関係の人だろうけど、舞美さんって現役の読モだったよな?華南さんと同じで舞美さんの仕事のアシマネ兼ボディーガードの任を引き受けている感じなのかな?」


「ああ。先に言っておくが、別に丈瑠に隠していた訳ではないからな?」


「ああ。そんなことは分かっている…。だけど、トシには、けして道を踏み外して欲しく無いからな。だから…だから、可能なら彼女達がトシにとってどういう人なのか差し支えなければ教えて欲しい。」


「分かった。それにしても俺が仕事しているところに現れるとかなんかこの先が怖いんだけど…。まさかと思うけど俺の様子を見るためにわざとデート先に選んでいるとか無いよな?」


「ハハハ。そんなことは無いよ。ただの偶然だよ。彩乃とその花火大会に行くことを決めたのだって当日大学で用事を済ませてから寄り道感覚で行ったからね。たまたまだよ。それで早く話聞かせてよ?」


本当このカップルとの遭遇率高いな。


「まず、最初に丈瑠が話していた金髪の女性というのは、舞美さんが所属している読モの事務所の人で、歳は俺らと同じで独学でファッション関係の会社を立ち上げた敏腕女性社長だよ。」


「す、凄いな。大学とは通わずに独学で勉強して会社を経営しているなんて。舞美さんもそこに所属しているのか。てことは、トシは所属している彼女のアシマネを担当しているんだな。」


「そうだ。それで丈瑠が花火大会の会場で俺を見たのは、俺もその日に舞美さんなどの読モの夏祭りデートの撮影であの場所に来ていたんだ。そこで、一日撮影があったから、まぁ丈瑠の目に入ってしまってもしょうがないよなぁ。」


「舞美さんの撮影の仕事はどういう事をやるんだ?」


「事務的なお茶くみとかカメラの機材を持つとかスケジュールの調整といった超事務的な事を淡々とこなしていく感じよ?」


「撮影している人達は華やかそうだが、それを支えている人達は作業内容としてはけっこう地味なんだな。」


「期待するほど面白味があるものでは無いけど、アシスタントをしないと彼女らの仕事が回らなくなるからな。」


「その社畜精神がすごいわ。俺は絶対やりたくねーな。」


「力が無くて、体力がない奴は絶対向かない職種だと思うよ?」


「今、俺の事を軽くディスったな?」


「だって、本当の事じゃん?人間完璧主義者であるより一つ二つ欠点がある方が可愛げがあって良いと思うぞ?」


「トシは誰から目線だよ?でも話を聞いた感じトシが可愛い女の子に騙されて浮気していなくて良かったわ。もうすぐ成就するというのにその前からよそ見されては俺らも困るからな。」


「え、どういうこと?」


「まだ、気づかないならしょうがないな。あと、もう一つ伝えておくことがあったんだ。」


「まだあるのか?」


「現役読モの彼女たぶんお前に絶対好意持っているぞ?」


「え、舞美さんが?俺らは只のビジネス関係だぜ?あの人が好意を持っているとは考えられないけどなぁ。」


「本当にトシは恋する女心が分かっていないな。華南さんと出掛けたりしてるから前よりは理解できるようになったかと思ったけどまだまだだなぁ。」


「そんなついこの間まで陰キャ、ソロ充を極めていた俺に女心を理解していると思っていた丈瑠の意見に驚きだよ。」


「この間、俺が恋愛や女心に関して伝授しただろ?少しは自分でも学べよ?」


「少しはこれでも理解しているつもりだけどな、だから言動とか振る舞いには気を配っているつもりなんだけどな?」


「確かに、華南さんと出会ってから昔から幼馴染として知っているトシより外見は大きく変わったし、やっと典型的な大学生らしさを感じられるようになって俺は嬉しいけどな。それで、確認したいんだけどさ、舞美さんがトシに好意を持っているという情報を伝授したのを踏まえてトシは華南さんと舞美さんのどっちが好きなの?」


「“好き”というのはどういう意味?」


この質問に対して、俺はすぐにでも回答を言う事ができるのに、なんであまり考えていないかのように聞いているのだろうか…。


「“好き”というのは、だな。恋愛的にこの人と一緒に居て楽しいとかさ、もっとこの人と話したい、知りたいとかあるじゃん?」


「ふ~ん。じゃあさ切り返すけどさ丈瑠の恋人はさ、宮山じゃん?彼女のどこが好きなの?」


「うぅ~。トシも自分の意見は後回しにして、質問を質問で返してくるとか幼馴染の成長を感じられてちょっと嬉しいけど、なんだろうな。俺は御存知の通り高校時代から学校中の女子にモテまくっていたじゃん?」


俺はそうでもなかったけど、健全な高校生なら誰もが憧れるであろう漫画のような話が始まった。


「ああ。そうだな。生徒会長から各学年のスクールカーストトップを張っている可愛い系女子とか最終的には社会人2年目くらいの先生にも告白されていた学校中の女子生徒をいつでも独り占めできるほどの奴だったもんな。」


「え、なんでトシが先生に告白された話知っているの?」


「クラスメイトがこっそり教えてくれたのかなぁ。もう昔の話だから忘れちゃったけど…。」


「すでに耳に入っていたか…。あの時は()()()告白したことは無い訳よ?告白されていた側だったから…。だからあの時の俺は恋というものがよく分からなかったんだよなぁ。なんで人が気になった人を好きになるのかがな。」


急に哲学っぽい内容持ってくるなよ・・・


「丈瑠、高校時代の俺はあまり思わなかったけど、世界中の健全な大学生は異性に告白された時は例えその時にあまり相手の事を知らなくても付き合うか繋がりを持つ機会になるんだぜ?だから、あの高校で多くの男子生徒は丈瑠が多くの人に告白されるものだから嫉妬の嵐だったことをちゃんと今でも胸に止めておけよ?」


「ああ。俺もあの時は告白される側も大変なんだよと思っていたけど、今になって客観的に捉えてみるとあの体験はとても貴重で誰もが経験できる青春では無かったんだなと思うよ。」


「モテる男は本当に熱く語るんだな。まぁ、そういうところは嫌いではないけどなぁ。それで、大学生になった今は恋がどういうものなのか分かったのか?」


「ああ。大学に入学して“宮山彩乃”という一人の女性に出会って、自分が気になってしまった異性を目で追ってしまう時点で人間は恋に落ちることがほぼ決定したものであることがな。“大きな海に落ちたらもう自分が来た道を戻れないのが恋”というものなんじゃないの?」


「なんか名言っぽいなぁ。この言葉って俺が聞くより宮山が聞いた方が感動するじゃないの?今の言葉録音してあいつに送ってやれば良かったな。」


「だからな?トシ。お前はあの双子姉妹のどっちの海に落ちそうなんだ?お前がいま少しでもその人へ気持ちが傾いているならその人はお前が選ぶべき、いや、一緒にいるべき人生を彩る相棒であり伴侶だと思うぜ?」


「なんか美男子が言うとそういう名言って締まるというか良い響きを与えるよな。」


「そりゃぁ。俺はあのハイスペック両親の間から生まれた一人息子だからな。顔が良いのは当然の結果だよ?」


「身長が低いというのと運動能力が無いというのが欠点だけどな…。」


「わざわざそのツッコミはしなくて良いわ!!」


「はいはい。」


「じゃあ。もう一度聞くぞ?お前はどっちを選ぶんだ?どっちを愛おしく思っているんだ?どっちとこれから一緒に過ごしたいんだ?」


「き、決まっているじゃないか?」

そう、推しの作家であり俺の唯一の後輩であるあの人しかいないだろ…。


因みに手錠は開始すぐに外れたのだった。


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